半期開講の「国際ボランティア」は、受講学生が「ボランティアとは何か」という問題を徹底的に考え、再定義することから始まった。そこで行きついたのが「win-win」というキーワードである。

 そのうえで学生たちは、自分達をツアー利用者に見立て、「自分たちがしたいボランティア+観光ツアー」をテーマに据え、徹底的にツアー利用者の視点に立って現地の人との交流、ボランティア、かつ観光やショッピングなども楽しめる旅行プランを作成し、2019年9月2日から7日にタイボランティアツアー実施した。

東藤 あずさ

 観光では、タイの寺院巡りを主にツアーを組みました。いくつか観光した寺院の中で私達がもっとも印象的だったのは「ワット・パクナム」です。下方にある写真の通り天井が青緑に広がるとても色鮮やかな寺院で、SNSでも「映える」と人気のスポットとなっています。私達もタイパンツを着てステキな写真を収めることができました。
 寺院の外に出て、集合写真を取る際に、警備の方に、足をあげ足の裏を見せてのポーズはしてはいけないと注意をされました。仏に対して失礼にあたるからだと言われ、文化の違いや価値観を学びました。
 また、寺院巡りでの交通手段で沢山の乗り物に乗る体験をしました。「シーロー」というトラックの荷台を屋根付きで人が乗れるように改造された乗り物や、「トゥクトゥク」という3輪自転車、「バイタク」と呼ばれるバイクタクシー等タイならではの乗り物に風を感じながら楽しむことができました。さらにタイといえば象という事で象乗り体験もしました。大きな象の背中からの景色は遺跡や寺院を象目線で眺めることができたり、象使いと象との信頼をすぐ近くで実感することができたりと象に乗ったから分かる発見や体験ができました。
 そして、タイの食といえばタイ料理。初めは日本食と匂いや味の違いに驚きましたが、たくさんの調味料が使われたタイ料理の虜になりました。特に蒸し鶏とご飯がついた"カオマンガイ"は毎日のように食べても飽きないほどお気に入りになりました。

 ボランティアを目的としたこの企画の中で、観光を共にすることで人の優しさ、料理の美味しさ、乗り物の違い、動物の触れ合い等、タイの国の良さを学ぶことができました。
 タイと日本の違いは、王様がいると言う所です。タイ人は王様を尊敬し、感謝しているからこそ、お店や市場の商売人、タイの学校の生徒等、優しさが溢れている事を身近で実感することができました。特に私達のタイツアーの半分を共に過ごした通訳ガイドの方、通称「ケンちゃん」の優しさはタイ語を話せない私達の大きな支えとなり、安心して外国で観光することをできました。人との触れ合いを通して、その国の良さを体で体験し、是非この経験を次の後輩に受け継げればと心から思えたボランティア、観光ツアーでした。

西上 櫻

 タイに行くまでの週に一度の授業の中で、ボランティア活動の内容・タイの観光スケジュールを場所、行く手段、英語も通じるホテルなど様々な条件を立てて決めていきました。初日から三日間ほどはタイ人のガイドをつけていたため、思いもよらない穴場スポットや日本人は一人もいないマーケット、屋台に連れて行ってくれました。せっかくタイに来たのに辛い物が苦手な私のために、そこまで辛くない料理を頼んでくれたり、言ってもいないのに、ホテルに行くまでにコンビニに寄って自分たちに夜食を進めてくれたり、とても優しくて面白い、サービスいっぱいの観光でした。
 ガイド付きの三日間が終わり、残りの三日間は自分たちのみでの観光が始まりました。日本で行き場所や時間を細かく決めていたため、電車の使い方や駅の見方など、思ったよりもスムーズに進めることができました。しかし日本で決めた通りに全部が進むわけではなく、時間や費用を考えて変更した部分もありました。やはり実際に来てみないとわからないことだったり、来てみてわかったりすることがたくさんありました。調べてもわからないことは英語が通じそうな人に聞くことで解決していきました。スリル満載の勇気かつ体力勝負の旅にもなりました(外国のホテルならではのハプニングやタイならではのでき事も・・・)。  
 毎晩ホテルの一つの部屋に集まり、たくさん話して、笑って、助け合ったこのタイ観光のおかげで、行く前よりもより信頼できるようになりました。次にまた、海外に行くならまたこのメンバーと行きたいと強く思います。
 今は、どんなことでも手のひらの上で簡単に調べることができる情報社会です。私たちもタイに行くまでは、ほとんどネットの情報に頼って何事も決めました。きれいな建物、魅力的な風景、おいしい食べ物はどこにあるか、どこから見たらきれいなのかすぐに分かります。しかし、本当にその場所に行くまでの大変さや、行く道で見ることのできる景色は実際に行った人にしかわからりません。
 ツアーを作るうえでもっとも大切なのは、現地に行きその場所にまた来たい、いろんな人にこの気持ちを味わってほしいという気持ちが必要になるのではないかと思いました。この経験を通して、ネットに頼ることはもちろん重要ですが、実際にその場所に行って体験し、感じたことを多くの人に伝えることこそが重要であることを実感しました。
 このメンバーでの「国際ボランティア」の授業は、たくさんのサポートを受け、何度も考え直して試行錯誤し、約一週間のタイでの滞在は濃く、たくさんの刺激をもらえた思い出深い経験となりました。

堀之内 陽向

 観光というとタイの歴史的な場所や建物を見学したり、現地の日常に触れたりというイメージがあります。私もそれらを中心に活動できればと考えていました。しかし、現地で感じたことは、タイの人々の温かさです。私たちはツアー作成にあたり、日本語の話せるガイドの方をつけるか考えました。海外では日本と違い、仕事とプライベートをしっかりと分けることがほとんどです。もしガイドの方がいないときに何か問題が生じて対応してくれなければという不安もありました。しかし、タイ人のガイドは、通訳はもちろんのこと、現地の人しか知らないような場所に連れて行ってくれたり、時には冗談を言って笑わせてくれたり、帰国の時にはわざわざ見送りにも来てくれました。
 ガイドの方だけではありません。乗るべきバスが分からず、英語も通じなくて焦っていたときに日本語で助けてくれた男性、遺跡巡りのときに一切言葉が通じない私たちに身振り手振りでコミュニケーションをとろうとしてくれた現地の小学生、私たちが日本人だと分かると知っている日本語を披露してくれたトゥクトゥクの運転手、タイで何人の方と話したか分からなくなるほどたくさんの方と言葉を交わしました。

 ボランティアは何かを人に分け与えることである、私はそう考えていました。だからこそ、タイの高校へいき日本人と交流したという経験を彼らに与えたかった。しかし、いざこの国際ボランティアの授業を振り返ってみるとボランティアしてもらったのは私のほうではないかと気づきました。
 この授業をとっていないと、これほどボランティアについて考えることはなかったでしょう。タイについてもなんとなく同じアジアの国ぐらいにしか考えていなかったかもしれません。
 私は今回の体験を通じてタイについて多くの知識を手に入れました。途中でタイに行くことを諦めていれば、今回の楽しかったこと、大変だったこと、自分がタイで感じたことという経験を手に入れることはできませんでした。私たちは6人でタイへ行きました。たった6人でも意見が合わないことがたくさんありました。どうすれば自分の意見が伝わるだろう、なぜこの人はこう考えるのだろうと自分について、相手について、たくさん考えました。しかしこの過程があったからこそ今回のタイボランティアは成功させることができたと考えます。
 私たちは6人でタイへ行きました。しかし、行くまでにはたくさんの方が関わってくださいました。昨年ゼミナールの活動としてタイへ行った先輩方、旅行会社の方、授業担当の永田先生。私たちは周りの方々の支えなしにはタイボランティアは成功していないと思います。この授業を通して、共にタイへ行った仲間、支えてくれた全ての方に感謝したいと思います。