2020年から3年連続でトヨタ自動車(以下、トヨタ)は世界の新車販売台数世界一を達成しました(1048万3024台, 2022年。2023年現在ドイツに本社があるフォルクスワーゲンがトップ)。かつて世界の自動車生産をリードしていたのはアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)社やフォード(Ford)社でした。しかし、アメリカで日本車の浸透により、ついに2008年の世界の新車販売台数でアメリカを代表する企業であるGMは77年ぶりに首位を陥落し、トヨタにその座を明け渡すことになります。

アメリカでもよく日本車が売れた理由は、まず何よりも高品質であることです。下請け企業(関連企業・協力企業)へ発注される部品の寸法・精度も一般的には他社より厳めです。よく知られている「トヨタ生産方式」という独自の生産思想がトヨタの収益性の基盤にあります。そのトヨタの利益を生み出す仕組みについて、文献理解にとどめず、直接関係者・現地研究者に聞き取りします。また愛知県豊田市に行き、豊田市がどのような町であるのか、目で見て観察します。なお、このゼミナール活動は阪南大学キャリアゼミ事業として活動を行っていることを明記しておきます。
流通学部 前田 力輝、水野 水月

学生活動状況報告

私は当初、豊田市へ見学に行くのが嫌でした。なぜなら、1年間みっちり「トヨタ生産方式」の文献を精読したので、わざわざ同じことを確認するために行く必要はないと考えました。しかし、同じゼミの学生に説得され、詳しくは触れられないが、自分が行く必要があると考えを改めました。各種見学もそれなりに興味をもて、定年で退職された元トヨタ社員さんの話を興味深く聞きました。また人柄としてとても面白かったです。

流通学部 前田 力輝、水野 水月

参加学生一覧

前田 力輝、奥野 水月

連携先コメント

NPO法人愛知働くもののいのちと健康を守るセンター
高垣 英明 様(事務局次長)

学生諸君の報告を伺い、若々しい新鮮な感性で明暗、光と影をしっかり押さえた発表でした。日本を代表する企業であるトヨタの経営戦略、労務管理についての研究・学習は非常に大切なものと思います。また来年も、是非おいでくださいますようお願いいたします。

教員コメント

流通学部
片渕 卓志 教授

 今年度の調査実習合宿はトヨタ会館が行っているフォーマルな工場見学、主に「生産組み立てライン」の見学を調査活動の中心に据え、その他、トヨタの元社員から「トヨタ生産方式」や「仕事と生活」について、社会学的なインタビュー形式で面接調査を行うつもりでした。

 工場見学専門の案内ガイド社員よる説明に加えて、現地の元トヨタマンにも説明に加わってもらうという強力な態勢で実地の見学調査実習ができることを楽しみにしていました。ところが、2021年7月12日(月)から休止しているということが分かり、一方で休止の理由と再開の日程が記されておらず、このような休止の状態がいつまで続くのか、本当にキャリアゼミとしての調査ができるのか、実に不安でした。何度か窓口にあたるトヨタ会館への電話のすえ、ようやく工場見学用通路の耐震化工事の完成のめどが立っていないためという話を聞くことができました。たしかに、日本の自動車メーカーの工場見学用通路は工場の製造ラインに沿う形で、「歩道橋」のような形をしており、そのように設置されていることが多いです。それぞれの工程の特徴がよく見えるところまでアテンダントが案内してくれ、そのポイント、ポイントで説明を聞くという形で進行します。ゼミで日産自動車追浜工場の見学をした時も同様でした。外国人の見学もとても多かったです。休止からもうすぐ2年、早く再開されることを期待したいです。

 工場見学ができなかった代わりに、「ジャスト・イン・タイム」を支える「物流センター」を車から見学しました。全国から送られてくる部品を発注された車ごとに1つのキットのように整理して倉庫に配架しているように見えました。「いやー、近くでゆっくり見てみたいですね」と今回お世話になったトヨタの元社員さんも興味深そうにしていました。トヨタは本当に東三河地域の一角にほとんど集中して主力の量産工場が集積しています。この量産型加工組み立て工場が一か所に集中していることの物流コスト上のメリットは実に大きいでしょう。ガソリン価格も上昇し、インターチェンジも豊田市に多い。こうした地の利がトヨタの収益力の高さを支えていると考えます。