流通学部 流通学科 片渕卓志

 今年度の専門演習の研究テーマは「気候変動(地球温暖化を含む)のもたらす諸問題とその原因となる温室効果ガスを出さない市民地域による自然エネルギー発電所に関する実態調査」です。
 4月の「自然エネルギー市民の会」への表敬訪問を前に、プレ企画として、3月に和歌山県竜神温泉で行った合宿で、私たちは、今後も気温上昇が続くと、2100年には地球の平均気温は5.7℃上昇し、一例として日本の関西地方の真夏日(最高気温が30℃以上の日)は5か月(150日)となることなど、私たち人類が化石燃料を燃焼させて作るエネルギーではCO2などの温室効果ガスが発生し、その消費を抑えていかないと、地球の自然環境は大きく変わることを学んできました。さらに地球の温暖化の原因である温室効果ガスを出さない自然エネルギーを使ったさまざまな発電があることも予習してきました。具体的には太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱、海洋エネルギーなとです。
 そして、この日はようやく阪南大学キャリアゼミ事業の提携先をお引き受け頂いた自然エネルギー市民の会(PARE:Peaple’s Association for Renewable Energy Promotion)のオフィスに、ゼミ生一同ではじめての挨拶を目的に訪問し懇談した。CASAの事務局長にもお出迎え頂きました。懇談の主な内容は以下の通りです。

 第一に、自然エネルギー市民の会がこれまで建設した5か所の市民による共同出資による自然エネルギー(太陽光)発電所について概要を教わった。2004年に発足した同会は、当初、風力発電所の建設を目指し、様々な立場の市民やゼネコンの関係者など多方面の市民の参加で盛況のなか設立総会を終えた。そして、鳥取県賀露港、和歌山県すさみ町、丹後半島一寸法師山の3か所で、これまで地元で風力発電を建設したいという要望に応えようと環境アセスメントを実施してきました。同会の『発足10年のあゆみ』には、どれも建設までもう少しのところまで行きながら、保留または中止を決断したことが記されています。現在は鹿児島県南さつま市大浦での風力発電の建設を地元の方々と進めているとのことです。
 第二は、同会が行っている環境啓発活動についてです。小学校の理科の元教諭に来てもらい、実物を拝見させていただきました。今後、学生はPAREに環境教育教室の依頼があった時に、小学生がソーラーカーをつくるお手伝いをすることになりました。
 また、LEDと豆電球(白熱灯)のどちらがエネルギーをたくさん消費するかを手回しのハンドルを回した時に、腕にかかる負担の違いを通じて理解する体験をしました。その体験を通じてLEDがエネルギーが少なくて済み、省エネであること、その分、電気料金が安く済むだけでなく、地球環境にもいいことを学びました。
 光・音・動力・熱のどれがより多くのエネルギーを必要とするかということも、ハンドルを回転させる運動エネルギーの負荷の違いから体験的に学習しました。音を出すにはあまり力が要りません。一方で、熱(上の図の赤いところ)は、いくら回しても温かくなったことを感じられません。ここから電気ストーブや冷房、冷蔵庫などにエネルギーがかかることがわかります。このようなエネルギーについての啓発活動にも協力していくことを確認しました。

当日、ご準備頂いた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
なお、本活動は阪南大学キャリアゼミ事業の助成を受けて行っております。