産学連携先:(株)電通、吉田秀雄記念事業財団(アド・ミュージアム東京)、ひろのぶと株式会社

 私たち大野ゼミでは、キャリアゼミの活動として、大手広告会社・電通の「アクティブラーニング こんなのどうだろう研究所」と協力して、学生が表現力を高めるためのプログラムの開発を模索してきました。電通が試作した教育プログラムを阪南大学の学生を対象に実施し、そこで見られた問題点を改善し、電通が一般企業や外部団体に有料販売する仕組みです。
 そこで完成したメソッドをあらためて導入し、表現能力をみがき、学生たちの就職活動の実践にも備えています。(コロナの無いとき)毎年、東京と大阪でそれぞれ複数日にわたってクリエーティブ・ワークショップを行います。夏に東京合宿の一環として3年生を対象に、冬は2・3・4年生を対象に大阪で開催します。
どちらも第一線で活躍する現役のプロと直接コミュケーションをとれる貴重な時間です。そして年を重ねるごとに新しいワークショプの手法が蓄積されていくのです。
 さまざまな視点で物事を見ることができる力=着眼力を鍛えること、また他人は自分とは別の見方をしているということを理解、実感すること。それがゼミの大きな目的です。

学生活動状況報告

 今年はコロナ禍のため、東京ではなく、大阪のキャンパスに電通の東京本社からクリエーターの方に来ていだだきワークショップを行いました。開催時期は一番コロナの影響が少なかった11月でしたが、大きな教室の空間を使って密にならないよう最新の注意を払って行なわれました。前から楽しみにしていたアドミュージアムやメディア企業への訪問を兼ねた東京での実施は叶いませんでしたが、ワークショップは、そんなことを忘れさせるぐらい白熱したものになりました。
 広告コピーの基本を学ぶためのメソッド「WHAT TO SAY, HOW TO SAY」は実際の大手クライアントで使われたコピーを分析し、そこから本当に人の心に刺さるコピーを書くための法則を導くものでした。
 また、女性のエンパワーメントをテーマにしたSNSキャンペーンにも協力しました。自分たちの周りにあるジェンダー・バイアスを始めとする「こうあるべき」プレッシャーは何か。そしてそれから解放されて自由になるためにはどうしたらいいか、様々な意見を出し、未来を考えるきっかけになりました。

国際コミュニケーション学部 北濱 菜那

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

株式会社電通
舘林 恵 様

 阪南大学さんとは、2017年度からお付き合いさせていただいています。私たちの「こんなのどうだろう」精神から生まれた様々な教育コンテンツに対する学生の皆さんの反応は、いつも予想外の発見や驚きでいっぱいです。私たちはそこからまた新たな価値のタネを見出して、コンテンツの改良や新開発に役立てています。

 また今年度は、大野ゼミの方々へのヒアリングをもとにして生まれた広告キャンペーンをSNSで実施しました。今後も、阪南大学・大野ゼミと積極的に交流をはかって、企業と大学がコラボした様々な試みを世の中に出していきたいと思います。

教員コメント

国際コミュニケーション学部 大野 茂 教授

 今年度は、社会全体が制約された中で、どうにかして学生たちの創造力を伸ばすチャンスは作れないものだろうかと、苦心しました。クリエーティブではよくあることですが、条件が決められた中で、むしろ面白いアイデアや思いがけない発想が生まれるものです。
 また、昨今SNS上でもっとも注目されるトピックスであるジェンダー問題についても、電通さんが学生たちの意見をうまく掬い上げて形にしてくださる稀有な体験をしました。これも電通さんとの新しい成果の一つでした。