縄文人は、自然環境の中で、自分たちが「どのように暮らしていけば良いのか」を考えて適応していました。環境問題などが顕著な現代社会にあって、あらためて、私たちも「どのように暮らしていけば良いのか」を考え、適応していく必要があると考えられます。

縄文人に何か学ぶことがあるのではないでしょうか?

阪南大学には、歴史学や考古学を研究する学部学科はありません。
わたしたちは土器や石器、竪穴住居に詳しい訳ではありませんが、
そんな縄文人の痕跡が、ここ「セブンパーク天美」のそばにもあった!
ということを発信できればと思い、小さな展示をつくってみました。
また、せっかくの機会です。合わせて「セブンパーク天美」建設時に出土した土器なども展示してみました。
当日の「展示パネル」より
 縄文時代の人々は、生きていくために自然環境に自分たちを適応させていきました。現代に生きる私たちは、獲得した科学技術などの発展をもとに、自然環境を自分達に合わせて暮らしています。環境問題などが大きな課題である現在、縄文文化から学ぶことがあるのではないか。そんな縄文文化の痕跡は、普段みなさんがショッピングをされている「セブンパーク天美」のそばにもある。実は身近なものである。ということの発信を意識して展示をつくりました。
 博物館学芸員課程で学ぶ学生(今回参加したのは「博物館実習」を履修している6名)にとっては、実際に展示をつくるという機会、ましてや、実際に多くの方々に見てもらうことが前提である実践的な展示をつくる機会は、大変、教育効果の高いプログラムです。とりわけ、自分達のつくった展示をご覧になった方々の様子や感想などを直接得ることができる点、学生の学び得るものも大きかったのではないかと考えられます。
 なお、この展示をつくるにあたり、大阪府教育委員会文化財保護課・松原市教育委員会文化財課には、土器・石器の借用など、多大なご協力をいただきました。
 ありがとうございました。記して感謝します。

参加した学芸員課程受講生の感想

■ 経営情報学部 峯松修斗
 展示の設営を初めて体験し、実物に触れる貴重な経験を得ることができました。たとえ小さな展示でも、その展示ごとに人に伝えたいテーマがあり、展示の流れがある事を理解することができました。また、展示を鑑賞する人にも、それぞれ鑑賞の仕方や楽しみ方が全く違うことに気が付き、とても興味深く思えました。自分達で作った展示を多くの方々がそれぞれの見方で楽しんで頂けたのなら、とても嬉しく思います。

■ 国際コミュニケーション学部 加藤希穂
 今回、阪南大生として地域に根ざした「天美」の展示に携わることができ、 大変貴重な経験をさせていただきました。「セブンパーク天美」を訪れた方々に、この天美で発見された歴史を見ていただくことができ嬉しく思います。また、私自身も展示から「縄文人の暮らし」を知ることで、現代社会が抱える環境問題について改めて考える機会となりました。この経験を通じて感じたことを、今後の博物館学芸員課程における実習でも大切にしたいと思います。

■ 国際コミュニケーション学部 佐藤由麻
 レプリカではなく、実物の土器や石器に触れ凄く緊張したので、慎重に運びつつ、時間内に準備を終わらせることが大変でした。そのためパネルやケースなど、事前準備が整っていたにも関わらず、思った以上に時間がかかり、博物館での企画展・特別展は簡単にはできないなと実感しました。
 私たちの展示を見てもらえ嬉しかった半面、展示に対する見学者の目線・見え方が気になりました。今回の貴重な体験を通して、裏方の大変さと双方のコミュニケーションの難しさを学び、今後、博物館を訪れた際は、資料と人に感謝しながら見学したいと思います。

■ 国際コミュニケーション学部 小幡あみ
 JOMON DAYSのイベントで展示物の配置の仕方を学ぶことができました。展示ケース内に土器や石器を配置する時、来場者にとって見やすい展示をしようと心がけました。例えば、他の学生と連携して、キャプションの位置のズレや展示物通しに重なりがないかなどに注意して配置しました。
また、今回の展示を通して、こどもから年配の方まで、多くの方々が地域の歴史を知ってくださったことにスタッフとして充足感を得ることができました。今回の経験を基に、これからも博物館学芸員の学習に励んでいきたいと考えています。

■ 国際コミュニケーション学部 横山史華
 多くの方々、とりわけ、2日目はたくさんの人に来ていただけたので良かったです。一番印象に残っているのは、何人かの方から質問をもらったことです。こどもに質問されたときはできるだけやさしい言葉でわかりやすく説明したり、質問されたことで分からないことがあったときは、先生に聞いたりして質問に答えました。私は、人とコミュニケーションをとるのが苦手ですが、苦手なりに工夫して質問に答えられたと思い、うれしかったです。自分の経験の1つになりました。参加して本当に良かったと思っています。

■ 国際観光学部 上林美凪
 今回の「セブンパーク天美」における松原市で発掘された縄文土器や弥生土器、石器などの展示では、初めて、展示ケースやパネルを使い、展示をつくるという経験ができました。実際に見に来てくれる方々が、興味深そうに土器や石器を見て写真を撮ったり、解説を読んだりしている様子は、とても印象的でした。
また、この展示は、ショッピングモールという空間の中で実施されたものですが、新たなコミュニティや交流の場になるのではないかと感じました。
また、このような機会があれば、積極的に学んでいきたいです。

担当教員から一言

国際観光学部 和泉大樹

 博物館学芸員課程の受講生に実践的な展示プログラムを提供できたことは、「実習」という性格の授業において、理に叶ったものであり、教育効果の高いプログラムであったと考えています。
 また、国際観光学部に所属する私は、専門演習(ゼミ)で各地の自治体と連携した研究活動を展開していますが、ここでの連携先からの期待は、教員や研究室に学ぶ学生の専門性はもちろんですが、「若者」や「地域外」からのまなざしという点にも期待されていることも少なくはありません。今回の博物館学芸員課程への期待は、「若者」や「地域外」からのまなざしへの期待ではなく、大学への「知」、「学問的」な期待であり、私にとって専門演習(ゼミ)とは少し異なる新鮮な経験でもありました。
 今回、ご協力いただいた松原市教育委員会文化財課のご担当の方からは、「これを機に市域の文化財に関して、何か継続性・発展性のある取り組みになれば良いですね」というお言葉も頂戴しています。
 今後も様々な大学資源による地域貢献を展開していきたいと考えています。