2015.6.29

永田ゼミ 2014年度ゼミ旅行(韓国:済州島)

永田ゼミ 2014年度ゼミ旅行(韓国:済州島)

 永田ゼミでは2015年3月8日から10日まで韓国済州島にゼミ旅行へ出かけました。参加者は教員をあわせて10名。

台湾から済州島へ

 当初、ゼミ旅行の目的地は台湾でしたが、出発の約一ヶ月間に搭乗の可能性があった航空会社の飛行機が墜落。ゼミ生に不安が高まったため、急遽行き先を済州島に変更するという事態に見舞われました。はたしてゼミ旅行を開催できるのか、という不安がよぎりましたが、ゼミ生諸君の対応力の高さにより無事開催にこぎ着けることができました。

済州島初日

 多くのゼミ生が韓国初訪問といことで、不安と期待に胸をふくらませのフライトでしたが、韓国の最高峰、漢拏山(ハルラサン)が出迎えてくれ、旅の成功を予感させるものとなりました。
到着後、島を知るには市場を見るのが一番、ということで旧済州市最大の市場一つ東門市場を散策。特産のミカンをはじめ、豊富な海産物、豚、牛、馬肉といった済州島の味覚が勢揃い。ゼミ生ともども旅の目的を忘れついつい屋台のスイーツに。

済州島満喫

 急遽の行き先変更、かつすでに冬休みに入っていたということもあり、行き先や活動内容はゼミLINEで連絡を取り合い、最終的には現地で状況をみながら決定するという方法をとりました。
 済州島は大阪府程度の大きさで、効率よく動けばかなりたくさんの場所を訪れることができるということで、二日目は現地でマイクロバスをチャーター(一人3,000円)し、島の東部(サングムブリ−城邑民俗村−城山日出峰−萬丈窟)を重点的に巡りました。
 城邑民俗村では、村のオモニから「三多島」(風・石・女)と「三無島」(泥棒・物乞い・門)の説明を受けました。いつも以上に熱心に説明に聞き入るゼミ生をみながら、ゼミでもゼミ生が興味をもち熱心に聞き入る授業をせねばと、自省するよい機会となりました。ここでは18世紀頃から済州島で盛んに作られるようになったというトルハルバン(石のおじいさん)とも念願の対面をはたすことができました。
 島についての学習を終え、海の幸を満喫した後は、この旅最大の見所でもある世界遺産城山日出峰へ。海岸越しに眺める城山日出峰は絶景でゼミ生の期待度は最高点に到達。現地到着後、30分程度の登山が待ち構えているともつゆ知らず。外気温6度、台風を思わせる強風のため体感温度は2〜3度のなかでの登山は相当に堪えたようですが、頂上からの眺めはその疲れを忘れさせてくれるものでした。
 なお下山途中、予期せぬ幸運が。司馬遼太郎の『街道をゆく耽羅紀行』でも取り上げられていたため会えればと思っていた海女(ヘーニヨ)に運良く遭遇。海に入る前に観光客の前で歌と踊りを披露するなど、たぶんに商業化している感は否めませんでしたが、風が吹きすさぶ極寒の海へ、かなり高齢と見受けられる海女さんたちが平然と入っていく姿は圧巻でした。
 最終日はフライトまで時間があったため、島の南部の天帝淵瀑布へ。前夜にゼミ生全員で行ったゲームの結果、三名の路線バス捜索メンバーが選出されました。三名は、ホテルのフロントで、英語とスマートフォンを駆使して路線バスルートを聞き出し、無事に路線バスに乗り込むことができました。最低気温0度のなか、寒さに震えながら探し出した天帝淵瀑布の勇姿はゼミ生全員の記憶に深く刻み込まれたようです。
 なお、車窓からですが済州馬にも出逢えたことは今回の大きな収穫でした。済州馬は済州島が約90年あまりモンゴルの支配下におかれていたときの置き土産。その馬体は、まさにモンゴル馬で、漢拏山(ハルラサン)の裾野で草を食む済州馬を眺めながらさまざまな歴史的夢想に耽ることができました。こんなひとときの贅沢な時間を楽しめるのも旅の醍醐味ではないかと思います。

雑感

 済州島に到着後、違和感がない、という違和感がつきまとうことになります。その違和感は空港到着から旧済州市の市場まで続くことに。そこではたと気づいたことは、それは韓国語をまったく解さないにもかかわらず、外国に来たという緊張感がないということでした。まったく言葉の通じない韓国、学生主体の旅とはいえ、立場上、当然多少の緊張感が生まれるはずなのですが。
 なにが原因なのかとしばらく考え込んでいたとき、ふとあたりから聞き慣れた言葉が耳に飛び込んできました。その言葉は、そう聞き慣れた中国語。思い返してみると空港でもホテルでもレストランでも中国語が飛び交っていたのです。普段訪れる外国と言えばほぼ中国語圏だったので、中国語が飛び交っていることに違和感を覚えなかったのです。そこで周りを見渡してみると、あふれんばかりの中国語の看板や張り紙。レストランでもハングルが読めなくても中国語が分かれば注文ができ、韓国語が話せなくても中国語が話せれば買い物ができる。
 あらためて中国人の海外旅行熱の高さを思い知ると同時に、日本と同じく観光を国の一大産業とする韓国の徹底したサービスのあり方を垣間見ることになりました。
 ゼミ生にとっては、自分たちで旅行を作り上げていくことの楽しさや、難しさを知るよい機会になると同時に、またわずか三日ですが、ともに行動することでお互いの距離がぐっと縮まったことも大きな収穫だったようです。
 この度のゼミ旅行は、訪れる機会のなかった済州島にゼミ生によって誘われ、これまでとは異なった角度から中国語圏世界を見るという貴重な時間となりました。このような機会がふたたびゼミ生によってもたらされることを期待しつつ、擱筆。
永田拓治