学生アルバイトが肌で感じたコロナの影響と今後

4回生(三木ゼミ5期生) 松本 華歩

 私は現在、居酒屋、レストラン、託児所の3つのアルバイトを掛け持ちして生活費および学費を賄っている。新型コロナウイルス(以下「コロナ」と略)によって私自身、多くの影響を受けた。飲食店のアルバイトでは4月~6月の期間は営業自粛、営業時間の短縮。託児所では児童の利用回数や行動の変化が見られた。このような影響を目の当たりにして、私がコロナに対して持った考えや今後どのようなことが起きていくのかを提言したいと思う。

 私が働いている飲食店はコロナが蔓延する以前まで、インバウンド効果で賑わっていたなんばの居酒屋とあべのハルカス近鉄本店のレストランだ。両店ともに4月~6月は営業を自粛しており、7月3日現在も営業時間の短縮を行っている。営業していない以上、働くこともできないので必然的に収入がなくなる。ただ、学生アルバイトにも国から休業支援金が支給され、私が勤めているレストランでは1~3月の平均労働時間が支援金として支給された。しかし居酒屋のほうからの支給はなかった。理由はシンプルで、レストランは某大手チェーン店であり居酒屋は私営だったので国から受ける補助などのルールが異なっていたからだ。6月中旬から営業を再開し、現在は業務に勤めているがお客様の動員数や個客単価はコロナが蔓延する以前と比べ物にならないくらい減少している。特に居酒屋は場所がなんばということもあり、なかなか客足が戻らない。以前は外国人旅行客、仕事終わりのサラリーマンや学生など、幅広い年齢層のお客様で賑わっていた店内も静まり返ってしまっている。しかし最近になって増えてきている客層もある。それが夜間を仕事としている方たちだ。同伴などで毎日5組ほど来店してくださるようになった。コロナ前では一日一組が平均的だった。私なりに気になったので調べてみると、コロナが蔓延している期間は国からの要請で夜のお店は営業を自粛していたが6月に入って営業を再開しているお店が増えてきている。営業を自粛していた期間の分の売り上げを取り戻そうとしている動きがあるようだ。夜のお店からクラスターが発生し、第二波として首都圏を中心に日本全体に猛威を振るっている。また、第二派を引き越している原因の一つとも考えられるのが、若者のマスク離れだ。電車内や街を見ていてもマスクを着用していない若者が多くみられる。東京では毎日のように過去最高の感染者が出ているにもかかわらず、マスクを着用していない人は全体の11.4%もいる。(株式会社Wizleap PRTIMES より引用)理由として挙げられているのが、周りが着用しているから自分まで着用する必要性を感じられない、気温も上がってきて暑苦しい、マスクで予防できるか確かではない、などがあげられている。しかし厚生労働省のホームページを閲覧してみると、「風や季節性インフルエンザ対策と同様に一人一人の咳エチッケトや手洗いなどの実施がとても重要です。極力、外出を控えていただき、やむを得ず外出する場合はマスクの着用をお願いいたします。」と記載されている。私はマスクを着用することで100%コロナを予防できる保証はないが、他人にうつさないというエチケットとして外出の際は必ず着用している。第二波が猛威を振るっている中でマスクの着用率が下がってきていることに無責任さまでも感じてしまう。緊急事態宣言が解かれた現在でもお店にお客様が戻ってこない原因の一つとして、現在でも多くの企業が在宅ワークを実施しているからだ。SUUMOジャーナルの調べによると、日本国内企業全体で3月時点では在宅ワーク率24.0%だったが、4月時点で62.7%まで増加している。そして今回の調べで回答した企業は現在でもほとんどの企業が在宅ワークを推奨している。この迅速な対応と継続力がコロナ第一波を沈められた要因だと私は感じた。ただ、飲食店(特に個人経営者)は客足が戻らないことに頭を悩ませている。私のアルバイト先(なんばの居酒屋)も私営なのでオーナーや店長の苦悩している姿を見ると考えさせられるものがある。緊急事態宣言が出された期間もお弁当販売などでなんとか売り上げはあったものの、同業者の中には慣れない仕事内容、営業時間の変更などで倒れてしまった従業員もいたと聞いた。そうなってしまえば営業を再開するまでに時間がかかる。その期間に国からの保証が受けられず、お店をたたむという事態に発展したお店も家賃が高価な市内(特になんば)では数多くみられた。私はこのような話を耳にしたり、実際に目の当たりにすることで個人事業主や飲食店により迅速な対応はできなかったものかと考えさせられた。

 三つ目のアルバイト先である託児所は「運動療育型児童デイ 児童発達支援放課後デイサービス」といい、障害を持った3歳~18歳の児童をお預かりする施設だ。緊急事態宣言が出された後も、親御さんのやむを得ない場合のみ施設を開放するという対応をしていた。大半の親御さんは在宅ワークになりご家庭でお子さんを視れる環境ではあったが、在宅ワークに対応していない職場の親御さんは苦労されていた。同時に在宅ワークや自粛期間などで家族と過ごす時間が増えたことによる意外な報告を受けた。弁護士相談プラットフォームを運営する株式会社カケコムが「コロナ離婚を考えたことのある人(実際に離婚した人を含む)」100人を対象にアンケートを実施し、6月30日に結果を公表した。その結果、離婚を考えた時期がコロナ感染拡大後と回答した人は全体の半数を占めるという結果になった。その半数の内訳割合は、「コロナ感染拡大後初めて離婚を考えた」と回答した人が47%。「コロナ感染拡大前から何度か考えたことがあるが、自粛期間が決めて」と回答した人が40%。「コロナ感染拡大前から頻繁に考えていた」と回答した人が13%と、コロナによって離婚を考えた人がほとんどだった。理由については「コロナの影響でネガティブな思考が強くなった」「一人の時間を優先したい願望が強くなった」という回答が目立った。(Ý!ニュースより引用)私の勤める託児所でもこのような事態があった。この託児所を利用している児童のほとんどは重度、軽度の差はあれど障害を持っている児童だ。非常に悲しい事態ではあるが、約2か月間を家族だけの生活に耐えられなくなり、離婚に踏み切るケースが多々あった。片親になったために表情が曇ってしまっていたり、元気をなくした子供たちを見るのは非常につらいものであり、私は勤務終わりに何度も泣いてしまった。離婚の原因のすべてがコロナではないとしても、コロナが蔓延していなければ子供たちにとって違った未来があったのかもしれないと考えてしまう。また、小学校、中学校が休校になり入学式、卒業式が中止になった事態がある。これは新たな門出を迎える大学生にも言えることだが、やはり心さみしいものがある。その影響からなのか子供たちも行動などの変化が見られた。一例として、生まれつきパニック障害を持っている子供はパニックを起こす頻度が格段に上がった。医療機関の診断によると学校にも行けず閉鎖的な空間にストレスを感じているのが大きな原因だったようだ。このような児童たちになんとか力になってあげたいと精一杯対応している。そんなときの児童たちの笑顔がなによりの癒しだ。私自身、就職活動にも大きな影響が出ている。私たちの世代(2020卒)は東京オリンピックなどの国際的なイベント、経済の回復傾向などで超売り手市場だといわれていたがコロナで多大なる影響を受けている。私の第一志望だった企業も今年度に限り採用を見合わせた。ネガティブになった時期もあったがこの時代を乗り越えることで自分自身を成長させることができるよい機会だとポジティブに発想を転換させ、日々邁進している。

 私は去年の8月~9月の一か月間ベトナムでインターンシップを行った。その当時はもちろんコロナの影響は全くなく発展途上国の活気や経済のすばらしさを肌で感じてきた。その当時にお世話になった日本人の方々にコロナが世界中に蔓延した日に連絡を取ってみた。すると想像を超える返事が返ってきた。その方たちは仕事の都合上帰国が許されず、現在もベトナムで過ごしている。驚くべきことに親日国で有名なベトナムもコロナがベトナムで蔓延しだしたころから、日本人が差別と迫害を受けているという返信だった。日本人が一人暮らしをしている物件を聞きつけると、違法警察が乗り込み病原体だと罵ってくるケースが多発しているという。町を日本人が少人数で歩いているとナイフを向けられたり、飲食店からは追い出されるということもあるそうだ。また、ベトナムは発展途上国ということもあり、医療技術も発展していない。日本人が差別と迫害を受けている中で、コロナに感染しても十分な医療が受けられない可能性があると大きな不安を抱えていた。このようなケースは世界中でみられている。私たちも無意識に外国人を差別的な目で見てしまっている瞬間があるのではないだろうか。私もなんばで働いていると中国人をよく目にする。コロナが中国で発見された当時から少し気にかかっていたことは事実だ。このような気持ちが集団化し世界的に差別と迫害を生んでいることに虚しさを感じている。最近の欧米では黒人と白人による対立もニュースに上がっている。コロナもそうだがこのような差別的問題は世界中で理解を深めなければ解決には至らないと私は考えている。このコロナ問題は世界で協議されている通り、早急なワクチンの開発や蔓延のリスクを一人一人が意識し、解決に向けて世界中で動いていかなければならない。上記にも記した通り、マスクなどの些細なことでも一人一人が意識し、行動することで世界的にみる感染者数は減少に向けることができると考える。