「共存するための他者理解」のキャリアゼミ活動として,①海外現地での多様な異文化体験による他者理解,②日本国内での異文化体験と他者理解,③高校生の異文化への関心度調査,④外国人旅行客への情報提供による他者理解などの活動を行った。

①海外現地での多様な異文化体験による他者理解

  ① 海外現地での多様な異文化体験による他者理解では,カナダや韓国での留学,韓国観光公社でのインターンシップ,韓国現地での調査旅行の中で,現地の異文化を体験・吸収しながらも,日本文化との比較の観点から調査を行うことで,共存するための他者理解を深めた。異文化の人々の目に映る日本文化を調べたり,日本との違いについて注意深く観察したり,多様な異文化体験や現地人との交流活動に参加した報告をWebに公開し,チーム内で共有した。
  • 1_カナダの小学生との交流で日本語教師体験

②日本国内での異文化体験と他者理解

 日本国内での異文化体験と他者理解では,駐韓国総領事館の大阪韓国文化院を訪ね,韓国文化を直接体験した。その直接体験をより多くの人々と共有すべく,阪南大学の1年生のための異文化体験講座を開設運営した。さらに,奈良国際トラベルフェアでは,駐大阪韓国文化院の韓国PRブースのボランティアとして参加し,韓国観光に関する質問への対応や,来場客への韓国観光資料や文化資料の配布などを行った。異文化の体験や交流,異文化人とチームを作って活動することで,共存するための他者理解が深まった。
  • 2_1年生の異文化楽器体験 ①

  • 2_1年生の異文化楽器体験 ②

  • 2_駐大阪韓国文化院訪問でチマチョゴリ試着

  • 2_奈良国際観光フェアで駐韓国領事館とボランティア

③高校生の異文化への関心度調査

 高校生の異文化への関心度調査は,2015年度のオープンキャンパスで行った。国際コミュニケーション学部の留学ブースを設置し,留学ブースに訪れた211名の高校生を対象に,長短期留学や海外留学を通じての異文化体験への関心度を調査した。大学1年生や2年生の早い時期からの長期留学に興味を持つ学生が多く,海外や異文化に対する旺盛な関心を確認できた。
  • 3_OCで高校生の異文化や留学への関心度調査

④外国人旅行客への情報提供による他者理解

 外国人旅行客への情報提供は,心斎橋の道頓堀で「歩くインフォメーション」を展開することで実施した。外国人旅行客に道案内や大阪の観光情報を提供した。不十分な語学力を駆使し,身振り手振りの非言語コミュニケーションをも駆使しながら,外国人に道案内をしたり,コミュニケーションを取ったりすることで,異文化人が興味を持つ日本文化の一面を知ることが出来た。異文化人と共に生きることは,お互いに興味を持ち,認め合い,配慮し合うことで可能である。他者理解は究極の自己理解でもある。多様な活動を通して,共存するための他者理解を深めた。

参加学生一覧

天野智美、奥井悠香、奥野奏音、加藤紗希、亀川桂子、貴志涼加、高有由佳、近本綾香、中村愛、橋山茉依、綿谷彩、池田梨奈、小田夏羽、角井優、勝矢優香、鎌田吉美、小林舞弥、下園穂乃花、武田博美、野口安佳里、野中千穂、牧未來、箕浦実紗、矢野未菜美、吉田宗馬、若狭美咲

学生の感想

国際コミュニケーション学部 中村 愛

 1年間のキャリアゼミを振り返えると,主体性や実行力が多く養われました。自分たちで企画し,その企画を実行するために社会人とのやり取りで四苦八苦しましたが,企画が実現されたときの喜びは大きかったです。特に,韓国文化院を訪問して,韓国の伝統服装の試着,伝統楽器,伝統遊びなど韓国文化を実際に体験し,異文化体験の面白さを知ることで,自己文化探求への意欲が沸きました。自分たちの体験を後輩たちにも伝えたくて,韓国文化院の方を招聘し,実演を披露してもらいました。これらのやり取りの中で,企画実現や段取りの重要性と社会人との接し方が大変勉強になりました。
 また,2015年度のオープンキャンパスでは、211名の高校生に海外や異文化への興味程度を調べるアンケート調査を実施したり,心斎橋で外国人旅行客のための歩くインフォメーション活動をしたりしました。これらの活動から、共存する社会を作り上げるには,異文化理解だけでなく,自分のことや自己文化を深く知ることの大切さにも気付きました。

教員のコメント

国際コミュニケーション学部 CHO Mikyung 教授

<楽しむ者の成長力は大きい> 子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者。この孔子の言葉は,「これを知る者はこれを好む者に如かず,これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」の意味である。キャリアゼミ活動を指導しながら,しみじみ感じた言葉である。学生達が自ら企画して取り組んだからこそ,皆で意見を出し合い協力しながら,様々な工夫を凝らし,自分たちの企画を成功に導く努力を惜しまない様子が伺えた。学生達はまさしく全過程を楽しんでいて,日々彼らの成長が感じられた。ゼミ活動としてチームで働くためには,状況把握や意見調整,柔軟な対応力が求められる。数多くの活動に対して,時には強いリーダーが,時には役割を分担し,一人一人が主体性を持って取り組む姿や互いに励まし合う姿が伺えた。その中で,共存すること,他者を理解することを学んだはずである。共存するために他者を理解することは自分自身をより深く理解することに繋がる。何より共に歩むための心構えについて深く考える機会となった。異文化は遠くに存在するのではない。自己の価値観と異なる文化の持ち主と接したとき,我々は異文化に遭遇する。異文化人を理解することは,最も幅広い他者を理解することを意味する。