阪南大学は、株式会社富士通マーケティングと共同で開発した「全教室でスマートフォンを利用した座席指定システム」を2019年4月より全国に先駆けて導入します。このシステムでは、教員がいつでも瞬時に講義の座席表をＷＥＢ上で作成することができ、学生はまるで映画館の指定席を確認するようにスマートフォンで自分の座席位置を確認することが可能となります。限られた教室で座席を指定するシステムは従来もありましたが、全教室で座席指定が可能となるシステムは他に例がありません。（注１）

学生は、スマートフォンで簡単に自分の座席を確認できるので、従来、教室に掲示されていた座席表を確認する必要がなくなります。教員は、自分で掲示を作成し、教室に貼ることがなくなるため、講義準備の時間を大幅に節約することができます。加えて、出席登録システムと連動させることで、座席位置に学生がいるのか瞬時に確認できます。

本システムの活用により、特定の学生による座席の偏りが無くなり私語の抑制に効果があることから、健全な授業運営を実現し、本来の講義に専念する時間をさらに創出できます。さらに、毎回座席を変化させることも可能なため、グループワーク等の活性化に繋がり、アクティブ・ラーニングの促進にも寄与します。

本システムはWEBシステムのため、教室の設備に依存しません。結果、全教室・全講義での導入が可能となります。将来的な教室拡張や改築に対応することも可能となります。

阪南大学が、今回の座席指定システムを導入した理由は３つあります。

一つめは大学教育の質の保証への対応です。現在、中央教育審議会より大学教育の質保証が求められるようになりました。それを実現させる方法は様々ですが、大学がまず実施しなければならない基本事項は教育環境を整えることです。座席指定もそのひとつだと考えています。座席指定は、単に座席を決めるというのではなく、どれだけ大きな講義教室であっても、いつ、どこで、誰が講義を受けているのか正確に把握し、十分な教育が提供できているかを確認しやすくするためです。また、座席の指定は、私語抑制にも効果があり、静穏な教育環境を提供することが可能となります。

二つめは学生からの要望です。先にも述べたとおり、座席指定は私語抑制に効果があります。本学では各講義のアンケートと卒業前にアンケートを実施していますが、いずれにも講義の座席指定を求める意見があげられるようになりました。ややもすれば学生は易きに流れがちだと考えられ、座席を指定されることを嫌がるように思われますが、実際は異なっています。学生自身も質の高い教育の提供を願っています。大学としては、こういった学生の意見を真摯に受け止める義務があります。

三つめはすでに本学にシステムを導入する素地があったことです。阪南大学では、すでに富士通マーケティングと2008年度より共同し、一部の教室で座席指定のシステム（注２）を取り入れていました。対象講義では、講義内容の習熟度向上に一定の成果があったことと、受講する学生側にとっても利便性が高まることが証明されていました。

上記の理由により、阪南大学ポータルサイトHInTシステム（注３）の新機能として「座席指定システム」を導入することとなりました。


【注釈】
（注１）阪南大学の調査では、全教室座席指定システムに関する他大学での発表事例はありません。
（注２）阪南大学双方向教育システム（阪南大学 導入事例　「株式会社富士通マーケティング」サイト内）
　http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/case-studies/hannan-univ/
（注３）HInT：　Hannan Internet Tools for Communication and E-Educationの略称
　阪南大学では在学生向けポータルサイトをHInTシステムとして運営しています。