2022.11.11

沖縄県名桜大学留学記①(国内)

 阪南大学国際観光学部では、沖縄県にある名桜大学と国内留学の協定を結んでおります。毎年、最大5名までの学生が名桜大学に行き、沖縄の文化や観光について学ぶことができます。
 2022年の4月には、2年生の2名を派遣することができました。ちなみに現在は再開されておりますが、2022年9月まではコロナ禍で海外への留学がストップしておりました。そんななか、沖縄は国内なので、留学が認められていたのです。
 戻って来た学生たちに体験記を依頼した所、こころよく書いてくれました。2人とも、沖縄での生活を満喫し、大阪ではなかなか得がたい経験をして帰ってきたようです。彼らは名桜大学で何を学んできたのか。学生寮での生活はどんなものなのか。一読頂き、大阪の生活とはまた違った沖縄での大学生活を感じて頂ければと思います。
国際観光学部 渡辺 和之

参加した受講生の報告

沖縄での生活や体験
 国際観光学部2年生 田中 志樹(たなか しき)

 私は、2022年4月から8月までの前期の間、沖縄県名護市にある名桜大学に国内留学をしました。私が、名桜大学への留学を希望した理由は2つあります。
 まず、やんばるという場所に興味を持ち、名桜大学がやんばるにあることに惹かれたからです。“やんばる”は、沖縄県北部地方のことです。2021年7月には、やんばるを含む“奄美大島、徳之島、沖縄県北部および西表島”のユネスコ世界遺産の登録が決定しました。やんばるは沖縄の豊かな自然が残る場所であり、世界でも指折りのリゾート地があることでも有名な場所です。私は、観光開発に関心があり、現地で地方の交通について学ぶことで、阪南大学の研究をさらに深めたいと考えました。
 次に、新型コロナウイルスの影響により、念願の海外留学がかなわなかったからです。しかし、沖縄の名桜大学に留学したことにより、琉球三線(さんしん)の音楽、シーサー、シークァーサーやマンゴーなどのグルメなど、海外ではできないような体験ができたので、とても充実した前期を送ることができました。
 名桜大学では、沖縄ならではの特色ある授業として、沖縄の環境に関する授業が数多く設置されています。私が受講していたのは、消滅のおそれのある琉球方言を学ぶことができる“沖縄の言語”、やんばるの豊かな自然やヤンバルクイナなど、その地域だけに棲息しない希少動植物を目的とした観光のありかたについて学ぶ“エコ・ツーリズム”(写真1)など、阪南大学では学べないようなこともたくさん学ぶことができました。
 現地での生活は、初めての一人暮らしで多々不安もありましたが、沖縄の温かい人にも恵まれ、新しい発見ばかりの日々でした。学生寮から学生シャトルバスを利用すればイオン、ザ・ビッグ、サンエー、かねひでなどのスーパーに買い物に行けますし、名護市営市場や漁協でご飯を食べることもできます。近くにオリオンビールの工場があります。バスターミナルやレンタカーもあるので、遊びに出かけることもできます(写真2)。高速バスに乗れば那覇まで2時間弱で出ることができます。那覇港から船に乗り、座間味島(ざまみじま)や慶留間島(げるまじま)などの那覇近辺の離島をはじめ、美しいサンゴ礁が有名な宮古島や石垣島、そして日本最西端の島、与那国島(よなぐにじま)へも行くことができました(写真3)。与那国島では、4G電波が届かないほどの手つかずの自然や、人の温かさに触れることができました。
 前期は、梅雨の時期と被ってしまい、たくさん遊びに行くことができなかったことが残念でなりません。そのような時、私は大宜味(おおぎみ)シークァーサーパークや今帰仁(なきじん)の方にご飯を食べに行ったり、自宅で新しい料理に挑戦したりしました。大宜味シークァーサーパークでは、しぼりたてのシークァーサー果汁を試飲できるほか、シークァーサーを使用したパフェやケーキを食べることができます。シークァーサー果汁と、シークァーサーのポン酢をよく購入しました。唐揚げにシークァーサーをかけると、箸が止まりません(笑)。
 名護の近辺には沖縄そばの店がたくさんありますが(写真4)、私のお気に入りの店は今帰仁の“まんてん”です。ソーキ(豚の骨付きあばら肉、通称:スペアリブ)の出汁と、コーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)のうま味が絡み合っておいしいです。もちろん、数えきれないくらいの沖縄そばの店がありますので、皆さんも是非お気に入りの店を見つけてみてはいかがでしょうか。
 最後に、今回の名桜大学への留学で数知れない体験をさせていただくことができました。同じ日本という地域でも、文化さえ違う沖縄という島での学びは、何もかもが初めてで、ワクワクすることばかりでした。
  •  写真1:"エコ・ツーリズム"の講義で比地大滝(ひじおおたき)へのエコツアーを実施した

  • 写真2:開放的で素晴らしい景観が望むことができる残波岬(読谷村)

  • 写真3:映画で有名な"Dr.コトー診療所":与那国島(よなぐにじま)でのロケ地巡り

  • 写真4:沖縄そば、じゅーしぃ(かやくご飯)、うめーし(割り箸)

名桜大学での思い出
 国際観光学部2年生 矢吹 凌聖(やぶき りょうせい)

 私は2022年の4月から8月までの5ヶ月間、沖縄県名護市にある名桜大学に留学しました。4月、伊丹空港を出発する日、不安よりもワクワク感が強く、友達や楽しい思い出をたくさん作りたいと考えていました。那覇空港に着くと、内地では味わうことの出来ない湿度の高さに驚きました。フェンスで厳重に囲われた数々の米軍基地、コンクリートブロックで出来た見慣れない家、どれも沖縄でしか目にすることが出来ないものばかりで、日本にいるのにまるで海外にいるような気分でした。
 現地では、大学の敷地にある学生寮で生活しました(写真1)。学生寮の壁はコンクリートブロックで出来ており、夏の夜でも室内がひんやりしていて過ごしやすかったです。夕方に学生寮にいると大学のエイサーサークルの演奏練習が聞こえ、沖縄県にいるんだなと実感することが出来ました。授業が始まるまでは、大学のスクールバスを利用して名護市内の海や地元の飲食店、スーパーなど色々な場所を散策しました。名護市内には個人経営の安い飲食店が多く、沖縄料理もおいしかったです。
 沖縄で友達を作れるか心配でしたが、すぐに出来て、安心しました。名桜大学では、学生同士のグループディスカッションが多くの授業で設けられております。特に語学系の授業は受講人数が少人数に限定されており、受講していたタイ語の授業では受講生全員と仲良くなることができました。授業が終わった後はみなと頻繁に遊びに出かけていました。学生寮では、外国人留学生とコミュニケーションをとる機会が多くありました。特に隣人のバングラデシュ人と過ごす時間が長くなり、お互いの国の文化について話すこともありました(写真2)。バングラデシュでは国民の多くがイスラム教を信仰すると教わったり、モスクに行って礼拝を体験したり、バングラデシュ料理のビリヤニをご馳走になるなど、貴重な体験ができ、良い思い出になりました(写真3)。
 勉強面に関しては、歴史や自然、観光など、すべてにおいて内地の授業内容と異なっていることを実感しました。特に沖縄の歴史は米国が大きく関係しております。休日は沖縄について学ぶため、金武町(きんちょう)にあるキャンプハンセンや北谷町(ちゃたんちょう)の嘉手納基地(かでなきち)を訪れました。米軍基地は、居住地のみのエリアも含めると、沖縄県の至る所に点在します。戦闘機の騒音問題や辺野古基地(へのこきち)移設問題、地元住民の本音など多角的な視点から学ぶことができ、良かったと感じています。
 名桜大学に留学したことで、多くの友達ができ、様々なことを学ぶことが出来ました。私が大阪へ戻る前日、バングラデシュ人や他の友人たちが送別会をしてくれました。友人の大切さを最後に学ぶことができ、大学だけでなく身近な所にも学べることが沢山あるんだと実感しました。大阪に戻った現在でも、沖縄の友人が関西に旅行に来るなど、交流を続けています(写真4)。名桜大学ではたくさんの出会いや経験があり、自分を大きく成長させるきっかけになったと考えています。
  • 写真1:学生寮にやって来る野良猫

  • 写真2:仲良くなったバングラデシュからの留学生

  • 写真3:バングラデシュ料理 ビリヤニ

  • 写真4:大阪に帰る数日前に行った石垣島