テーマ:視覚障がい者のためのインクルーシブeスポーツ-障碍者と健常者のeスポーツのデモ
講師:北村 直也(株式会社ePARA Voice 事業部・ブラインドe スポーツプレイヤー)
報告:花川 典子(本学総合情報学部教授)

2025年2月9日、北村直也様を招いて第50回研究フォーラムを開催しました。

 前半は,フロンティアホールにてブラインドeスポーツを中心に,様々な障がいを持つ人たちとのeスポーツを通じての活動を紹介しました.
特に株式会社ePARAの取り組みを中心にお話を伺い,視覚障がい者のみならず,四肢障害や聴覚障碍者が健常者とともにeスポーツを楽しんでいる様子が説明されました.

同時に,ゲームメーカーでアクセッシブ機能(様々な障がいがあってもITの力でそれを補助する機能)の開発協力についてもお話いただきました.
株式会社カプコンでストリートファイター6のアクセッシブ機能開発者とディスカッションし,視覚障がい者がどのような機能を要望しているかを明確にしながら共同して開発した様子を解説しました.
特に,アクセッシブ機能では視覚障がいのために多くの音や音楽,効果音を使いますが,その効果音の大きさや継続の長さ,さらに複数の音の重なりなど,健常者にはなかなかわからない多くの知見を組み込んだ経緯がありました.


 後半は2部に分かれており,視覚障がい者が実際にストリートファイター6を操作してみることと,北村氏のもちこんだ自作の「触って遊ぶテトリス」のゲームの体験をしました.
視覚障がい者の皆様にG-Labに移動してもらい,ストリートファイター6のアクセッシブ機能を体験してもらいました.
北村氏よりデモをしていただき,アクセッシブ機能の音の特徴を説明していただいたのち,各自が学生のフォローを受けながら,それぞれがストリートファイター6を体験しました.
最初は何もできずにすぐにゲームが終了しておりましたが,何度も繰り返すうちに,音だけでのストリートファイター6の仕組みを会得して,多くの皆様に楽しんでもらうことができました.
一部の方は大変上達して,何度もゲームに勝利して大きな歓声が起こりました.なかなか取得できない方もいらっしゃいましたが,大勢の方が楽しんでいただけたようです.

 さらに,131教室に移動して,北村氏と視覚障がい者の皆様の交流会を開催しました.
ここでは全員の自己紹介やコメントをいただき,北村氏の持参いただきました「触って遊ぶテトリス」を順番に体験していただけました.初めての体験でしたが,触って遊べるテトリスが新鮮で高い評価を受けました.
 全体イベントを通じての視覚障がい者の皆様のコメントは,「孫と一緒に遊びたいからスト6買う」「もっと強くなりたい」「次回は友達を呼んで参加したい」「日常生活にもっとサウンドアクセシビリティが欲しい」などでした.
同時におすすめのゲームや上達法などについての活発な質疑応答がありました.
有意義な時間を視覚障がい者の皆様と大学教員,学生,視覚障がい者のボランティアの皆様と過ごすことができました.