1月23日(金)に、第4回研究・イノベーション学会が開催され、「米国トランプ大統領の1年、どう展開する関西の魅力づくり」をテーマに本学の経営学部教授(元学長)の井上博教授が、第2期トランプ政権の相互関税や日本の経済安全保障政策について講演されました。研究・イノベーション学会は、大槻眞一氏(元阪南大学学長)が関西支部長を務め、現代社会における科学技術の発達を踏まえた研究開発・イノベーションを主軸に、分野横断的な交流と成果の社会実装を推進しています。本学はその趣旨に賛同し活動に協力しています。

 第1講では元近畿経済産業局産業部長の谷原秀昭氏が「大阪・関西万博と近畿経済の概要と今後」をテーマに、万博が国内外からの来訪を通じて関西の魅力発信と学びの機会を生み、閉幕後も地域を牽引する「レガシー」となり得る点を示しました。その上で、物価上昇、人手不足・賃上げ、海外経済動向など不確実性が増す中、とりわけ中小企業の事業環境が厳しさを増している現状を整理しました。また、地域企業の挑戦を政策面から後押しする国の「地域未来戦略」や、中小企業成長加速化を目指す「100億宣言」を踏まえた今後の近畿経済の経済産業政策の方向性を解説しました。
 第2講では本学の経営学部教授(元学長)の井上博氏が「第2期トランプ政権の通商と経済安全保障」と題し、2025年4月に示された、全輸入品への基本関税と貿易赤字額に応じた相互関税を手がかりに、「アメリカ第一主義」に基づく保護主義がWTOを軸とする国際秩序へ与える影響を解説しました。関税を通じた「経済の武器化」が米中対立と地政学リスクを増幅させ、経済安全保障が喫緊の課題として浮上する構図を示し、日本としての備えや論点を提示しました。結びには、日本が自由で開かれた貿易体制を主導するためには、輸出市場の対米依存を是正し、市場の多角化と国際協力の拡大を進める必要があると提案されました。加えて、経済的相互依存を深めて国家間の経済交流を安定させるという日本の伝統的なリベラリズムの発想を、平和国家としての経済安全保障の基本路線として位置付け、変動する国際環境に対応していく重要性が示されました。