日本は先進国の中でも高い森林率をほこり、貴重な自然が国内の各地に残っています。その自然のなかで、人の手が入っていないものはごくわずかです。ほとんどの自然は、人が積極的に手を入れることで守られてきました。里山や里海、農林地、都市の公園などです。そんなふうに人と自然の共生が見られる典型的な場所が奈良公園です。1000頭を超える野生のニホンジカが奈良公園内で生息しています。シカと人間の間にトラブルがないわけではありませんが、これまで関係者の努力でシカがまもられてきました。withコロナのなかで、屋外で三密をふせぐ観光が求められていく今日において、人と野生動物の適度な距離をはかる観光は改めて注目されていくことでしょう。
 そこで国際観光学部の堀内が担当する観光実習1(国内)では、2020年11月2日と4日の二日間、奈良公園を訪れ、「シカは人間に対してどのくらい馴れているのか」「シカは互いにどのように距離をとりあっているのか」「奈良公園周辺を訪れる観光客はどのような土産を好むのか」という3つのテーマについての調査を行いました。奈良公園のいくつかの場所を訪れ、それぞれのテーマについての調査を進めました。途中、奈良公園内にあるユネスコ世界文化遺産についても知見を深めています。
 今回の調査で学んだことを、いずれ海外との積極的な交流がふたたび可能になったとき、日本を訪れてきた外国人に対して、あるいは訪れた先の外国人に対して積極的に伝えてもらいたいと考えています。その国・地域の文化や価値観によって、人と自然の共存のあり方は異なっているでしょう。そのようなギャップに気づくことも、学生たちの成長につながるはずです。今回の調査の成果については、学会などの場で発表する予定です。