国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第2号」 学生スタッフの声をお届けします

 8月15日と16日の2日間にわたり、本キャンパスで真夏のオープンキャンパスが実施されました。国際観光学部は50周年記念館2階のステューデントコモンズを会場として、学部の概要説明や各種入試の個別説明をするブースのほか、学部の活動を紹介するコーナーを設け、高校生たちを迎えました。先生方の教育や活動、学生委員会の年中行事などを紹介するパネルがずらりと立てられ、中央には先生方やゼミ生たちが詰める机が並んでいます。スクールカラーであるグリーンのTシャツを着た学生が来場者を笑顔で元気よく迎えて案内します。それらが大きな部屋に集まり、すべてが見渡せますので、実に活気があります。学生と教員が一丸となって活動する国際観光学部の魅力が、訪れた高校生たちにも十分に伝わったことでしょう。誘導と説明を担当するのは、AO入試を受験して入学した学生です。学部を元気にすることを誓った学生たちです。彼らはどのような思いを胸にしてオープンキャンパスを支えているのでしょうか。このたびは彼らに話をうかがい、それぞれの思いや苦労話を取材しました。 (湯栗未名実)

 ※この活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

入学が最終目標ではありません

 瀬戸健大(せと たけひろ)君はスタンダート型のAO入試を受けて入学した1回生です。終始、人懐っこい笑顔でインタビューに応えてくれました。
湯栗:国際観光学部の学生スタッフとして、常に意識していることは何ですか?
瀬戸:今の時期、高校生が不安に思っていることは何か、大学生である私たちに聞きたいことは何か。そのことをしっかりと考えるよう心がけています。オープンキャンパスには、さまざまな高校生が来られます。すでに進路を決め、阪南大学の入試を控えている高校生もいれば、まだ進路が決まらず、いろいろな大学のオープンキャンパスに参加し、悩んでいる高校生もいます。また、阪南大学には他に4つの学部があるので、国際観光学部には「少しのぞいてみようか」という乗りで来る高校生もいます。その場合は、いきなり学部の魅力をアピールするのではなく、どの学部に入っても役に立つ情報をお伝えします。履修登録のこと、ゼミのこと。そして、大学生活がどのようなものかを話すようにしています。
湯栗:国際観光学部についての話だけでなく、高校の授業とは違う、大学での授業の選び方や大学生活について、高校生が知りたいと思っている素朴な疑問に答えている、ということですね。
瀬戸:はい。できるかぎり自分の言葉で、わかりやすく伝えるよう心がけています。
湯栗:瀬戸君は高校生のとき、この大学のオープンキャンパスに参加されましたか?
瀬戸:去年6月のオープンキャンパスに参加しました。高校時代から旅行会社に勤めたいという夢がありましたので、旅行関係の学部を調べ、国際観光学部に的をしぼって参加しました。
湯栗:印象に残っているできごとや話はありますか。
瀬戸:対応してくださった先輩の話がとてもユニークで個性的だったので、今でも覚えています。AO入試で入学した学生がオープンキャンパスのスタッフとして活躍していることを知ったのも、このときです。また、すべての先生の説明を聞くことができたのも、学生スタッフの案内があったからです。
湯栗:その体験が、学生スタッフをやろうと思ったきっかけですか?
瀬戸:高校生が大学について、どんな疑問を持っているのか、自分の将来をどのように考えているのか、という点に興味がありました。そのことが一番の動機です。さきほどもお話ししましたが、私は旅行会社に勤めたいという夢を実現するために大学を調べ、オープンキャンパスに参加しました。

ところが、高校生たちに話を聞くと、「自分の興味や関心はわからないけど、とりあえずオープンキャンパスに来ました」と応える人が多く、驚かされました。つい自分と比べてしまいます。
湯栗:最後に、この記事を読んでくださっている高校生へメッセージをお願いします。
瀬戸:9月6日(日)に今年度最後のオープンキャンパスがあります。9月となると、高校生は大学や入試のことで頭がいっぱいになります。そのオープンキャンパスで進路選択のヒントをつかみ、受験勉強の励みになるかも知れません。ただ、大学への進学をめざしている高校生のみなさんには、合格を最終目標とするのではなく、入学後にどのような学生生活を送りたいのか、ということも考えておいてください。

オープンキャンパスで鍛えられた日本語

 町野早彩(まちの さあや)さんは帰国子女型のAO入試で入学した2回生です。瀬戸君と同様、すてきな笑顔で応えてくれました。
湯栗:学生スタッフとして意識していることは何ですか?
町野:最も意識していることは、あいさつです。私が高校生として参加した阪南大学のオープンキャンパスでは、実に気持ちのいいあいさつと爽やかな笑顔で迎えられ、好印象をもちました。高校生にとって、大学への進学は高いハードルですので、大学生に対しても実際の年齢差以上の差を感じるはずです。それを壁のように感じる人もいることでしょう。そこで、こちらから笑顔で接することにより、壁を破り、彼らの本音を聞き出せる雰囲気を作ろうと。
湯栗:町野さんは私と同じ2回生ですね。1回生のころと比べ、成長したと思う点はありますか?
町野:1年半、国際観光学部で勉強し、経験を積むことで観光学に関する知識が増え、それが自信につながっていることは間違いありませんが、実は4年間、国外の高校に通っていたため、日本語を使う機会がありませんでした。そのため、1回生のころは、保護者も訪れるオープンキャンパスで、「正しい日本語を使わなければ」と意識するあまり、伝えたいことをうまく言葉にできず、もどかしさを感じました。しかし、学生スタッフとして活躍する先輩の言動を見聞きし、大学での授業や資格取得の勉強を通して敬語や正しい言葉づかいを徐々に習得してきました。今では、来場者に自信を持って国際観光学部の魅力をお伝えできるようになりました。1年半でずいぶん変わりましたね。
湯栗:大きく成長された町野さんが羨ましいですね。それでは、高校生へのメッセージをお願いします。
町野:9月のオープンキャンパスでは、国際観光学部の会場は私たちが大学生活を送っている南キャンパスです。国際観光学部の魅力をより身近に感じていただけるよう、コーナーやイベントを充実させ、元気なあいさつでお迎えしますので、ぜひ、お越しください。

嫌われ役になっても果たす責任

 吉田知奈(よしだ ちな)さんは観光地域型のAO入試で入学した3回生です。オープンキャンパス実行委員の学生リーダーとして活躍しています。しっかりとした対応で受け答えする姿に頼もしさを感じます。
湯栗:学生スタッフとして意識していることは何ですか?
吉田:自分が高校生のときに悩んでいたことを思い出して、質問に答えることを意識しています。来場者のなかには、オープンキャンパスのあと、すぐに入試面接があり、緊張している人もいます。そんな不安な気持ちをシェアできるようなスタッフをめざしています。
湯栗:高校生には頼もしいスタッフですね。
吉田:この子が来年度の新入生になるかもしれない。と思うと期待が膨らみ、ついつい学部での楽しい体験やゼミ活動を多く語ってしまいそうになります。ただ、学生スタッフの任務は思いのままを話すことではありません。進路が決まらずに焦っている高校生の気持ちを理解し、不安なことがあればいっしょに悩み、疑問を解消できるようサポートすることが大切です。また、学生スタッフの代表として、スタッフたちの動きを見て、的確な指導やアドバイスができるよう心がけています。
湯栗:学生スタッフの数は?
吉田:国際観光学部だけで40名近くいます。正直に言って、それだけの人数を率いるのは大変です。優しいだけでは務まりません。臨機応変にテキパキと指示を出し、遅刻や欠席をしたりふざけたりする学生には厳しく接します。嫌われ役になることをいやがっていては務まりません。とにかく、自分が先輩から教えてもらったことを後輩たちに伝えることが使命です。そのために頑張っています。
湯栗:大変さが伝わってきますね。
吉田:本年度のオープンキャンパスも、回を重ねるごとにいい形になるよう努力しています。ただ、そう思うのは私だけではありません。他の学生スタッフも熱い思いをもって臨んでいます。リーダーには仲間たちの熱意を汲み、実現させることが求められます。その責任を果たせるなら、嫌われ役になってもかまいません。
湯栗:リーダーとしての責任と熱い思いは、私にも十分に伝わりました。それでは、一学生スタッフとして、成長したと思う点はありますか?
吉田:高校生と話をするなかで、過去の思いを振り返ることがあります。たとえば履修登録やゼミのこと。3回生にもなれば、当たり前になってしまう大学生活も、高校生には新鮮に感じられるのでしょう。実際に受けた質問で、こういうものがありました。「大学生はどんなお店で服を買っているのか」と。制服での通学から、私服での通学となることに不安があるというのです。そのような質問はまったくの想定外ですが、「いや待てよ。これは話題として使えるのでは」と気づきます。こういう発見は話をしてこそ生まれるもので、機会を大事にしなければいけません。

湯栗:他にはどんな質問を受けるのでしょうか?
吉田:「大学の勉強は難しいですか?」「国際観光学部には英語は必須ですか?」などが、よくある質問です。その問いに対しては、私たちは現役生ですので、リアルな答えを返せます。実際に使っているテキストを見てもらうこともあります。テキストを見せると、「難しそう」との声があがります。自分自身も勉強が得意ではないため、気持ちはよくわかりますが、将来の夢を叶えるために、避けては通れません。先輩としての訳知り顔の助言ではなく、「いっしょに頑張ろうね」といった態度で接すると、少しは安心してもらえます。また、そのようになるよう心がけています。
湯栗:最後に高校生へメッセージをお願いします。
吉田:南キャンパスで開催される9月のオープンキャンパスは、今まで以上に国際観光学部の魅力をお伝えできるでしょう。私たちの学び舎である南キャンパスのアットホームな雰囲気を感じて下さい。お待ちしています。

インタビュー後記

 オープンキャンパスの準備と運営で忙しいなか、3名の学生スタッフにインタビューをさせていただきました。ご協力いただき、ありがとうございます。オープンキャンパスをより充実させるために、自分はどう行動すればよいのか。そのことを考え行動していることが共通した姿勢でした。それは3名に限らず、学生スタッフの全員が共有する思いであると感じます。私も、この2日間、学生スタッフとしてオープンキャンパスに参加しました。進路に悩みながらも、精一杯努力している高校生の気持ちに触れ、みずかららの高校時代を思い出しました。あのころは憧れだった大学生活も、今では日常となり、慣れが倦怠感を生み始めました。そういう時期に高校生たちに接し、彼らの期待や夢に触れ、入学時の初心を思い出すことによって、後期からも気を引き締めて勉学に励むことができそうです。それでは、次回は南キャンパスで開催されるオープンキャンパスについて紹介しましょう。ご期待ください。(湯栗)