半期開講の「国際ボランティア」は、受講学生が「ボランティアとは何か」という問題を徹底的に考え、再定義することから始まった。そこで行きついたのが「win-win」というキーワードである。
 そのうえで学生たちは、自分達をツアー利用者に見立て、「自分たちがしたいボランティア+観光ツアー」をテーマに据え、徹底的にツアー利用者の視点に立って現地の人との交流、ボランティア、かつ観光やショッピングなども楽しめる旅行プランを作成し、2019年9月2日から7日にタイボランティアツアー実施した。

廣瀬美来

 2019年9月2日私たちはタイのシンブリーにあるシンブリー高校でボランティアをしました。このボランティアをするにあたり、私たちはボランティアとは何かを考えました。私たちが出した答えは、ボランティアとは、一方通行ではなくwin-winであるべきで、また、ボランティアと愛は≠の関係ではないかという事です。
タイ:シンブリー高校
 そんなボランティアをタイの高校でするために、私たちは6つのゲームを考えました。対象は、タイで日本語を学んでいる高校生です。日本らしく、日本語を楽しんでもらえるようなゲームを考えました。だるまさんがころんだ、福笑い、ジェスチャーゲーム、日本語並べ替えゲームなど。
 ボランティア当日、全校生徒の前で挨拶をする機会があり、タイ語で挨拶しました。初めてのことだったのでとても緊張しました。タイ伝統の踊りを見せてもらい、タイのおもてなしも体験させてもらいました。
 ボランティアは大成功でした。時間の使い方など反省点はいろいろありましたが、タイの高校生と楽しく交流することができました。特に「だるまさんがころんだ」は、大変盛り上がりました。タイの高校生にとって初めて言った日本語のワードであるにも関わらず上手に日本語を使ってゲームをしてくれて嬉しかったです。
 最後に、この特殊講義4(国際ボランティア)の授業を受講することができたことは、私の大きな経験となりました。ボランティアの良さ、タイの素晴らしさ、タイの方の優しさを感じました。来年もこの授業が開講し、シンブリー高校との関係が続いて欲しいと思います。

二俣百花

 講義の最初の頃は様々な壁に衝突しました。それはボランティアについての無知、授業の進め方(計画の立て方)、時間配分などのすべてにおいての方法がわからなかったことです。私たちは無知であることを実感し、改善しながら、先生に情報の提供や講義の在り方などを教えてもらいました。それらの情報を活かして自分たちなりに工夫をし、時間の許す限りボランティアの内容を詰めていきました。このタイでのボランティアは「交流」と「日本のことを知ってもらう」ことが目的として行いました。最終的には、現地の生徒たちに日本でポピュラーな遊びやゲームをして楽しんでもらうという形に決めました。また、これらのゲーム内容を考えるうえで一番重点を置いたのは、単純な内容でかつ説明が簡単にできる遊びであることです。それはなぜかというと、タイの生徒たちの言語は「タイ語」であるからです。しかし、そのタイの生徒たちは日本語を学んでいる環境にありました。ですが、いくら日本語を勉強していても、難しい言葉遣いをしたらみんな理解しづらくなってしまいます。その点を配慮しつつも私たちはわかりやすくて盛り上がりそうなゲームを考えました。
 そして、考えたものを現地に行ってやってみると大盛況でした。すごく嬉しかったです。自分たちで考え、悩み、時間をかけて作り上げたものがたくさんの人の笑顔を作ることができたこと。その光景はこれからも忘れることはないと思います。また、言葉は通じ合えなかったけど、それでも仲良くなることができ、みんなの笑顔をたくさん見ることができました。それらのことを踏まえてわかったことは、たとえ言語がなくても人は仲良くなれる(交流できる)という事です。さらに、人と交流する上で大事なのは、言葉ではなく「気持ち」という事がこのボランティアを通して実感することができたとともに、私たちを驚かせ、かけがえのない思い出をくれました。
 このボランティアに携われたこと、大切な仲間に出会えたことすべてに感謝しています。

西本晴紀

 実際に行って、やってみるまで半信半疑だった。行ったことのない、英語が通じない状況で、いくら日本語を学んでいる生徒が相手だとしてもやり通せるのか、と。結論から言えば、それは杞憂であり、一体自分は何をそんなに心配していたのかと思うほど現地の生徒たちと通じ合えた。つかみで大盛り上がりのじゃんけん大会、総勢100人以上のだるまさんが転んだ、他の日本の遊びも、少しの日本語と身振り手振りの説明であったにもかかわらず、大成功に終わった。
 この日本文化に根付いた遊びと、それを日本語で説明し相手に伝えることができた、ということは私たちにとってとても重要な意味を持つ。というのは、私たちのボランティアツアーの二本柱である異文化との交流を通しての異文化理解と自文化の発信との両方を達成できたといえるからだ。とくに後者は自身の自信に繋がった。前者はもう日本ではない異国の文化圏にいるということ、それに触れて観察し自分なりに解釈するだけでなし得るものであるため、空港に着いた瞬間から関空行きのハッチが閉まるまで継続して行うことができたといえる。

 一方で、自文化を伝えるというのはとても労力がいるし、準備がいる。どうすればわかりやすく伝えられるだろうか、短い時間の中でどういった日本文化を取捨選択して紹介するべきなのか、選んだ物にはどんな魅力があるのか、それら一つ一つを丁寧に考えていく必要があった。限られた授業時間は一瞬で過ぎていき、正直に言うと焦っていた。しかし、同時にそれがどうにも楽しくて仕方なかった。「ボランティアとは」という根本的な問題から具体的なボランティアツアーのプラン作成まで全ての過程を楽しむことができた。Win-winこそがボランティアのキーワード。私たちの行動でタイの生徒たちが笑顔となり、彼・彼女らが楽しかった、と言ってくれた。この二つの事実さえあれば我々のボランティアが成功したということに疑いを差し挟む余地はない。