国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第6号」恒例ソフトボール大会で強まったゼミ生の絆

全学年のゼミ学生が参加する恒例行事

 2ケ月間近くの長い夏休みも終わり、春から留学に行っていた学生たちも次々と帰国してきます。にぎやかな学期が始まりました。甘いキンモクセイの香りが漂う秋晴れの10月3日(土)、毎年の恒例行事となった「国際観光学部ゼミ対抗ソフトボール大会」が本キャンパスの人工芝グラウンドで開催されました。すでにお伝えしていますように、国際観光学部では、季節ごとに学生たちの熱いイベントが開かれます。なかでも白熱するのが、このソフトボール大会です。大会の準備をするのは学生委員会の学生たち。そのほかの学生たちは、ゼミのクラスに分かれて臨みます。どの大学にも、どの学部にも、ゼミナールの授業がありますが、国際観光学部では、1回生の入門ゼミ、2回生の基礎演習、3回生と4回生の専門演習がそれに相当する授業です。クラスは15人ばかりの少人数で、希望する内容や分野に応じて学生たちが担当の先生を選び、同じようなテーマで学習と研究を進めます。そのため、時がたつにつれてゼミ生たちの結束が生まれ、心も一つになってゆきます。1回生にとっても、半年が過ぎて、仲間意識が高まってきたころですので、「ゼミ対抗試合」と聞いただけで、気合が入るのです。しかも、ゼミの先生も加わり、ともに汗を流すのですから、「頑張らなければ」という気持ちがおのずと高ぶります。試合は学年の壁を越えて白熱し、グランドには大きな掛け声や応援の声が飛び交いました。それでは、私が試合の報告記事、湯栗さんが参加者のインタビュー記事をお届けしましょう。(守安理沙子)

※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

青い空と柔らかい人工芝

 学生委員会の学生たちは、夏休み前から準備を始めていました。グランドの確保、景品の準備、トーナメント出場者の募集、スケジュールの調整など、やることはたくさん。それらを一つひとつ片づけてゆきます。その努力が空に届いたのでしょうか、当日は素晴らしい秋晴れの天気となりました。本キャンパスの人工芝と青空のコントラストが絶好の舞台を作っています。試合の対戦相手は事前の抽選会で決まっていますので、9時に大会の注意事項が説明されると、すぐさま試合の時間へと移ります。試合は無事故が第一。「ケガなく、みんなが楽しめる大会にしましょう」との大声で初戦の出場チームがグランドに走り、さっそく試合が始まりました。国際観光学部が利用している南キャンパスにはソフトボールをするほどのスペースがありませんが、本キャンパスには大会のできる素晴らしいグランドがあります。柔らかい人工芝が全面に張られているため、転んでも、それほど痛くありません。女子学生も怪我の心配をすることなく参加できます。

1回生に顕著な効果

 ソフトボール大会の目的は親睦を深めることです。勝利を目的として、ともに頑張ることで、ゼミの結束力が高まることも大きな効果ですが、多くの学生が参加することで、新たな友達や仲間を作る機会ができることが、さらに大きな効果であると、企画する学生の全員が認識をしています。その効果はとりわけ1回生に顕著です。国際観光学部では2回生後期の基礎演習から3回生・4回生の専門演習にいたるまで、同じクラス、同じ担当教員でまとまります。そうして2回生以上は卒業まで同じ先生、同じゼミ仲間で固まるのですが、1回生の入門ゼミは事務的にクラス分けされますので、学生たちの思いはバラバラです。逆に言えば、それだけに仲間づくりの機会が大切で、このような大会がいい契機になるのです。1回生には入門ゼミのクラスごとに呼びかけ、積極的に参加するよう誘いました。おかげで参加者が増えすぎ、2チームに分かれて出場しているゼミもあったほどです。意気投合を図ろうと、お揃いのTシャツを着たり、ゼミのデザインをプリントしたTシャツを作ったりしています。それぞれにゼミのカラーが出ていますので、見ているだけでも楽しめます。

ヒートアップする試合展開

 審判は学生委員会のメンバーが交代で担当しました。微妙な判定も出てくるでしょうから、「審判に逆らうと退場」とのルールも徹底します。1日で10試合以上も行ないますので、試合制限を設けて調整しています。野球経験のある男子学生と初心者の女子学生では、実力差が大きすぎますので、人数のバラツキによる不公平をなくすために、男子学生は1チーム4人までと制限されています。また、ランニングホームランの多発を防ぐために、打球を飛ばし過ぎると2ベースヒットに留めるルールもあります。これらは前年までの問題と反省の上に決められたものです。長く続けているうちに固まってきた学部ルールです。もちろん、ルールは「全員が試合を楽しむ」ことを目的としています。当日は、先生方だけでなく、南キャンパス教務課の職員の方々も運営にご協力していただきました。そうした支えによって、事故もなく、無事に運営できているのです。ここに記してお礼を申し上げます。

後輩へ伝えてゆく意気込み

 出場したゼミは、森重・清水ゼミが2チーム、和泉・塩路・足立・吉兼・松村・小林・大谷ゼミが1チーム、そして中山・鷲崎ゼミが合同で1チームの12チームです。去年の優勝チームは吉兼ゼミでした。吉兼ゼミの学生たちは吉兼先生の顔をデザインしたオリジナルTシャツを着て毎年参加しています。結束力の強い大本命ゼミですが、今年は惜しくも2回戦で敗れてしまいました。こうなれば、どこが優勝するか予想ができなくなります。ワクワク感が増し、ますますヒートアップします。記事を書いている私も傍観者ではありません。和泉ゼミで頑張りました。去年は2位という惜しい結果でしたので、今年こそ優勝しようと、ゼミの全員が意気込んで臨みました。逆転勝利などの感動シーンもあって、あっという間に決勝戦を迎えます。そして、今年の優勝を勝ち取ったのは森重ゼミでした。和泉ゼミは3位。またもや惜しい結果です。来年こそは、頑張ろう。そういう思いが後輩たちにも伝わってゆくことを願います。

個人の枠を越える機会

 大学生活は個人の枠に収まりがちになり、団結して真剣に競いあう機会は、あえて作ろうとする努力がなければ出てきません。幸い国際観光学部に入ってくる学生の多くは、団結する機会を求め、遊びとも思えるイベントにも真剣に取り組みます。ソフトボール大会がこうして恒例行事となったのは、一時の気まぐれではなく、そういう気風が確実に育っているからでしょう。「国際観光学部を選んでよかった。」必死に球を打ち返し、無心に球を追う仲間たちの姿を見ていて、心からそう感じました。大会の成功を祈る学生委員会のスタッフたちは、なおさら強く感じたことでしょう。(以上守安)

大会を支えた学生委員へのインタビュー

今回のソフトボール大会に限らず、国際観光学部には、さまざまなイベントがあります。創刊号で紹介した七夕浴衣祭りや、10月末のハロウィンパーティーなど、季節にあわせて開催されるイベントは、学生生活の楽しい節目となります。それを主催している組織が、学生たちによる学生委員会です。現在では、1回生から3回生まで、総勢49人の学生が所属しています。10月にはソフトボール大会とハロウィンパーティーの2つの行事があることから、グループを2手に分けて企画・運営を行なっているそうです。
インタビューさせていただいたのは、学生委員会の副委員長を務める高松麗花(たかまつれいか)さん(写真右)とソフトボール大会の運営リーダーを務めた川畑亜紀(かわばたあき)さん(写真左)です。2人とも2回生で、2度目のソフトボール大会でした。学生委員会のメンバーを引っ張る立場の2人は、どのような思いを胸に企画・運営を行なっているのでしょうか。また、イベント運営の裏側には、どのような苦労や喜びがあったのでしょうか。大会終了後に取材しました。

それでも出てくる新企画

湯栗:学生委員会はどのような行事を企画・運営しているのでしょうか。改めてお聞かせください。
川畑:今年度のはじまりは、入学したての1回生を対象としたオリエンテーションキャンプでした。昨年、私たちが1回生のときは、1泊2日のバス旅行で兵庫県の篠山市まで出かけましたが、今年は本キャンパスに1日でという、大幅なプログラムの変更がありました。2日分のプログラムを1日に凝縮することは、思ったよりも大変でしたね。去年までのノウハウがほとんど使えませんので、一からやり直しました。
高松:7月には「七夕浴衣祭り」、10月には「ソフトボール大会」と「ハロウィンパーティー」が続きます。去年は「餅つき大会」もしました。今年もやりたいですね。年度末は、1月の「ゼミ報告会」で締めるのが恒例となっています。報告会も、会場の設定や司会、タイムキーパーなど、やることは意外に多いですね。
湯栗:ほんとうに国際観光学部は恒例行事が多いですね。それでも、新企画を始めようという声はあがるのですか?
川畑:もちろん。学生から「あんなことがやってみたい」「こんなことをするのはどうだろう」という声があがれば、できるだけ叶えようと、前向きに検討します。ただ、時期や運営人員、開催場所、予算を考慮したうえで、実現可能なものであれば、の話ですが…。
湯栗:予算も学生で割り振るのですか?
高松:はい、会計は学生委員会の大切な仕事です。1年間に使える予算は決められていますので、そこから「その企画にはいくら、この企画にはいくら」と、予算を割り振っていきます。
湯栗:そうして計画した企画のすべてを学生が運営する、というわけですか?
高松:基本的にはそうですね。学生委員会の学生が企画・運営をします。学生委員会の相談役である来村先生は、とても頼りになる先生ですが、自分たちのできることは極力自分たちでやろうと心がけています。先生も学生の自治を重んじて下さいます。

大会を続けるための特別ルール

湯栗:ソフトボール大会の運営をしていて、学んだことはありますか。
川畑:学び取ったことは、たくさんあります。思うようにいかず、もどかしい思いもしました。それでも、仲間たちといっしょに大会を成功させたのは大きな経験でした。自信もつきました。出場者を募ったり、スケジュールを合わせたり、備品を手配したり、ボールを数えたりと、挙げ始めたらキリのない地味な仕事の連続です。でも、時間が経てば、いい思い出となるでしょう。
高松:ソフトボール大会に限らず、学生委員会での活動を通じて、全体を見渡す力はついたと思います。「何が足りないか、何がいつまでにどれくらい必要か」と、先々を考える習慣が身につきました。
湯栗:苦労したことはありましたか。
川畑:苦労ではありませんが、ハプニングはありました。夏休みの前からトーナメントを組んでいたのですが、やはり、3か月も前のことになると、スケジュールが変わり、急に辞退するゼミが出てきました。
湯栗:それはつらいですね。
川畑:当日の試合時間も公表してしまった後だったので、対応に戸惑いましたね。他の出場チームに影響しないようにと、トーナメントの大幅な変更を避けたのですが、どうすれば平等に組めるのかをメンバーと話し合いました。おかげで臨機応変に対応するワザは、身につきました(笑)。
高松:去年の反省を活かし、今年はルールの設定を工夫しました。グラウンドのそばには50周年記念館があるので、球を飛ばしすぎては、建物に当たってしまいます。もし傷つけるようなことがあれば、楽しい大会も即刻中止。来年からできなくなるかも知れません。かといって、規則で縛りすぎては、つまらなくなります。
湯栗:それで、どうされました?
高松:考えて決めたのは「建物に当てたら3点減点」というルールでした。それで力の強い男子学生も抑えてくれましたが、やはりバランスが難しいですね。
湯栗:人工芝のグランドはL字型になっていて、2試合を同時に行なうのは窮屈そうでしたね。
川畑:はい、その通りです。だからといって、学外の広いグランドを借りては、予算が足りません。「限られた予算、限られた施設でどれだけ楽しいことができるか」という課題が、つねに与えられているのです。
湯栗:くじけませんか?
川畑:逆に励まされます。恒例行事を開催するたびごとに、過去の反省点を活かしながら企画を練り直し、「去年よりもいいものを作ろう」と心がけています。もちろん、今年の反省点は来年に生かします。
湯栗:今回の運営で、去年と変わった点は、他にありますか?
高松:去年は、受付を1人で、しかも炎天下で行なっていました。あまりにも大変だということで、今年はテントを借り、人数を用意して、交代で受付をしました。
湯栗:学生委員の陰の努力で、私たちは楽しい時間を過ごせていたのですね。
高松:ありがとうございます。そう言ってもらえると、今後の企画運営にもやる気が出ます。このたびも、先輩から「今年が一番楽しかった」と言ってもらえました。仲間たちに楽しんでもらうことが、学生委員の楽しみとなっています。感謝の気持ちを言葉で聞かせていただくと、やはり嬉しいものですね。

来年に向けての反省点

湯栗:来年の大会を企画するに当たっての反省点はありますか?
高松:参加費を集めることに、規程をしっかりと提示しなかったことが反省点ですね。ひとつのチームに対して、参加費として500円を集めたのですが、それぞれのゼミで誰が支払うのかが曖昧でした。納期も設定していましたが、不徹底だったのでしょうか、支払いを忘れるゼミもありました。前もって細かい点まで詰めておくこと。確実に情報を提示すること。この2点が足りなかったと痛感しています。
川畑:当日になって気づく備品不足もありました。大学が貸し出してくれるグローブとバットが去年に比べて少なくなっていたので、参加する学生には、「貸してほしい」と、キャンパスの伝言板に掲示していたのですが、「どれくらい足りないのか」「あといくつ必要なのか」「借りる当てはあるのか」等々の確認ができていませんでした。試合をスムーズに進めるためには、備品をしっかりと確保しておかねばならない。そのことも痛感しましたね。
高松:あと、欲を言うなら、景品をもっと豪華にしてあげたいです (笑) 。
湯栗:今年はどんな景品が出たのですか?
川畑:優勝賞品がたこ焼き器、準優勝が人数分以上の缶ジュース、3位がお菓子の詰め合わせでした。今年は去年よりも予算が少なく、余裕のない状況ですが、うまくやりくりできる道を探ります。

頼れる相談者がいるありがたさ

湯栗:ソフトボール大会から話題がそれますが、現在の学生委員会の雰囲気はどうですか?
高松:3回生は少人数ですが、頼れる先輩が揃っています。2回生が20人くらいで、1回生が23人です。1回生には男子が多く、力仕事を安心して任せられることも、ありがたいですね。
川畑:2回生に女子が多いので、いいバランスがとれています。仲がよく、いい雰囲気です。
湯栗:学生委員会で奉仕するメリットとは何ですか。
高松:私にとっての収穫は、頼れる先輩ができたことです。部活やサークルは同じ目的や同じ能力をもった学生の集まりですが、学生委員たちのタイプや考え方は多種多様で、意見がすれ違うこともよくあります。そのような時に頼れる先輩が身近にいて下さることがありがたいですね。
湯栗:ありがたさを感じる先輩とは?
川畑:お世話になった先輩はたくさんいますが、トークが面白く、誰からも好かれて頼られる先輩がいます。計画がうまく進まず、後ろ向きになりそうなときでも、楽しい雰囲気を作ってくださいます。みんなのお母さんのような存在です。4回生になって、学生委員会からは退かれていますが、今でも困ったときに、的確なアドバイスをくれます。憧れの先輩です。その先輩に近づけるよう頑張っています。目標があるのは、ありがたいことです。

いつでも歓迎します

湯栗:それでは最後に学生委員会のPRを。入会には何か必要ですか?
高松:難しいことは決めていません。とにかく学生生活をもっと楽しみたい学生に来てほしい。そう思っています。サークルや部活では味わえない経験が必ずできます。
川畑:入会に必要な条件はないですね。興味があるなら、のぞきに来てください。学生委員でなくても、自分の好きなことや興味のあることに、どんどんチャレンジしてほしいですね。それが、学生委員であったなら、それに越したことはありませんが…。いつでも歓迎します。
高松:とりあえず、入ってみては。
川畑:頼れる先輩もたくさんいるから、特に入学したての学生は、安心できると思います。裏方の仕事は、確かに大変なこともありますが、ひとりではありません。隣には先輩もいるし、同級生もたくさんいます。学生委員会には前向きで積極的な学生が多いので、友達をつくるにも、そう時間はかかりません。
湯栗:学生委員会の明るい雰囲気が伝わってきますね。
高松:キャンパス以外でも交流があります。去年の冬は、20人くらいでスノーボードに行きました。部活動のような厳しい上下関係はありません。フランクで、居心地もいいですよ。「遊ぶときは遊ぶ、やるときはやる」といった、メリハリのある組織運営を目指しています。
湯栗:高松さん、川畑さん。ありがとうございました。

インタビュー後記

 ソフトボール大会の運営で忙しいなか、2人にインタビューをさせていただきました。派手なイベントの裏方は楽しいことばかりではありません。苦労話や失敗談もあるようですが、それを笑い話に変えている2人の笑顔が印象的でした。大会は大いに盛り上がり、楽しかったのですが、それに満足せず、さらによいものを目ざす姿勢が素晴らしい。インタビューの最中も来年に向けた小会議が始まりました。反省点を口に出すと、「来年はこうしたいね」と改善案が出て、自然に検討が進みます。会話の途切れることのないインタビューでしたが、それでも語り尽くせないほど話題は豊富です。2人の目の輝きにイベントの企画・運営に対する熱意が感じられます。学生委員の基本姿勢が「どうすれば学生に楽しんでもらえるか」という点にあることを実感しました。予算・場所・時間が限られるなかで、妥協をしない根性にも感心させられます。発展してゆく学生委員会の将来が見えたインタビューでした。(以上湯栗未名実)