2022年4月27日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある株式会社中田製作所を訪問し、代表取締役の中田寛さん、及び若手社員の皆さんにお話をうかがいました。
 株式会社中田製作所は昭和52年創業、アルミ専門の精密部品機械加工メーカーとして高品質で魅力ある製品をお客様にお届けしています。納品先は液晶製造装置・半導体製造装置・産業用ロボット・医療機器など多岐に渡り、特に近年はアルミを含む幅広い金属材料に対する超微細加工技術の開発に成功。平成19年(2007年)と平成25年(2013年)には内閣総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」優秀賞に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。なお、三木ゼミ2年生は毎年最初のものづくり企業訪問先として中田製作所の皆さんに大変お世話になっています。

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

【経済学部2年生 山本 海月 さん】

 今回、中田製作所に伺って凄く働きやすい環境だと感じた。そう感じたのにはいくつか理由がある。それらをまとめていこうと思う。
 まず一つ目は、健康への取り組みが手厚いところだ。1番印象に残っていることは、「健康に過ごして欲しい」という思いから喫煙者には禁煙サポートとして禁煙手当を作ったという話だ。それによって現在は1名に減っていることや健康診断は勤務時間中に検診車を会社へ招いて社員全員が健康診断を受けやすい環境を作っていることから健康面でのサポートがしっかりされていると感じられた。
 二つ目は、社内の雰囲気が明るいということだ。中田製作所に伺った時や工場見学へ行った時に社員全員が明るいトーンで元気に挨拶をしてくれた。その時に、この会社は明るい会社だと感じた。また、話を聞いていく中で社員同士の距離が近いことや社長との距離が近いと感じた。それらの背景にはこの会社での取り組みがあるからだと思う。二ヶ月に一回のイベントや社長や部長と「同年代の従業員を集めた数名」の飲み会があること、毎週木曜に行っている社長との交換ノートが社員同士または社長との距離を近くしているのだと思う。私にとって仕事内容だけでなくプライベートな事も話せる関係というのは凄く憧れる社内の関係だった。だから、凄くこの会社が魅力的に感じた。
 三つ目は、Webサイトに記載されていた内容だ。私は「人材募集」の内容に惹き付けられた。それは、『叱ってくれる人に感謝できる人』というキーワードだ。これは、社長から話を聞いたときもこのWebサイトを見たときもすごく良いと感じた。「すいません」と謝って次に進むのは誰にでも出来るが、感謝の気持ちを持って次の仕事に挑める人はなかなかいない。私もその一人だからだ。それができる人こそ色んなものに果敢に挑戦していけるのだと思う。この言葉に惹かれて、私は注意や叱ってくれる人に感謝の気持ちを伝えたいと感じるようになった。
 四つめは、会社の将来性がしっかりと感じられた点だ。ベトナムへの進出や工場増設など新規事業が多いと感じた。また、取り引き先が20年近く変わっていないということは互いに信頼関係があり成長しあっているということだと思う。コロナなどの影響を強く受ける中小企業に対してこの関係はすごく強みであると私は考える。また、製造業で働いている女性社員がまだまだ少ないとも感じた。製造業といえは作業着や工場という固定概念があるからだと思う。しかし、この会社はそれらを変えるためにカラーTシャツにするなどの工夫もしっかりと感じられた。
 以上のことから私は、凄く働きやすい環境であると感じることが出来た。また、製造業に対する固定概念が少し変わった。一人一人が目標ややりがいを持ちながら働ける良い職場だと私は思う。

【経済学部2年生 中村 優希 さん】

<はじめに>
 今回、中田製作所の企業訪問を通して、企業で求められるリーダーのあり方、従業員・部下などの良好な関係、相手とどのようにして接するか、今後訪問する企業の何を見なければいけないのか、何をもっていい企業(強い企業)と言えるのかを学ぶことができました。
<リーダーとは>
 私はこれまでリーダーに必要な要素は、状況を瞬時に判断し部下に指示をする。また誰にも負けない専門知識や技術が必要だと考えていました。しかし、中田社長の話を聞いていて感じたことは、社員一人一人の力や距離感をしっかりと把握しており、部下の言葉に耳を傾け謙虚な姿勢で取り組む、人間関係を維持する力が企業の上に立つ人間として必要なスキルだと考えました。
 中田社長が「みんな知らんか」となったときに社員の方がツッコミを入れて場を和ませるシーンがとても素敵だなと思いました。
<相手との関係>
 取引先の相手との付き合い方について教わったときに、どれだけ自分がしんどい思いをしても相手企業からのお願いはできる限りやり通すといった付き合い方が、良い信頼関係を築き、「不渡手形を掴んだ経験なし」を実現していると考えました。営業の方がかなりしんどいお願いをされても社長との距離間が近いので一緒に乗り越えるということができるところが強いと考えました。
<訪問時に見るべき点>
 今回の訪問先はとても評価が高くほぼ満点でした。まだ比較対象がないのでどこを特に見ればいいかはわからないですが。今の段階では、社風や清潔さと言った簡単に目に入るところと働いている人の表情や話し方や距離感、また雰囲気を重点的に観察することである程度の企業の感じが見えてくるのではないかと考えました。
<まとめ>
 中田製作所は訪問前に聞いていたように、とてもいい企業でした。一番初めに評価の高い企業に訪問したので今後の評価がとてもしやすいです。また人との付き合い方、コミュニケーションの取り方、人材の育成の仕方などもある程度はわかりました。
 今回の訪問を活かしていきたいと考えます。
 

【経済学部2年生 安田 花音 さん】

<はじめに>
 4月27日、天気は曇天に包まれた曇り空でした。近隣のゴルフ場ではボールとクラブが軽い金属音を奏でながら、雨と鉛のにおいが入り混じる中、アルミの精密加工技術を得意とされている「中田製作所」がありました。その中ではガンダムカラーを施した機械とアルミが重い金属を奏でながら、カラフルなTシャツ(制服)を着た社員の方たちが働いていらっしゃいました。
 金属と聞くと重々しく、暗い雰囲気を感じるかもしれません。しかし、社長の思いが現場に色を付け、社員の努力が職場に明るさをもたらしていました。
<言わない努力>
 工場見学をさせてもらった際に、私は職場間の雰囲気の良さに大変驚きました。小学生の時に、企業へ社会科見学をさせていただいた経験があるのですが、お忙しいところお伺いしたので、私たちに気づいていない様子でした。しかし、中田製作所様は一人一人に挨拶をしてくださり、中には作業の手を止めて笑顔で対応してくださる方もいらっしゃいました。私はそのことに大変感激しました。そこで、社長に「職場間で何か行っていることはあるか」とお伺いすると「私は社員に口出しをしないようにしています。」という返答をいただき、さらに驚きました。上司が部下に指導をすることは当たり前だと感じていましたが、言いすぎることによるモチベーションの低下が生まれるという理論を聞き、このような教育方法もあるのだと感じました。
 社長に「言わない努力」を言われた際、私は高校時代の部活動を思い出しました。私は男子バレーボール部に所属していたのですが、顧問の先生はあまり指導をしない先生でした。代わりに生徒が意見を出し合って、試合を進めていました。一度先生の教育方針についてお伺いしたところ「上のものが言い出しをするよりも、距離感の近い者同士が切磋琢磨しあい、高めあう方が向上心を伸ばす。」と仰っていました。実際、その方針で母校は近畿大会に10年連続で出場しています。このことは中田製作所様の教育方針でも伺えると思います。同じ部署の仲間では、他の人には見えない苦労も喜びもわかると思います。その者たちが互いに励ましあい、高めあいながら仕事に励むことによって、空気感の良い職場が形成されるのだと感じました。
<いつでも>
 今回は私たちが企業訪問させていただいていましたが、社長がお話をしているとき、ある若手女子社員さんはずっとメモを取っていました。私はこのことが職場内の社風に繋がっているのだと思いました。いつでも向上心を持ち、学ぶ意欲を忘れない人間は周りにも伝播していき、刺激を与えます。おそらくその若手女子社員さんは周りに良い影響力を与える人間なのだと感じました。どのような状況でも自分の糧となるものを取りこぼさない姿勢を、私も見習っていきたいです。
<まとめ>
 カラフルな制服と赤白青の機械、そして思想の豊かさが、これからも金属の堅苦しさを軽やかにさせ、中田製作所の温かな雰囲気を生み出していくのだと感じられました。

【ご参考】