経済学部 三木ゼミ PBLを基軸とする、実業への貢献を通じた学生の課題解決能力・企画提案能力向上と、大阪府/松原市/本学のアピール・イメージアップ

私たち三木ゼミは複数の事業に携わりました。ここでは特に4事業について報告します。

1. はぴなんどら焼き事業

 1つ目は「はぴなんどら焼き」事業です。松原市にある御菓子司吉乃屋との産学連携により、本学のマスコットキャラクターである「はぴなん」をモチーフにした商品開発を行いました。この事業において、私達は餡のフレーバーの提案と学内での販売推進、教職員向け予約販売及び会計管理を担当しました。また、一部の餡には松原市あるいは南河内の農産物を使用し、地産地消を推進しました。2015年(暦年)は約3800個のはぴなんどら焼きを販売し、本学のイメージアップにも貢献できたと思います。

2.ベトナム ホーチミンにあるタクシー会社へのサービス改善提案事業

 2つ目はベトナムのホーチミンにあるSTT(Saigontourist Transport)というタクシー会社のサービス改善提案です。STTに限らず、ホーチミンのタクシーでは遠回りやメーターの改造による「ぼったくり」、不潔な車内、対顧客サービスの質の悪さ等が指摘されています。私達は覆面調査員として実際にSTTを利用してトラブルがないかを確認する、実際にクレームを顧客サービス部門に流してそれが社内にきちんと伝達されているかを確認する、などの調査を行い、これらをふまえた改善提案を行いました。

3.中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消のための取組み事業

 3つ目は中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消のための取組みです。人材確保に悩んでいる中小企業がある一方で、内定が取れない学生がいたり、中小企業を就職先として考えたくてもどの会社が優良中小企業なのかわからなかったり、というミスマッチが発生しています。その原因をアンケート等で調査し、企業側と学生側の問題点を整理した上で、その解決策として「大学生の就職先として魅力ある中小企業」を評価する基準を作成しました。この取組みは来年度以降新2年生に引き継ぎ、実際に中小企業を訪問の上評価し、企業側が改善すべき点については提案を行います。また「魅力ある中小企業」として認定された企業名は本学キャリアセンターと共有、本学学生に活用してもらう他、将来的には他大学にも公開することを考えています。

4.本学8号館へのLED照明(蛍光灯)導入提案事業

 4つ目は本学8号館へのLED照明(蛍光灯)導入提案事業です。8号館の蛍光灯をLEDに交換した場合、何年で初期投資分を回収できるかを計算し、そのシミュレーション結果を基にLED蛍光灯への切り替えを本学施設課に提案するというものです。蛍光灯の本数やその消費電力、初期投資と節約できる電気代を計算し、またLED蛍光灯への切り替えを実際に行った福岡の病院を実際に訪問し、工事の作業工程や導入に伴うリスク、導入時の苦労や工夫した点といった細かな部分も提案に反映させています。近々に施設課への導入提案を行う予定です。

参加学生一覧

松本光司、李章徳

学生の感想

経済学部 松本 光司

 今年度のゼミ活動は、昨年度とは違い自分たちで考え行動するという活動がほとんどでした。
 数ある活動内容の中でも、特に心に残っているものは「はぴなんどら焼き」事業です。季節ごとに餡のフレーバーを考案し御菓子司「吉乃屋」さんに創作どら焼きを作っていただきました。定番のつぶあんを含め、全部で5種類の餡を実現することが出来ましたが、中でも最も苦労したことは秋のフレーバーの考案でした。松原市及び南河内での地産地消をモットーにしているので、なかなか餡に見合うフレーバーがこの地域になく、情報を得るために大阪府環境農林水産総合研究所を訪問しディスカッションを行いました。春のフレーバーで「いちご」が大成功を収めたので、いちご同様に若者に人気の果物である「ぶどう」に着目しました。しかし、水分が多く餡とマッチしないことが分かり最終的に完成させることができた「いちじく」にたどり着くまでに時間がかかりました。
 学生や教職員に対して、個別販売を行うことから始まった「はぴなんどら焼き」ですが、なかなか知名度が上がらず当初は悩まされていました。今では多くの学生・教職員が「はぴなんどら焼き」の存在を知り、本学ご来賓や父兄への記念品(手土産)や経済学部オープンキャンパスの景品にも使用されるまでになりました。他の事業にも言えることですが、自分たちが携わったものが形となったことへの喜びを非常に感じることができる充実した一年間でした。

教員のコメント

経済学部 三木 隆弘 教授

 同時進行で6〜7の課題に取り組むという過激なテーマ設定にも関わらず、頑張ってついてきてくれたことはそれだけでも大変立派だったと思います。特に「中小企業と大学生の求人求職マッチング解消」においては、単年度の取り組みに終わることなく、今年度やりきれなかったことは2016年度以降に引き継ぐ形で終えてくれたことにより、大阪府とも連携しながら更にこのテーマを深掘りしていくことができるようになりました。また「ホーチミンのタクシーサービス改善提案」においては、事前のジャーナリスト取材、MKタクシーでの研修等を踏まえて提言を行ったことが引き金となって、最終的には日本の大手タクシー会社のベトナム進出の動きにまでつなげることができたことは、私達の取り組みが実業の動きにまでつながったという点で高く評価して良いと思います。このキャリアゼミでは、普通に大学生活を送っていたのでは経験できない経験をたくさん積むことができたはずです。これらを十分活かして、今後の就職活動に取り組んでもらいたいと願っています。