2023年1月28日(土)に、阪南大学1号館フロンティアホールで、流通学部加賀美ゼミ、経済学部櫻井ゼミ、国際観光学部福本ゼミ・李ゼミ、経営情報学部竜ゼミの4学部5ゼミで合同発表会を実施しました。

流通学部 加賀美ゼミ

【加賀美ゼミ活動概要】

加賀美ゼミでは「顧客を巻き込むマーケティング競争を考える」というテーマの下、主に企業のマーケティング戦略について、テキストや現地見学を通じて学んでいます。
 今回初めて学部発表会に参加することとなり、学生自身で調査・研究してみたいテーマを決定し、自分たちで資料を集め、発表としてまとめるという取り組みを進めました。発表のテーマと内容は以下の通りです。

1.加賀美ゼミAチーム

テーマ:ペイペイはなぜ急速に普及したのか
【概要】

 現在、多くの消費者がキャッシュレス決済サービスを利用している。そのなかでトップを維持するペイペイが、どのようにして普及し、高いシェアを占めるようになったのか、その取り組みを検討した。ペイペイ導入前の2次元バーコード決済も2000年代前半から存在していたが、ICカード決済に押され一旦はサービスを終了した。しかし、ペイペイは導入初期から消費者向けの多数のマーケティング施策(還元キャンペーン等)を展開し、店舗側にも低利用料を設定する等の工夫を図ることで、急速な浸透を実現したことがわかった。

2.加賀美ゼミBチーム

テーマ:縮小するアルコール市場と各企業の取り組み
【概要】

 現在、若者のお酒離れが指摘されているが、なぜそうした状況が生まれたのか、各企業がどのような対策を打ち出しているかについて考察した。対策として、ノンアルコール・微アルコール市場の創出・拡大に向けて各社の取り組みに違いがみられることが明らかになった。また、若者向けの低アルコール飲料市場の特徴や、クラフトビールメーカーによるファンベース・マーケティング等の取り組みが進んでいることも明らかになった。
 対面での発表機会が少なかったこの数年間でしたが、今回、他学部の学生・教員に向けて発表するとともに、他学部の発表を聞くことで、学生たちも大きな刺激を受けた様子でした。改めて、今回参加した3年生にとって、今後の卒論作成や就活に向けて、とても意義ある機会になったものと考えます。

経済学部 櫻井ゼミ

【櫻井ゼミ概要】

 経済学部櫻井ゼミの2年生は、毎年、奈良県吉野町でフィールドワークを実施しています。今年度は吉野町の上市地区のまちあるきを実施し、上市まちづくり協議会とのグループワークで様々な問題点を理解することができました。そうした課題として、上市地区の駅前開発や空き家の利活用などの取組を今後重点課題として取り上げるとのことで、そうしたテーマをゼミで学修しました。その結果を、各グループで報告しました。

1. 櫻井ゼミAグループ

2年 朝田博貴、河原広大、前田将輝、清水颯、藤本千穂、仁科祥希
テーマ:奈良県吉野町の現状と課題

 奈良県吉野町は、春は桜、夏は吉野川でのアクティビティ、秋は紅葉、冬は雪景色など一年を通じて魅力のあるまちである。その吉野町の最大の課題が人口減少で、1960年は1万8千人いたのが、2015年には約半分の9千人になっている。さらに、少子高齢化も課題である。人口減少による弊害は、地域産業の後継者不足、空き家の増加、税収の低下の3つが挙げられる

2. 櫻井ゼミBグループ

2年 林俊輔、平松華歩、米田敬吾、才木美空、藤井愛海、大林凌弓
テーマ:無人駅の利活用と地域活性化

 2020年三月時点で、日本には9465の駅があり、そのうち4564駅が無人駅で、体の48.2%にのぼる。これは2002年から5%ほど増加している。無人駅のメリットは、人件費を削減できることであるが、デメリットも多い。バリアフリーへやトラブルの対応、不正乗車などである。大和上市駅は、吉野町の中心市街地にある駅だが、無人駅となった。活性化の方法として、近くに安く泊まれる宿泊施設を完備するために駅近隣の空き家を利用することを提案した。

3. 櫻井ゼミCグループ

2年 松島豪太郎、森本夏樹、山本晃暉、金剛瀬萌、山本南、横田千那
テーマ:空き家の利活用と地域活性化

 国土交通省による空き家の定義では、「1年以上使われていない、または1年以上使われていない家」とされている。全国の空き家の数は349万戸で、1998年から2018年までの間に約2倍に膨れ上がっている。吉野町の空き家活用には、SNSなどでトレンド調査を行い、潜在的な吉野町への関心の高い層へのアプローチを掛けることを提案した。

4. 櫻井ゼミDグループ

2年 川北瑠々、泉谷隼也、三木優誠、山本龍星、森山瑞稀、河野秀人
テーマ:芸術を活用した地域再生

 吉野町は地域の活性化にアートを活用している。一つは、「奈良・町屋はならぁと」で、町家利活用の向上、地域力向上、住民の町に対する誇り・愛着醸成、芸術普及や海外への新たな地域価値の発信を目標としている。二つ目が、「MIND TRAIL~奥大和 心のなかの美術館~」で、奥大和を舞台に5時間以上かけて歩き、雄大な自然を作品を通して体験する芸術祭である。吉野町へは、アーティストインレジデンス(※アーティストを一定期間招かいし、その土地に滞在してもらいながら作品の製作をしてもらう活動を提言した。

国際観光学部 福本ゼミ

1.福本ゼミ A チーム

2年:赤路誠之輔、奥村南海、田中李歩、宮本光梨、潮春香、渥美颯也、蘆田良介
テーマ:「天下の台所 大阪の食を楽しもう!」

【発表要旨】

 私たちのゼミでは、来阪修学旅行需要の獲得(リピーター化)へむけて、修学旅行の一部行程に帯同し、大学生目線から大阪の魅力を修学旅行生へ実際に案内しています。「大阪」の魅力を自ら学び、相手に伝える力を高め、修学旅行(観光ビジネス)の現場に臨んでいます。<大阪B&S事業、JTB連携>
 私たちのチームが発表させていただく修学旅行のプランは、「天下の台所」大阪の食文化について学んでいただけるプランです。このツアーの企画背景は、学生たちに普段何気なく食べているカップ麺や粉もんの歴史や製造過程について、自ら体験し、クイズなどを通して楽しく学んでほしいと考えたからです。食品サンプル作り・カップヌードル作り・チキンラーメン作りなどを体験していただけます。
 今回の発表では、2つの観光プランを提案、自分の好きなプランを選び、大阪の食を楽しみながら、学んでいただきます。

2.福本ゼミ B チーム

2年:高梨優七、寺川空汰、市川優也、長谷川楓里菜、井上優輝、竹原愛実
テーマ:「いらっしゃい 商業とグルメの町~大阪の歴史を学ぶ~」

【発表要旨】

 私たちのゼミでは、来阪修学旅行需要の獲得(リピーター化)へむけて、修学旅行の一部行程に帯同し、大学生目線から大阪の魅力を修学旅行生へ実際に案内しています。「大阪」の魅力を自ら学び、相手に伝える力を高め、修学旅行(観光ビジネス)の現場に臨んでいます。<大阪B&S事業、JTB連携>
 私たちのチームは、「天下の台所」と呼ばれていた大阪の商業文化に注目しました。大阪には日本一長い商店街で知られる「天神橋筋商店街」があります。ここは、古くから青物市や寄市、歓楽街として栄え、その発展の起源は水路の充実によるものであると考えました。水路を利用した、他地域との「モノ」の流通が可能となることにより物流の中心となった大阪、特にこの地域は過去栄えたとされています。こうした歴史を受け継ぎ、今日でも商業地域として繁栄しています。
 修学旅行生には、これからの未来社会を支える人材として、「水都」大阪の商業文化への学びを深めていただきます。

国際観光学部 李ゼミ

【李ゼミ活動概要】

 李ゼミでは、「競争力のある観光事業の発展による地域貢献~宿泊施設における体験型宿泊プランの企画提案~」を活動テーマにし、以下の取り組みを行っています。
 今年度は、福井県あわら温泉地域の旅館や兵庫県赤穂温泉の旅館吞海楼、(株)関電アメニックスが運営するホテルエルシエント大阪を対象に、ホテル・旅館のサービスの特徴や集客戦略を学び、地域の魅力が発信できる宿泊プランの企画提案を行います。
 今回の4学部発表会では、2年生を中心とした取り組みで、来年度の宿泊プランの企画・提案を見据えて、一つは、国内温泉旅行における宿泊施設へのニーズの考察、あわら温泉の観光の現状について近隣温泉地との比較を通じて、あわら温泉の強みと弱みを考察し発表を行いました。二つは、あわら市が2023年度中にパートナーシップ制度の導入を目指している点に着目し、セクシャルマイノリティに対する理解を深めることをテーマにしたツアープランを発表しました。三つは、(株)関電アメニックスが運営するホテルエルシエント大阪を事例に、大阪の観光へのニーズの考察や近隣ホテルのとの比較を通じて、当該ホテルの強みと弱みについて考察し発表しました。
 本来、李ゼミでは、夏期休暇中にインターシップをはじめ、新たな観光資源を発掘するための現地でのフィル—ドワークの実施、国内外の他大学の大学生との意見交換会・研究発表会への参加など、多くの活動に取り組みます。残念ながら、3年連続コロナ禍のため、インターンシップ研修など大きく制限を受け、ほとんどの活動が実現できなかったが、取り組みを行ったこれらの活動は、観光事像を多面的に捉え、観光学に関する知識を深めたとともに、今後の就職活動にとっても大きなメリットとなり、卒業後、就職先での即戦力にも繋がるのではないかと考えます。

経営情報学部 竜ゼミ

【竜ゼミ概要】

 経営情報学部竜 浩一ゼミでは、中小企業の実態把握に主眼を置き、現代社会において様々な経営戦略を導入している幅広い中小企業への訪問調査を実施しております。今回の5学部ゼミ発表会では、そうした調査経験を持つ3年生ゼミに、“自分たちが経験したことを共有する”という点を意識して、訪問した会社の情報を説明する形で発表に臨んでもらいました。

【発表要旨】

 今回の発表は主に2種類の内容に分割でき、一つは夏季合宿で訪問した兵庫県、豊岡地域の鞄産業に携わる企業群の経営情報。もう一つは、大阪府、東大阪地域で操業を続ける中小製造業の経営情報についての発表でした。前者は、日本各地に点在する地場産業の中でも地域ブランドを確立して多様な戦略や取り組みを実践している豊岡地域のやり方、組合や連携の仕方、会社一社一社の考え方を知るために訪問しました。後者は日本国内でも有数の製造業集積地域である東大阪地域に着目して訪問しました。いずれも、その中で活発な操業を続ける会社から、学生たちの印象が深かった企業を発表し、紹介していきました。

【感 想】

 今年度、本ゼミは初めて合同ゼミ発表会に参加させていただきました。当ゼミは実際の企業努力を調査で知り、それらを活かして経営学について学んでいくという構成上、他ゼミと比較して明確な発表の方針が設定しづらく、わかりづらいものとなってしまいました。先生方、他のゼミからの指摘などを反芻し、今後の研究や次年度以降の発表について、よりブラッシュアップできればと考えております。他ゼミの頑張りも知ることができ、学生ともども貴重な経験となりました。今後とも、よろしくお願いいたします。