活動の目的及び取り組む課題

 大阪心斎橋には大勢の外国人が訪れているが、目的地を簡単に見つけられず道に迷っている場合が多い。英語・中国語・韓国語の外国語を駆使し、「歩くインフォメーション」の役割をすることで、日本を訪れた外国人へ些細な日本のオモテナシを提供する。
 外国人から気軽に声をかけられ、道案内のボランティア活動をしながら異文化人との交流を図ることが目的である。
 付随的に、自分たちの中にある外国人に対する偏見や外国語で話す恐怖感をも無くすことが期待される。

活動内容

 日本に旅行で訪れた外国人観光客向けに、大阪市のなんば駅周辺や心斎橋の道頓堀駅付近で道案内のボランティアとして「歩くインフォメーション」活動を行いました。 この活動は、毎回約2時間程度で、毎月4回行われました。毎回6〜7組ほどの外国人旅行客に道案内や大阪の観光情報を提供しました。
 外国人訪問者が約2000万人を超える時代である今、初めて日本に訪れた外国人向けのサービスが充実しているとはいえず、快適な旅行を楽しむことができない場合が多いと思います。例えば、Wi-fi普及の不足、道路標識の誤標記、地図案内の不足、看板やメニュー表記の非英語化、多言語対応のスタッフが待機しているところも少ない事情です。このような状況である為、困っている訪日観光客を少しでも手助けしようという趣旨から、この「歩くインフォメーション」活動を開始しました。駅に設置されているマップや携帯などで、道を調べていたり、周りをキョロキョロしていたり、迷っていそうな外国人の方に積極的に声掛けをし、目的地まで一緒に歩きながら、道案内をしました。
 身振り手振りの非言語コミュニケーションをも駆使しながら、訪問客の母国語である英語・中国語・韓国語で、目的地まで案内をしている間に、不十分な語学力ながらもコミュニケーションを取り合いました。日本とは違った各国の文化事情や歴史について会話をし、その国の文化を理解するなど異文化間の交流をも深めました。外国人に道案内をしたり、コミュニケーションを取ったりすることで、異文化人が興味を持つ日本文化の一面や自分達が気づかなかった日本文化の一面を知ることも出来ました。
 さらに、道案内を手助けした外国人観光客に、アンケート調査にも協力してもらいました。そのアンケート内容は、主に、「日本旅行で困っていることは何か」「日本のおもてなしに足りない部分は何か」などについてです。外国人観光客の視点から、日本そして、大阪を「観光」という観点からのアンケート結果をもとに問題点を見つけ出し、外国人観光客にとってより良い日本、より良い大阪への印象を持ってもらいたいと思っています。活動拠点としている難波を改善するべく、見つかった問題と関係している企業に改善点などを提案しました。
 この街歩きボランティアは、実際に目的地まで辿り着くまで道に迷う心配がなく、分かりにくいような場所へもたどり着ける等感謝していただけることが多かったです。宿を探すにあたり、代わりに電話を掛けたり、店員さんと外国人観光客の間に入り軽い通訳の役割をすることもあります。
 異文化人と共に生きることは、お互いに興味を持ち、認め合い、配慮し合うことで可能になる。私たちの活動がその役割のきっかけを作りたいと思います。

代表学生の感想

 この活動を手掛けだして約2年弱。私たちのしたいことが形になるまで本当に長い時間がかかりました。3年ゼミ生を中心にCHOゼミメンバー全員で,色んな角度から意見を出し合いサポートしあったおかげで,一つの活動が形になる喜びを学びました。ゼロから作り上げる苦しみと楽しさが凝縮されていました。今の落ち着いた段階にたどり着くまで,何一つ無駄なことはありませんでした。沢山の悩む時間や多くの壁に当たったおかげで,改善点を見つけ出しながらより良いものが出来たと感じています。この活動を通して,沢山の外国人観光客との出会いがありました。私たちの小さな活動が異国を訪れた旅行者に小さな手助けになり,良い思い出になると思うと嬉しいかぎりです。
 この活動を通して学んだことをこれからの勉学や就活にも活用していき,色んな事に挑戦しながら成長していきたいです。

国際コミュニケーション学部 3年生 武田 博美

参加学生一覧

池田 梨奈、小田 夏羽、角井 優、勝矢 優香、鎌田 吉美、下家 千春、小林 舞弥、下園 穂乃花、武田 博美、仲田 葵、野口 安佳里、野中 千穂、牧 未来、箕浦 実紗、矢野 未菜美、吉田 宗馬、若狭 美咲、有井 康陽、石倉 果歩、上原 茉里奈、宇佐美 彩夏、裏野 秋穂、上村 真里奈、河合 友紀、小関 遥奈、田中 芙実、谷畠 嵩、中本 綾香、森谷 友哉

連携団体担当部署からのコメント

南海電気鉄道株式会社インバウンド事業部

 この度、外国人のお客さまのご利用が多い南海難波駅の2階の中央改札口と改札口付近において、阪南大学CHOゼミの皆様に外国人のお客さまへの案内を行っていただきました。難波駅では、東アジアからの訪日外国人の需要が高くなり、目的地までの道順等何かしらの手助けを求められる外国人のお客さまが増加しています。
 その中で、CHOゼミの皆様は、困っておられる外国人のお客さまに自ら声をかけて道案内等を行っており、その積極的な姿勢に感銘を受けました。お客さまの中には、満面の笑みを浮かべて感謝しておられる方もおり、日本旅行における利便性向上や「おもてなし」に寄与していることを実感しました。
 一方で、難波周辺に関する理解が十分に深まっていないこともあり、円滑に案内を行うことができない場面も見受けられました。普段から馴染みのない方々にとって、周辺情報を把握することは容易ではありません。しかし、案内を行う場所の周辺情報を十分に理解しておくことで、皆様の語学力を活かしながら、より良い案内を行うことができると思います。

教員のコメント

国際コミュニケーション学部 CHO Mikyung 教授

<チャレンジこそが成長なり>「叩け,そうすれば開く」。
 この言葉は,あらゆることに対するチャレンジを促すものである。このキャリアゼミ活動を指導しながら,チャレンジこそが成長への繋ぎ導であることをしみじみ感じた。
 学生達が自ら企画にチャレンジして取り組んだからこそ,皆で意見を出し合い協力しながら,様々な工夫を凝らし,自分たちの企画を成功に導く努力を惜しまない様子が伺えた。学生達は活動の日々がチャレンジであった。自らの活動場所を確保するために,各関係先と打ち合わせをしたり,交渉をしたりしていた。活動許可を得た後は,不十分な語学力にもかかわらず,身振り手振りの非言語コミュニケーションをも駆使しながら,外国人に道案内をしたり,コミュニケーションを取ったりしていた。不十分な外国語力(英語・中国語・韓国語)で,見知らぬ外国人に声をかけることこそ,毎瞬間瞬間が膨大な勇気を要するチャレンジであった。一つのチャレンジを乗り越えるたびに,彼らの顔には,こぼれる笑みと共に自信感に満ちた成長があった。「叩け,そうすれば開く」。チャレンジこそ成長なり‼ 

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