祇園祭たけなわの京都で「舞妓・芸妓」と「世界遺産」を堪能
【大野 茂】大学入門ゼミ(1年)+専門演習ゼミ(3年)合同の社会見学

 さる7月19日(日)に、伝統文化そして世界遺産を間近に体験することを目的として、1年生8名、スチューデント・アシスタント含む3年生4名、指導教員の計13名が京の都へ日帰りゼミ旅行を実施しました。
 そもそもの発端は、入門ゼミの始まった四月、大野ゼミ1年生恒例の社会見学先を議論したときでした。昨年度は「ハリーポッターで話題のUSJをマーケティングの観点で体験する」だったのですが、「今年はどこ行きたい?」と学生たちに議論させたところ、全会一致で京都に決定。女子学生たちの「舞妓さん憧れるなぁ」「先生は祇園で遊んだことあるのん?」の発言についウッカリ「無くはないけど…」と答えてしまったのが運のツキ。「舞妓さん!芸妓さん!会いたいなぁ!」の大合唱に、自腹を切る羽目に相成りました…せっかくなので、この際、専門演習の3年生からも希望者を募って、1・3年の合同で行うことにしました。

平等院で金運アップ?仏さまのバンドがカッコイイ!

 あさ10時に京阪宇治駅に集合、前日の大雨で大増水の宇治川を渡って平等院へ。メンバーの大半が関西生まれの関西育ちにも関わらず、意外にも初参拝の者ばかり。鳳凰堂の池の前では、コインを出してお約束の「十円玉と同じや〜!」ドラえもんポケットよろしく自撮り棒を即座に取り出してのポージングにも余念がありません。
 宝物殿に入って、こんどは一万円札にデザインされている鳳凰を鑑賞。最初は紙幣に描かれているという俗物的な関心から近づいたものの、次第に精巧な匠の技に魅入られてゆきます。鳳凰の展示ガラスの前でため息をつく学生たち、古の美術がもつ凄みに気付いてくれたようです。
 さらに展示を先に進むと、様々な楽器を奏でる菩薩の楽団が見えてきます。これは実にユニークな仏さまたちで、学生たちも「菩薩のフルバンドですね」「打楽器系多いなぁ、重低音すごそう」などと現代的な視点での感想を漏らしていました。寺社鑑賞の面白さをわかり始めたかな?

舞妓さん・芸妓さんの一流の踊りとお座敷遊びを堪能

 祇園に移動して、いよいよ本日のメインイベント。巽橋(旅番組や二時間ドラマでもおなじみ)のすぐそば、白川の流れに掛かる橋をわたって訪れたのが料理旅館「白梅」。
 この白梅は、JR東海「そうだ、京都、行こう。」のCMやドラマ撮影でも使われ、有名作家や大御所俳優などもよく泊まっている由緒ある旅館。元はお茶屋だけあって建物の隅々に屋号にちなんで梅の意匠があしらわれるなど、実に艶っぽい建築様式です。旧知の間柄である若女将に無理を云って、特別に昼の宴席と舞妓さん・芸妓さんの手配をしてもらいました。
 学生にはちと身分不相応かとも思いましたが、若いときこそ「本物の、一流の芸」を間近に見るべき、見せるべきという私の(個人的な)教育方針を貫きました。
 舞妓さん・芸妓さんがしずしずとお座敷に入って来ると、さっきまでおしゃべりに夢中だった学生たちが急に無口になります。「本物・一流」が発するオーラに圧倒されっぱなしの様子で、彼女たちが気をつかって話しかけるも、学生たちはみんなドギマギしているばかり。しばらくして実は彼女たちが自分たちと同世代であることに気づくと、やっとリラックスして今度は花街の恋愛事情などについて質問攻め。それでも時折みせる彼女たちのプロフェッショナルとしての片鱗、何気ない所作の美しさに感心しきりの女性陣。一方、男性陣はニヤつく者、恥ずかしがって下ばかり向いている者など反応は様々でした。
 そして「京舞」を鑑賞。地方(じかた)さんの奏でる優美なしらべ、かすかな衣擦れの音、華麗な踊りは息をのむ美しさ。日本の伝統芸能は、一流のエンタテイメントでもあることを再認識しました。
 最後は、皆がやりたがっていたお座敷遊びタイム。三味線にあわせて「金毘羅フネフネ」で戯れます。誰もが爆笑の連続で、楽しい時間はあっという間にすぎてゆきました。

午後も世界遺産、そして妖気あふれるパワースポットへ

 京舞と会席料理を楽しんだ後は、下鴨神社へ。京都には世界遺産がいたる所にあり、しかも下鴨神社の様に無料で拝観できる場所もあります。マイナスイオンのたっぷりの参道「糺の森」を歩き、神聖なる社に赴き心を清めました。
 ティータイムを挟んで、夕暮れ迫る伏見稲荷へ。ちょうど夏祭りの最中で、人いきれを抜けて千本鳥居へ歩を進めると途端にひんやりした空気が肌をかすめます。鬱蒼と生い茂る山の中、日も傾きかけ、どこまでも連なり果てなく続く鳥居に、最初のうちは面白がっていた学生たちが、次第に畏怖の念を持ち始めます。これをつくり出した先人の苦労、お稲荷さまへの敬虔な想いは、現代っ子たちもじゅうぶん伝わったらしく、「もう何か(妖怪とか)が出そうだから、この辺でUターンしましょう」と言い出す始末。こちらの狙い通り、京の持つ闇の魅力にも気付いてもらえた…と思ったら、帰りに参道でお団子やら焼き鳥やらを食べまくる彼ら。おキツネさんも尻尾を巻いて逃げる逞しさなり。

夜は錦でイタリアン、終電まで語らいは続く

 洛中には和食ばかりではなく、イタリアンやフレンチの美味しい店も多数あります。ということで、夜の食事はカジュアルなイタリア料理をチョイス。生パスタや肉をつつきながら、終電間際までおしゃべりは尽きませんでした。朝からずっと行動を共にしたことで、メンバー間のコミュニケーション、団結力も一層深まりました。その場で、さっそく後期のゼミ旅行の話題が出ていたことも(また予算繰りがたいへんだ!)記しておきたいと思います。
(指導教員:大野 茂)

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