共に歩むための異文化理解:韓国伝統舞踊を鑑賞

 多様な異文化を直接体験することによって、その文化をより深く理解することができます。また、異文化の体験は自国の歴史や文化を振り返るきっかけとなり、自国文化を複眼的な目で考察できる能力を高めます。私たちCHOゼミでは、国際感覚を持ってより広い世界に目を向けることができるよう、様々な文化体験に出掛けています。この度は、そのような自分達の異文化体験を国際コミュニケーション学部の1年生たちとも共有すべく、「異文化理解入門」の授業の中で異文化を紹介し、1年生たちが実際に異文化を体験できるような企画を実践しました。この企画は、CHOゼミの先輩達から始まり、今年で5年目もなりました。企画を実現させるために前年度の秋頃から活動を始めます。
 企画の実現までに、私たちは社会人の外部講師の方々と交渉を重ねたり、舞台設置に関するアイディアの交換や日程調整などの連絡を緊密に取り合ったりして、一人前の社会人としての企画力・実践力を養いました。その活動報告として、ここでは、「異文化理解入門授業での韓国伝統舞踊の鑑賞」について報告いたします。

 *この報告は、阪南大学【実学志向型総合的キャリアシステムの構築】事業の2015年度キャリアゼミ支援事業「共に歩むための他者理解 (CHOゼミ)」活動報告の一部です。

 こちらの写真は、「異文化理解入門」の授業中に阪南大学50周年記念館で,ソルチャンゴという伝統舞踊を披露していただいた時のものです。この日は、2つの伝統舞踊を鑑賞しました。1つは、手に剣を持って踊る剣舞(コンム)という舞踊です。剣舞は、朝鮮時代の宴会で公演されることも多かった華麗な剣さばきの伝統舞踊です。剣舞の大きな特徴は、ぐるぐる回るヨンプンデ動作にあります。ヨンプンデ動作というのは、腰を前に屈めたり後ろに伸ばしながらぐるぐる回る動作のことをいいます。この舞踊は、新羅時代にその源泉があると言われ、舞うときに剣がぶつかって鳴り響く金属音も特徴の一つです。
 2つめは、ソルチャンゴという舞踊です。「チャンゴ」は韓国の伝統打楽器を代表するもので、小鼓形の両面太鼓のことをいいます。この楽器を使った演奏形式を「ソルチャンゴ」といいますが、韓国独特のリズムとして、複雑な何種類ものリズムを巧みに演奏していただきました。
 外部講師による舞踊披露の後に、異文化理解入門を受講している1年生たちも、チャンゴという韓国伝統楽器である太鼓を実際に演奏体験ができました。館内に彼らの叩くトントンクンタックンという韓国のリズムが響き渡りました。

異文化理解入門を受講した1年生たちの感想

 これからの国際社会を生きることにおいて、すべての人やすべての国を完璧に理解することができなくても、異文化の方々と触れ合うことによって楽しみながら、彼らの異文化を理解し合える関係が構築できればいいなと思いました。親しむということ、理解しようとする努力をし続けることが重要だと思いました。(S)
 韓国の文化を間近で触れ合うことができました。日韓関係が冷え込んであろうと、文化や音楽を通して、みんなが1つになって、笑顔になり、楽しめることができました。韓国のことを非常に身近に感じるきっかけになりました。マスコミからの情報だけではなく、自分からすすんで、隣の国の文化や音楽を調べていきたいです。(N)
 日本にはない文化が韓国にはたくさんあって、もっとたくさん知りたいなと思いました。このような機会を通して、韓国だけではなく、もっと世界中の文化や日本の文化との違いを学びたいとも思いました。(M)
 映像にあったK-POPコンテストを通して日本人が韓国の歌や文化を知ろうとしている姿に、なぜか心が温かくなりました。最近悪くなっている日韓関係のことを気にせずに、韓国人は日本のことを、日本人は韓国のことを好きになり、たくさんのことを知りたいという気持ちをもっと多くの人にもってもらいたいです。(I)

上図同様体験の様子

公演終了後は、踊り手の方々にインタビューをさせていただきました。

韓国伝統文化についてのインタビュー

Q.舞踊を通して何か得たものはありますか?
A.韓国の伝統文化を深く知れて、いい経験となりました。舞踊をしていなかったら知ることができませんでした。

Q.舞踊の練習時間はどれくらいですか?
A.週に1〜2回で、4〜5時間ほど練習しています。
Q.舞踊やお化粧は今も昔も変わらないですか?
A.時代的な流行があります。昔は派手な化粧でしたが、今は目だけを強調するなどナチュラルな化粧になってきています。

Q.どの年代の人に韓国文化を伝えたいですか?
A.小さい子から大人まで、どの年代の皆さんにも楽しんでいただきです。

Q.異文化を学ぶ学生たちにメッセージをお願いします。
A.社会人として働き始めると時間が全く取れなくなるので、大学生である今の時間を大切にして、旅行に出掛け異文化を接することで、もっと視野を広げてほしいです。

 以上、阪南大学の1回生たちに韓国の文化を直接体験することで、異文化理解を深めてもらえたことに私たちは非常にやりがい感じました。韓国は身近に感じていたけれど、意外と知らないことも多かったようで、1年生たちはとても興味深げに受講してくれました。こうした企画を進めていくことで、私たちも韓国の文化に触れることができ、より一層異文化理解を深めることができました。この日を迎えるまでは、何度も皆と話し合いを重ね、社会の方々とも連絡を取りました。1つの企画に対してみんなで協力して運営していく大変さもありましたが、1年生たちが韓国の文化に興味を持ってくれたことに達成感を感じることができ、大きく一回り成長したことを実感できました。これからも、この経験を無駄にすることなく、今後も異文化の調査を続けていきたいです。

韓国文化院の方と異文化理解入門の授業を企画した3回生のスタッフ

この記事はCHOゼミ3回生 天野智美・貴志涼加・高有由佳・中村愛・橋山茉依・綿谷彩 による共同制作です。