2016.7.7

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第19号」 学生たちが生み出す機内食商品化をめざして

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第19号」 学生たちが生み出す機内食商品化をめざして

機内食プロジェクトで最優秀賞を受賞

 産学連携事業の一環として始まった「機内食プロジェクト」は、関西国際空港で機内食を提供するAASケータリング株式会社と阪南大学が連携し、学生たちが機内食を考案するプロジェクトです。2014年に始まり、2015年2月10日には2度目の選考が行なわれました。ガルーダ・インドネシア航空の協力のもと、特色のある機内食作りに学生たちが頑張りました。国際観光学部学生委員の委員長を務める高松麗花さんは同学年の高田尚花さんと2人でプロジェクトに参加。あべのハルカスキャンパスで行なわれた10組17人による発表会でみごと最優秀賞に輝き、考案した「Enjoy Colorful Indonesia」メニューが3月26日に関空展望ホールスカイビュー3階の「レジェンド オブ コンコルド」で披露され、4月30日までの1ヶ月あまり、期間限定で出されました。高松さん自身のコメントに続き、インタビュー記事で受賞の裏話などを綴りましょう (芝麻美)。

※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

2度目の挑戦で栄冠を獲得

 入学したときから「何かに取り組みたい」という思いがありました。大学生活を充実させる活動をしたかったのです。5月だったでしょうか、学内情報で「機内食プロジェクト」のことを知りました。機内食を提供しているAASケータリング株式会社と連携し、実際に提供される機内食メニューを学生が考えて発表するという取り組みです。こんな機会は滅多にないと思い、同学年の高田尚花さんと2人で参加しました。大勢の学生が参加するなか、私たちも「ハッピー プレミアム プレート」と名づけたメニューを半年がかりで完成させました。最終選考では優秀賞をいただきましたが、最優秀賞には届きませんでした。よって商品化はされず、悔しい思い出となりました。しかし、リベンジのチャンスは次の年に訪れました。2015年度も第2回機内食プロジェクトが企画されたのです。もちろん、私たちは同じペアで参加しました。制限の少なかった2014年度に比べ、このたびはガルーダ・インドネシア航空への提供が想定され、「ハラール」がテーマとなりました。イスラム法で許される食事のことで、お酒や豚肉などを使ってはいけません。食材が制限されますので、試行錯誤の連続となりましたが、第1回のプロジェクトから苦労を共にしてきた高田さんとアイデアを出し合い、満足のゆくメニューを完成させることができました。そして、念願の最優秀賞をいただき、2016年3月から4月にかけての1ヶ月間、関西国際空港で自分たちが考案したメニューが販売されたのです。2回のプロジェクトに連続して参加し、通算で1年間、機内食会社や航空会社の皆様にご指導をいただけたことは、素晴らしい経験であり、就職活動に向けての大きなステップになりました。ここに記して感謝の意を表します。(高松麗花)

インドネシア的な機内食の創作

:機内食プロジェクトに参加しようと思ったきっかけは?
高松:今回だけではなく、1回生の時にも機内食プロジェクトに参加しました。最終プレゼンまで進んだのですが、結果は2位に終わりました。
:それは残念でしたね。
高松:はい、あのときの悔しさは、今でもはっきり覚えています。大学生活の時間は限られていますので、今年度が最後の機会になると思い、高田さんと話し合って再挑戦しました。自分たちの力を試し、結果を残したい。そういう強い決意をもって参加しました。
:最優秀賞をめざしていたのですね。
高松:もちろん、そのこともありますが、1回生のときにお世話になった会社の皆さまにもう一度お会いしたい。そういう気持ちも強かったですね。インドネシアの国営航空会社、ガルーダ・インドネシア航空にご協力をいただける、ということで、よりレベルアップした機内食をめざしました。
:インドネシアはイスラム教徒の多い国ですよね。食事は「ハラール」ですね、食材選びも大変だったのでは?
高松:イスラム法の制限がありますので、アルコール類はもちろんのこと、豚肉も使用禁止です。ハムは見栄えがいいので、使おうと考えていましたが、残念ながら、豚肉が入っています。彩りを考えると、使いたかったのですが、ダメでした。それじゃ、何を入れて色鮮やかにするのか。そういう点が一番苦労しました。
:メニューの名は「Enjoy Colorful Indonesia」でしたね。そのコンセプトは?
高松:インドネシア航空との共同プロジェクトなので、「インドネシアといえば?」という問いかけをアイデアの出発点としました。ただ、安易にインドネシアの料理を取り入れてしまうと、個性的な機内食を作れそうにありません。私たちが普段食べている食材を使いながらも、インドネシア感を出す。それがコンセプトでしたね。
:発表会での審査基準には「アイデア」「費用」「機内食特性」「作業性」など10項目があったようですが、評価ポイントのなかで一番気をつけたことは何ですか?
高松:一目見てインパクトのある機内食。とにかく、いかに印象づけるかを考えました。ただ、ハラールの条件を満たしながら印象を強くするために、アイデアを練りに練りました。

勝ち抜くためのプレゼンテーション

:最終のプレゼンまでは、どれほどの時間があったのですか?
高松:プロジェクトは2015年の9月ごろから始まりました。最終のプレゼンテーションは2016年の2月でしたので、およそ半年間ですね。
:最終審査までに段階的なプレゼンはあったのですね。
高松:第1回目のプレゼンテーションのあと、順位が出されたのですが、3位でした。このままでは最優秀賞を狙えないと思い、焦りましたね。他のチームとかぶっている内容もありましたので、メニューを最初から作り直しました。とにかく、私たちにしか考えられない個性を出さなければならない。
:メニューも大事ですが、プレゼンの優劣も評価の対象ですよね。何かコツは?
高松:聴く人の目を見て話すことがとても大事です。最低限、これだけは必要と考える内容は、すべて頭に叩き込みました。その上で、アイコンタクトの取り方やパワーポイントの作り方にも工夫が必要です。一目見て印象づけられるように、華やかな写真を取り入れました。
:その機内食なのですが、ハラール以外に、一般的な制約などありますか?
高松:色々とありますね。ワゴンの棚に収納しなければなりませんので、高さが6センチまでと厳しく定められています。
:なるほど。
高松:また、上空では人の味覚が3割ほど失われるそうです。だから、味付けを少し濃くしなければなりません。家庭や一般のレストランとは異なる工夫が必要です。
:勉強になりますね。それでは、今後、機内食プロジェクトに挑戦する後輩に向けて、アドバイスをお願いします。
高松:やはりチームプレーが大事ですね。週1回のペースで集まる時間が設定されていますが、それ以外の時間も使い、できるだけチームが集まる機会を増やすことをお勧めします。時間をどれほど費やすかが、いいメニューを生み出す鍵だと思います。

:最優秀賞を受賞したときの気持ちはいかかでしたか?
高松:最高の機内食を作れたと、自信をもって臨みましたが、他のチームのプレゼンテーションに圧倒され、自信が音をたてて萎んでいくのを感じました。
:レベルの高い競争ですね。
高松:結果発表のとき、最後まで名前が呼ばれず、「今年もダメか」と諦めかけた瞬間に呼ばれました。信じられませんでしたね。第1回目の悔しさがあっただけに、なおさら嬉しかった。
:こちらまで嬉しさが伝わってきます。ありがとうございました。

インタビュー後記

 最優秀賞に輝くと、関西国際空港の展望レストラン「レジェンド オブ コンコルド」でそのメニューが期間限定で出されます。1度の挑戦であきらめず、再度の挑戦で栄冠を手にした高松さんと高田さん。お二人の努力と喜びを高松さんのインタビュー記事でお伝えしました。入賞を果たせなかったチームの学生たちも、自分たちの機内食メニューにさまざまなアイデアや思いを込めて臨んだことでしょう。勝っても負けても、いい経験ができますね。海外旅行では機内食を食べる機会も多いのですが、メニューを作るにあたって、このようなルールがあるとは、思いもよりませんでした。これからは機内食を深く味わうことにします。きっとプロジェクトに参加された学生のみなさんは、一般の乗客とは違った目と舌で機内食を味わえることでしょう。みなさんも参加されてはいかがでしょうか?