2019年4月24日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、大東市にある株式会社山田製作所を訪問し、代表取締役の山田茂さん、及び若手社員の皆さんにお話をうかがいました。
 株式会社山田製作所は1959年(昭和34年)創業。産業機械製造及びプレス加工・板金加工・製缶加工を主な事業内容としています。特に3S(整理・整頓・清掃)で世界中から注目を集めており、工具や椅子など一つ一つの置き場所を決め、工場は徹底的に清掃さえています。平成20年(2008年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、また平成21年度には「KANSAIモノ作り元気企業100社」「元気なモノ作り中小企業300社」に選定されるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部3年生 西野 有咲 さん

 株式会社山田製作所は、産業用機械の部品や装置を設計から溶接・組立などの製作を一貫して行っている。製作する上で、製品の途中経過を報告する。製品の進捗状況を報告することにより、取引先に安心して任せてもらえる会社になる。また、この企業は受注型の生産方法を取っていて、取引会社が求めているモノを手作りで作り上げている。それぞれのニーズに合わせたモノを作ることができる高度な職人技を持ち合わせている企業であった。
 企業説明や工場見学を行った際に、整理・整頓・清掃の"3S活動"について、とても誇りを持ってお話しされていた。実際に自分自身が作業するにあたり、とても良いと感じた。特に良いと感じたのは整頓だ。何がどこにあるかを把握できると探す手間が省けて、作業効率が高くなり、管理もしやすくなる。今まで訪問した企業の中で、徹底して3S活動をしていた企業はなかった。このような3S活動を徹底しているからこそ、生産性の高い作業が行えるのだと思う。
 この企業を訪問して、一番驚いたことがある。それは、社長だけではなく社員一人ひとりが自社のことをしっかりと考えていたことだ。12年後こうあってほしいと意見を出し合う機会を設け、社員が出し合ったものが会議室に掲載されていた。社員の気持ちをカタチにできるような会社にしようという社長の思いが感じられた。こういった社員のこと思う社長の考えがあるからこそ、社員が尊敬できる存在であるという言葉が出てくるのだと思った。このように、社長と社員が一つになって会社を営業していることはとても素晴らしいことだと感じた。
 社長の社員や会社に対しての熱い思いが社員を魅了し、3S活動を徹底し効率よく作業ができる社内環境を作り出すことにより、社員が会社を魅力的にすることができる。そして、それぞれの取引先が求めているものを一品モノとして作り上げることで、会社がそれぞれの取引先を魅了することができる会社であると感じた。

経済学部3年生 桑山 楓香 さん

 大東市にある山田製作所を訪問しました。山田製作所では、リチウムイオン電池や半導体、食品、薬、化粧品などといったわたしたちの暮らしに身近な商品の製造工程で使用される製造装置を作っている会社です。もっともなじみ深いと感じたのはiPhoneの液晶に貼られている光学フィルムの製造装置です。山田製作所では顧客の要望をカタチにする技能・技術集団と掲げられているように全て一品モノを製作しています。
 実際に工場見学をして、もっとも驚いたことが工場なのに整理整頓されており綺麗であると言う点だ。女性社員が「工場なのに綺麗と感じた」という言葉にとても共感した。「3S」=整理整頓清掃、この三つの項目に力を入れていると言うのが一目瞭然、一目で感じられる。高校の先生から就職の時に「3S」で有名なところがあると言われ興味をひいて就職したと言う男性社員の声もあった。道具を直す場所が決まっておりその道具の形に象られていて今誰が使っているのかがわかるというボードは新人でも分かりやすく、非常に効率よく作業ができるので良いと感じた。そして、備品の発注を社員みんなができると言うのも画期的であると感じた。人任せにすることなく自分が責任を持って管理出来る。一層、責任感を感じながら働けるだろう。
 また、経営指針を一泊二日で年初めに社員全員で決める。という考え方に、驚いた。新入社員であっても会社に意見を述べられるからだ。「自分に責任を持ち、共に尊重しあえる仲間」まさにこの言葉はピッタリであると思う。
 昇給についても253と言う数の項目のスキルがありそれを利用し年2回評価を行なっていると言う。この様に細かく項目で決められていたら社員皆平等に評価でき良い制度であると感じる。山田製作所は人間関係もよく、社員のことを考えられている働きやすい環境であると感じた。
 約一年間、様々な中小企業を訪問しわたしたちの生活は身近な部分から中小企業に支えられていることが学べた。きっと、訪問をしていなければ気づかなかった部分もあるだろう。ぜひ就職活動をする際は、中小企業にも目を向けていきたい。

経済学部3年生 小谷 彩斗 さん

 今回企業見学で訪れたのは山田製作所。産業用機械メーカーなどから依頼を受けて部品や装置を作っている。また大量生産をするのではなく、一品ものを95%手作業で手掛けている。国内外含め毎年200人ほどの見学者が訪れる。また、第一回学生に教えたい働きがいある企業大賞奨励賞を受賞している。名実ともに評価されている企業だ。
 今回全体を通して最も印象に残ったことは、社長を含め社員が同じ目標、方向を向いているということだ。これは簡単そうに見えてとても難しい。真剣に仕事・この会社と向き合わないと出来ない。なぜこれだけ統制が取れているのか。私は二つ要因があると考えた。
 一つ目は年始にある一泊二日の合宿だ。この合宿は全社員の意思統一や、目標設計をするために行っている。これまで様々な中小企業を訪れたが、目標設計に合宿をするなど聞いた事がない。また、この合宿では経営者が決定するのではなく、全社員で話し合い年度目標・三年間の経営方針・10年ビジョンを決める。この合宿によって全員の意思統一が出来ているのだろう。これは、会社のみならず様々な組織に設けても良いのではないだろうか。
 二つ目の要因は社長の徹底した管理だ。3S(整理・整頓・清掃)や成長支援制度等働きやすい環境を作っている。移動の効率化を図る環境を社員が意識的に作ることが出来れば、移動のみならず作業全体の効率化も意識付けられるだろう。また、どれだけ成長できているか自身で把握できる成績シートを設けている。100を越える項目があり、モチベーションを保つことができる。このように社員が働きやすい環境を作るために様々な工夫を凝らしたことが分かる。
 この二つの要因により、山田製作所は一つにまとまり上手く回っていると考えた。毎度のことだが中小企業はトップである社長の人柄によって社内の雰囲気は大きく左右される。山田製作所の社長は自身の働く姿勢を従業員に見せている。社員が社長を尊敬している姿は多々見ることができた。
 今回で私たちの中小企業見学は終わりだが、一つ分かったことがある。それは、経営者次第で中小企業の雰囲気は大きく異なる。社長の性格がそのまま反映されていると言っても過言ではない。
 多くの学生が中小企業に対してマイナスなイメージを持っている。その現状を打破するためにも会社側が工夫しないといけない。PR不足、雇用条件、そして社内の清潔さ。これらをクリアすれば、もっと学生は集まるはずだ。 

ご参考