平成29年度前期卒業証書・学位記授与式を挙行しました

 平成29年9月29日(金)、本キャンパス1A会議室にて、平成29年度前期卒業証書・学位記授与式が挙行され、5学部5学科16名が卒業しました。
 井上学長は、これから旅立つ卒業生にエールを贈られました。
式辞

 本日、阪南大学を卒業される皆さん、誠におめでとうございます。教職員一同、心からお祝い申し上げます。

 今日卒業を迎えられた皆さんが阪南大学に入学され、過ごしてこられた学生生活はいかがだったでしょうか。阪南大学での様々な学びを通して大きく自らを成長させ、今日卒業の日を迎えられたことに、改めておめでとうといいたいと思います。

 大学生活を振り返りますと、時には勉学のことや友人関係などで悩み、困難に直面することもあったでしょう。しかし、大学でのゼミ活動やクラブ・サークルへの参加を通して新しい友達や教職員と出会い、またアルバイトなどによる社会との関わりの中で、お互いに切磋琢磨して築き上げてきた知識や能力は、皆さんの今後の人生にとって何物にも代えがたい貴重な財産になるに違いありません。
 これから社会人として旅立たれる皆さんの中にはすでに就職先が決まっている人も継続的に就職活動をされる人もおられるでしょうが、いずれは様々な職業に就かれることでしょう。皆さんがこれから旅立つ社会では様々な人々と協力、共同し、主体性を持って能動的に行動することがますます強く求められていくでしょう。

 「経営の神様」といわれた現在のパナソニック、松下電器創業者の松下幸之助氏は皆さんもよくご存じだろうと思います。松下幸之助氏はある日、自社の管理職を集め、リーダーに備わっていなければならない条件として、「愛嬌」、「運が強そうなこと」、「後ろ姿」の3つをあげたそうです。これにはどのような意味が込められていたのでしょうか。直面する様々な課題を解決するためには強いリーダーシップを発揮することも必要でしょう。しかし、組織というのはいうまでもなくひとの集団であり、ひとり一人が受け身で指示を待つのではなく、それぞれがそれぞれの能力を発揮してその役割を果たすとき、その組織は最も活力と緊張感にあふれることになります。幸之助氏の言葉は、ひとり一人が自分で考え、能動的に行動し、リーダーを支えようと思ってもらえることが大切である、そのようなリーダーでなければならないといいたかったのではないでしょうか。それと同時にリーダーを支えるナンバー2の役割が重要になります。いわゆる優秀な番頭が必要なわけです。
 また、時には進めてきた事業や課題がうまくいかず、撤退を余儀なくされるような場面も出てきます。そうした時、組織にとって重要なのは「しんがり」を誰が努めるかということです。登山のパーティーでは最後尾は経験と判断力と体力に最も秀でた人が就くのだそうです。合戦で撤退を余儀なくされたときは「しんがり」は極めて危険ですが最も重要な任務です。天下統一をめざしていた織田信長が朝倉責めの際に浅井長政の裏切りにあい、金ケ崎城から撤退を余儀なくされたとき、しんがりを努めたのが後の豊臣秀吉であったことは有名です。これにより秀吉は信長から厚い信頼を勝ち得たわけです。このように組織の中ではリーダーシップはもちろん重要ですが、リーダーを支えるフォロワーシップが極めて重要なのです。皆さんも企業や様々な組織の中でその能力を大いに発揮し、与えられた役割を存分に果たしていただきたいと思います。
 これから社会に旅立つ皆さんには、大学生活を通して成長してきた自分を振り返り、阪南大学卒業生としての自覚と自信を持って、前に進んでいただきたいと願っています。大学は卒業した皆さんにもいつでも開かれています。必要なときには必要な知識や技能をさらに向上させるために、また本学で学ばれることを期待しています。阪南大学は皆さんを大いに歓迎します。どうか皆さん、健康に気をつけてがんばってください。

本日は誠におめでとうございます。

平成29年9月29日
阪南大学長   井上 博