2015.8.5

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる」を創刊しました

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる」を創刊しました

 学部奨学生による学部紹介記事の連載が始まります。そのタイトルは「ラ・れっとる」。日本語でいう「お便り」のフランス語です。学部の名にふさわしい国際的な名称にしようと、部員たちが考えました。今回はその記念すべき創刊号です。月刊を目標にしてWEBサイトに連載し、国際観光学部の元気な姿をお伝えします。「こんなに頑張っている学生がいるよ」とか、「こんなエピソードを記事にしてはどうか」とか、話題になりそうな情報をどしどしお寄せ下さい。広報部員たちが取材して発信します。さて、創刊号は学部の年中行事となった七夕浴衣まつりを特集します。学部の活気が伝わるでしょうか。(来村)

 ※この活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

学部を活気づける数々のイベント

 こんにちは。国際観光学部広報部の部長を務めます3回生の守安理沙子です。耐えきれない猛暑が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
 さて、学部広報誌「ラ・れっとる」の創刊号は、国際観光学部の年中行事のなかでも、とりわけ華やかな「七夕浴衣まつり」を特集します。国際観光学部では学生たちが自主的に「学生委員会」を組織・運営し、年間を通じてさまざまな学生イベントを開催しています。学部を「楽しくしよう」「盛り上げよう」という「こころざし」だけで集まり、運営しています。企画を立てるのも自分たちですし、責任をもって運営するのも自分たちです。先生方や職員の方々のご支援にも助けられていますが、頻繁にミーティングを開き、自立した活動ができるよう心がけています。

 これから「ラ・れっとる」の愛読者になっていただく方のために、学生委員会が主催する年中行事を紹介しておきましょう。まず、4月には新入生歓迎イベントが行なわれます。学部のオリエンテーション事業ですので、学生主導ではありませんが、今年度は、本キャンパスのGYCホール使ってのレクリエーションを学生委員がすべて企画・運営しました。学生委員は学部の公式行事をしっかりと支えています。7月には恒例行事のハイライトである「七夕浴衣まつり」を開きました。詳細はあとでお伝えしますが、学生も教職員も浴衣姿となり、南キャンパスは和風一色に染まります。9月にはゼミ対抗のソフトボール大会、10月末にはハロウィンイベントを開催予定です。昨年のハロウィンでは、学生たちが仮装してお菓子を配り合いました。12月には今年はじめての試みとなるクリスマスイベントを予定しています。そして1年の総括は1月に開催するゼミ報告会です。数えると、毎年6回のイベントを企画・運営することになります。
 5学部のうち、国際観光学部だけが南キャンパスで開講し、キャンパスの広さに比べて学生の数が少なく、本キャンパスのようには賑やかでありません。とはいえ、学生委員だけではなく、一人一人の学生がとても協力的で乗りがよく、「全員で楽しもう」という雰囲気に満ちています。少数ながらも活気あふれる空気があります。そういう南キャンパスの活気を余さずお伝えしますので、ご愛読のほど、宜しくお願いします。まずはこの7月8日(水)に行なわれた七夕浴衣祭りを紹介しましょう。 (守安)

南キャンパスの風物詩となった七夕浴衣祭り

 7月初旬と言えば、季節は梅雨の真っただ中です。七夕浴衣祭りが開催された8日もあいにくの雨模様でした。朝から晩まで青空は期待できそうにありません。ただ、気温は上がらず、熱中症の心配がなかったのは幸いでした。国際観光学部では、開催日の水曜日は必修科目の授業が立て続けにあり、それだけに南キャンパスも賑やかです。ふだんは寝坊をしがちな1回生もこの日はずいぶんと早起きをしたようです。多くの学生が朝早くから浴衣を着こなし、キャンパスに集まってきました。もちろん、授業も浴衣のままで受けます。浴衣で教壇に立つ先生もいらっしゃいます。学生と教員の一体感を大切にする国際観光学部ならではの特別ルールです。
 河内天美駅と南キャンパスの間に「モリタ屋」という呉服店があります。森田さんご夫妻が経営するお店で、阪南大学の学生は卒業式の袴などで長年お世話になっています。1ヶ月前から奥様が南キャンパスに来られ、着付け教室を開いて下さいました。まずは数人の学生が着付けを教わり、大勢の着付けのアシスタントをしよう、ということです。詳しくは湯栗さんの記事でお伝えします。

 2時間目が終わり、昼休みになると、いよいよメインイベントがアッセンブリホールで開催されます。南キャンパスでは一番大きな教室で、300人が着席できるということです。この教室ならば、たくさんの学生が参加しても、余裕があります。イベントの名は七夕にちなみ、「織姫・彦星コンテスト」です。出場者は主に1回生で、「入門ゼミ」のクラスから募集しました。十数人を1クラスとして、学部の先生が全員で担当される授業です。コンテストは男女1組となって行なわれるのですが、そのペアがそれぞれのクラスから選ばれ、仲間を代表して出場するのです。観客席にはクラスメートたちが座って、自分たちの代表ぺアを応援します。いわばゼミ対抗コンテストのようなもので、全員が応援団となりますので、自ずと盛り上がります。

 織姫に選ばれた女子学生と彦星に選ばれた男子学生は同じゼミの学生だというだけで、特別な仲ではありません。とはいえ、コンテストの審査は2人の仲の良さが大きなポイントとなりますので、相性のよさを舞台の上でいかにアピールするかが受賞の決め手となります。中にはすでに本物のカップルになっている組もあり、有利であったかも知れません。司会をつとめる学生委員が織姫・彦星のアピールポイントをうまく引き出し、会場の笑いを誘います。ダンスを披露するペア、疑似告白をするペア、ネタを披露するペアなど、さまざまに工夫を凝らします。彦星が織姫を両腕で抱える大胆な演出には、思わず「きゃー」という黄色い声があがりました。観客の学生は、それぞれの演技を見て、これこそ織姫と彦星のイメージであると思うペアに投票します。ベスト織姫・彦星は全員の投票結果で選ばれるのです。結果は学生委員が集計し、放課後の授賞式で景品が授与されます。

 昼休みのイベントが終わると、時間に遅れることなく授業に出ます。お祭気分を授業まで引きずってはいけないと、行動にメリハリをつけるため、学生委員がてきぱきと指示を出します。そして、4時間目が終われば、再び放課後のイベントが始まります。去年から始まった「流し素麺大会」です。入念に洗って清潔にした大きなバケツ一杯に水を張り、竹に見立てた樋(とい)にホースで水を流します。器具を設営するのも学生委員なら、大量の素麺を茹でるのも学生委員です。大変な手間ですが、全員が進んで作業にあたります。教職員の方々も応援してくださることが何よりの励みです。無料のイベントということもあって、放課後にもかかわらず、浴衣姿の学生たちが押し寄せます。学年など関係なく、学生たちが競い合うように流れてくる素麺を箸ですくいます。先生方も参加して、大歓迎を受けています。学生と教員が分け隔てなく楽しめるイベントです。流し素麺は南キャンパスの気風を象徴する風物詩です。

 午後6時過ぎに片づけも終わり、今年の七夕浴衣祭りも無事に終了しました。繰り返しますが、イベントのすべてを学生委員が企画・運営しました。日程の調整、先生方への依頼、学生への働きかけ、器具や会場の確保、当日の運営等々、1回のイベントを成功させるには、やるべきことが山ほどあり、念入りな話し合いが必要です。頻繁にミーティングを開き、細部まで検討する彼らの努力に敬服します。強い志をもって集まった学生委員たちのおかげで学部に活況が生まれていることを、このたびの七夕浴衣祭りでも実感しました。学生委員と学生たちは、これからも力を合わせて楽しいイベントを続けてくれることでしょう。私たちは彼らの努力を伝えることで、一役を担います。次回の記事にもご期待ください。(守安)

相手を思いやる日本の「着付け」

 七夕浴衣祭りの季節がやってきました。数年前から学生委員のメンバーが始め、今年で5度目の開催となります。先輩たちはそのたびごとに反省会を開き、より充実したイベントに発展させてきました。そのような前向きな姿勢を受け継ぎ、私たちが新たに考え出したのが「浴衣着付けサポーター」です。
 守安さんの記事でも紹介されたのが、大学近くの呉服屋「モリタ屋」さん。奥様の森田まゆみさんは地域の活動にも熱心で、阪南大学の学生もずいぶんとお世話になっています。去年まではその森田さんと学生2人の3人で50名を超える学生の着付けをされたようですが、朝のわずかな時間帯での着付けは大変であったようです。家から通う学生は母親に手伝ってもらえますが、下宿生活の学生や浴衣の袖にはじめて手を通す留学生は、着付けのサポートが必要で、今年も同様の混乱が予想されます。そこで、「学生だけで着付けを行なうことはできないか」と考え、立ちあげたのが、この「浴衣着付けサポーター」です。実は私もその発起人のひとりです。
 森田さんに講師をお願いして、イベント1ヶ月前の6月初旬より、毎週火曜日に浴衣着付けのノウハウを学びました。当初の計画では、授業が終わってから、放課後の1時間ばかりを練習にあてる予定でしたが、着付けは思ったより学ぶ点が多く、気がつけば、あっという間に時がすぎ、2時間近くになることもしばしば。日が長い季節なのに、教室を出ると、あたりは暗くなっています。「いちいち浴衣を持って通学するのは大変だろう」と職員の方が気づかって下さり、練習用の浴衣や敷物を置いて帰る部屋まで用意していただきました。実にありがたいことでしたが、家で自主練習をするのだと、浴衣や帯の一式持って帰る学生まで現れました。それほどまでに熱が入ってきました。私も立案メンバーのひとりとして、鍛練を繰り返しました。大変な学習でしたが、大切なことに気づきました。「着付け」という所作が美しい日本文化のひとつであることです。

 森田さんから最初に教わったことは、腰紐の結び方でした。初回の実技では、帯を締めるまでたどり着かず、時間の終わりまでみっちりと腰ひもの締め方を練習しました。浴衣を着ると、腰紐は帯に隠れてしまうため、外からは見えません。ですが、浴衣を着る手順のなかで、最初にして最も大切なポイントが腰紐の結び方なのです。結ぶ高さを間違えると、座った時に圧迫されて息苦しさを感じます。適度な力加減で結ばなければ、襟の中心がずれてしまいます。これを正確に決めるのが実に難しい。イベントの当日に浴衣を着る1回生は、必修科目の授業が1限目から4限目まであります。放課後のイベントを入れると、9時間近くも浴衣を着たままでいます。授業中に息苦しくならないように、座ったり立ったりしても、崩れないようにと、配慮しなければなりません。
 森田さんはこうおっしゃいます。「呉服屋は、見栄えだけを求める着付けはしません」「大切なのは、浴衣を着る相手を思いやること」だと。どんな人が、どれほどの時間、どういう環境で着物や浴衣を着るのか。ならば、どうすれば心地よく着ていただけるのか。そう考えるのが昔から受け継がれた真の着付けなのだ、ということです。その教えに従い、私たちなりに考え、話し合いました。その結果がどれほどの効果を生んだのかはわかりません。ただ、着付けを学ぶ経験を通じて、「相手を尊重し、礼儀を重んじる」日本人の心に触れたことは確かです。
 七夕浴衣祭りの当日は、浴衣着付けサポーター15名が朝8時に集まり、次々と登校してくる学生たちの着付けを行ないました。授業は9時から始まりますので、15名が当たってもぎりぎりです。これを去年まで3人でやり通していたのです。いまさらながら、その大変さが実感できます。襟は、顔の形や顎のラインに合わせて調節。帯は、窮屈さを感じないよう、それでいて緩まないよう、細心の注意を払います。着付けの終わった1回生に、「苦しくない」と聞くと、「大丈夫です」との返事。「帯が体の芯を支えている。そんな気がします」という答えには、こちらが感動しました。後輩たちの艶やかな浴衣姿と、ふと出た感謝の言葉に、大きな喜びをもらえました。

 今や七夕浴衣祭りは、国際観光学部にとって、欠かせない行事のひとつとなりました。来年、1回生は2回生となり、新たに後輩ができます。私たちが着付けをした後輩たちが先輩となり、森田さんから教わった技を受け継いでくれることを期待します。そこで最後に、「腰紐が結ぶ学部の伝統」という標語はいかがでしょうか。(湯栗)