2021年7月7日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある株式会社中田製作所を訪問し、代表取締役の中田寛さん、及び若手社員の皆さんにお話をうかがいました。
 株式会社中田製作所は昭和52年創業、アルミ専門の精密部品機械加工メーカーとして高品質で魅力ある製品をお客様にお届けしています。納品先は液晶製造装置・半導体製造装置・産業用ロボット・医療機器など多岐に渡り、特に近年はアルミを含む幅広い金属材料に対する超微細加工技術の開発に成功。平成19年(2007年)と平成25年(2013年)には内閣総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」優秀賞に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。なお、三木ゼミ2年生は毎年最初のものづくり企業訪問先として中田製作所の皆さんに大変お世話になっています(なお当日は雨天だったため、社屋の写真は昨年度のものを使用しています)。

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生
曽我部 桃菜 さん

 今回、「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消の取り組み」として中田製作所を訪問しました。中田製作所は主に産業用ロボットの部品や錠剤を梱包しているシートを作るための装置の部品などを製作している会社です。「ものづくりで社会に貢献し全社員の幸福をめざす」という経営理念のもと、ものづくりに力を注ぐだけでなく全社員の健康や心に寄り添う環境づくりを徹底して行っています。本レポートでは、社員の生の声をもとに、中田製作所が行うものづくりと社員に対する取り組みを紹介していきます。
 まず、ものづくりで社会貢献するための取り組みを紹介します。一つ目の取り組みはジョブローテーション制度です。この制度を導入することによって全社員が製品の製造過程を把握し、会社に対する理解を深めています。二つ目の取り組みは「エミダス」というサイトでの製品紹介です。これは中田製作所を社会全体に発信するために行っています。見やすく詳しい説明がなされていることからサイト内のアクセス数が五年連続全国一位を達成しており、これからも継続されることが期待されています。このような取り組みのほか、営業担当の方はモノではなく「技術」を売ることを意識していると話されていました。既存の取引先の期待にこたえ続けられるよう、日頃から信頼関係作りを大切にされているそうです。
 次に中田製作所が社員に対して行っている取り組みを紹介します。一つ目は健康面をしっかりサポートする取り組みです。具体的には毎朝ラジオ体操、社割でのお弁当販売、インフルエンザ予防接種や健康診断の実施を業務時間内で会社にて行っています。二つ目の取り組みは福利厚生の充実化です。有給を七日以上取ることの徹底や記念日休暇、おやじ休暇などを実施しています。働いている時間はもちろんのこと社員の生活全体を支えたいという社長の思いがあるからこそ、ここまで充実した福利厚生が成されています。三つ目の取り組みは社員とのコミュニケーションです。毎週木曜日に社長とのタブレットのチャット機能を用いた交換ノートが行われています。一週間の振り返りを行うだけでなく、日常の小さな悩みまで打ち明けられる機会を作ることで社長と社員との間にコミュニケーションが生まれています。
 ここまで会社の取り組みを紹介してきましたが、私が今回の企業訪問で一番印象に残ったことは中田製作所全体のあいさつの気持ちよさです。また、社員の方々に中田製作所に入社したきっかけを聞いた際には、ほぼ全員が挨拶の気持ちよさから会社の魅力を感じたと話していました。日頃から社員一人一人が目標を意識して業務に取り組み、全社員で共有することで会社全体の一体感が生まれ、更なる事業発展に繋がっています。実際に訪問しなくては分からない良さに気付くことが出来て良い経験となりました。

経済学部2年生
大田 真美 さん

 今回訪問した企業は、大阪府八尾市にある中田製作所という、アルミ精密加工を主とするものづくり企業だ。ミクロンレベルの微細で難易度の高い加工技術を用いて、半導体業界、液晶業界、宇宙・航空業界など幅広い分野の企業と製品の取引を行っているそうだ。
実際に訪問し、社員の方々の挨拶が良く、働きやすい雰囲気を感じられた。工場に案内していただき、それぞれの機械がどのような加工をしているのか、部署での業務内容などを見学している中、仕事中の社員も多くいたが、どこを見ても顔を見て挨拶してくれる方がほとんどで嬉しく感じた。
 また、社長と社員や社員同士の距離が近くて、働きやすそうな雰囲気だと感じた。社長とのタブレットのチャット機能を用いた交換ノートで1週間の良かった点や悪かった点、来週頑張ること、プライベートの話をしたり、年の近い先輩社員に相談したりできるメンター制度を活用しているようで、不安なことや悩みを和らげるためにこのような制度を取り入れていることや、愛のこもったコミュニケーションをとれていることが良い雰囲気を作れている理由なのだと感じた。
 私がもっとも気になっていた有給制度や残業については、誕生日などの記念日や10年以上働いている社員には中田製作所独自の休暇制度があったり、残業時間は月40時間以内ということを徹底していたり、安心して働ける環境であると感じた。残業時間が増えてしまうのは、仕事が混み合って残業時間がオーバーしてしまうということは、業績上昇につながっているが、仕事の取り過ぎが原因となっているので、評価は下がってしまうという意外な対応ではあるが、働き過ぎ防止になって良い考えだと思った。会社を実際に見て、どのような働き方をしているのかを聞けたのが初めてだったので、ここまで管理がしっかりされた会社があることに驚いた。
 最後に感じたことは、社長だけで無く、社員も一人一人がそれぞれの仕事の中で、目標を持って働いていることがすごいと思った。社長の引っ張る力に答えて全員が仕事に一生懸命取り組んでいるということが、短い時間の中でも伝わってきた。とてもいい会社だと思った。

経済学部2年生
宇井 源一郎 さん

 今回、中田製作所への企業訪問を行った事で、就職や企業で働くといったことに対しての認識が大きく変化した。以前までの私は、就職先は違えど根本的には全て同じであるだろうと考えていた。特に働きがいなどの言葉は、嫌々ながらも働く自身を、正当化する為のものだろうとまで考えていたのだ。しかし、今回の企業訪問を通して、それらは決して絶対的なものではない事を理解した。
 私は、実際に中田製作所を訪れてみて、2つ程大きな印象を受けた。まず初めに受けた印象は、とても清潔に保たれているということであった。応接間は勿論のこと廊下や階段、トイレまでもが非常に清潔な状態だった。これらは当然の事であるとも言えるだろう。しかし、私はこれほどの清潔さが保たれ続けている事に驚きを感じのだ。
 次に印象的だったのが、社員全員の挨拶についてであった。コミュニケーションの基本とまで言われる挨拶は、社会人だけではなく、私たち学生にとっても常識の様なものである。しかし、常識と言える程にまで根付いているからこそ、その一つ一つが適当になりがちだ。そんな中、中田製作所の社員の方々は誰一人として適当な挨拶を行っていなかった。全員が仕事の手を止めてまで、丁寧な挨拶をしてくださったのだ。これは、決して簡単な事ではないだろう。常日頃から心掛けていて、初めて為せるものだと私は考える。この様に、中田製作所の社風の素晴らしさは、職場の環境や社員の方の態度から十分に見て取れた。
 ところで、初めに言った様にこれまでの私は、働きがいなどの言葉は実際には存在しないと考えていた。生き生きと働く人を見たことが無かったからだ。しかし、中田製作所を訪れて、この認識も大きく変化した。訪れて間もない時点から、既に認識の変化を感じてはいたが、インタビューの際にそれは決定的なものとなった。一人一人がそれぞれの目標を持って取り組んでいた事や、社長の方針通り愛を大切にしている事が感じられた。そしてそんな社員の方たちからは、嘘偽りのない働きがいが伝わってきた。これによって、これまでの自身の認識が誤りであったことを理解したのだ。人間関係や社風、職場の雰囲気など、どれをとっても非常に魅力的に感じられる企業だった。
 これらの様に企業訪問を通して、職場の雰囲気や人間関係、働くことの実態を知られただけではなく、自身の認識が間違っていた事までも知る事ができた。まだまだ知らないことは多いが、この経験を自身の就職活動の際に活かせるよう努力しようと考えている。

ご参考