2018.2.16

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 51号」商工会議所で働くOB西畑祐史さん

卒業後の進路は一つじゃなくても良い

大学4年生のこの時期は、学生と社会人の狭間で揺れ動き、不安に思う学生も多いのではないでしょうか。新卒内定者の3年以内での離職率が高いことで、不安に思う気持ちもわかります。しかし、今回の西畑さんのインタビューでは、キャリアを積んだからこその第2ステージがあることを証明してくれています。西畑さんの明るい性格ならではの人脈によって導かれた縁のようにも感じました。学生にとってはあまりピンとこない社会人生活、転職による新たなキャリアなど、社会に出てからも、大変参考になるお話を聞けました。(川畑亜紀)



※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

卒業後の進路

湯栗:卒業なさってからは、近畿日本ツーリストにお勤めになられたようで。
西畑:そうですね。
湯栗:そこではどのようなお仕事を?
西畑:大阪教育旅行支店という支店で営業をおこなっていました。
湯栗:教育旅行というと、修学旅行などでしょうか。
西畑:そうそう。メインは修学旅行ですが、その他に、遠足のバスや、部活動の遠征なども。
川畑:どのくらいお勤めだったのですか。
西畑:8年間だね。
川畑:8年間…。長いですね。
西畑:あっという間だけどね。大学生活4年間もあっという間でしょ。
湯栗:たしかに。もう4年生なのですが、もうすぐ卒業という実感がわきません。
川畑:もともと観光学部ということもあり、旅行会社と決めていたのですか。
西畑:そうだね。様々なところに訪れたいという思いで、国際観光学部に入学を決めました。観光学部といえば、イコール旅行会社かな、と。今思えば、旅行だけに狭く絞らなくても、いろんな道があったのだと思いますがね。

プレゼンで勝ち取る修学旅行

川畑:旅行会社で勤めていた際、培ったことや、仕事内容を教えてください。
西畑:今の仕事でも役に立っていると感じるのは、団体旅行で、100人〜300人ものお客さまを相手にしていたこと。どのように話したら300人の人に理解してもらえるのか、どう案内してこう、とかね。あと企画プレゼン力がついたな。
湯栗:企画プレゼン?
西畑:そう。修学旅行は旅行会社のプレゼンで決まるからね。学校にもよるけれども。それまでの営業努力を見てくれる学校もあれば、プレゼン一本勝負の学校も。
湯栗:学校が旅行会社を呼んで、ですか?知りませんでした。
西畑:みんなの修学旅行もプレゼンで決まっているからね。(笑)
川畑湯栗:ええー!!!
西畑:中学校、高校などは、1年生の夏休みまでに決めてしまうからね。それまでに、要望を聞きに営業するなど、地道な頑張りが大事だから、大変だよ。
湯栗:学校は毎年特定の旅行会社が担当するのかと思っていました。学校だって立派なビジネス領域ですよね。
西畑:そうだね。
湯栗:就職してから、大学生活や学びの中で、役に立ったことはありますか。
西畑:旅行会社だから、観光学部での学びはかなり役立った。旅行への意識を高めてもらう大切さなど。
川畑:たとえば?
西畑:修学旅行の保護者説明会で、「旅行前、家族で行先について話題にだして、旅行に対する意識を持たせてあげてください。そして旅行後、お子さんに話を聞いてあげてくださいね。旅行中は我々が楽しませますから」と。小学生には、「親元を離れてのお泊り、集団生活」は、めったにない体験。だからこそ、その経験をより豊かにするために大切なことを説明しました。観光学部で学んだからこそ、話せた話題です。保護者の方にも好評で、上司にも褒められました。
湯栗:観光学部生としてうれしいエピソードですね。

転職のきっかけ

湯栗:旅行会社から兵庫県商工会に転職したきっかけは?
西畑:30歳が転職の期限かな、と考えていました。旅行会社が嫌になったわけではなくて、同じ会社で定年まで働こうという意識がなかった。そんな時に、東日本大震災が起きました。
湯栗:やはり、旅行会社にも大きな影響があったのですね。
西畑:給料は3割カットに。就学旅行も、慰安旅行ももちろん全てなくなりましたね。僕自身も、日本が大変な時に旅行を売るのは、後ろめたい気持ちでいっぱいでした。
川畑:たしかに。被災地を思うと。
西畑:震災だけでなく、新型インフルエンザとか、韓国のサーズとか、北朝鮮のミサイルなども、影響を受けます。
湯栗:挙げればキリがないですね。
西畑:そのときにご縁があって、僕の先輩であり、大学の事務所で働いている方に、飲みながら相談をしたことがきっかけで、いまの職業につながりました。
湯栗:兵庫県商工会ですね。
西畑:旅行会社はお客様をゲストとして連れていき、楽しんでもらうお仕事。反対に商工会は経営支援と地域振興のお仕事。地域振興は、ホスト側として観光地の誘致をすること。ゲスト側ではなく、迎え入れる側の支援も、面白いのではないかと勧めていただいて。旅行会社にいたからこその提案もできるかもしれない。そこからはとんとん拍子で採用となりました。
川畑:踏み込むきっかけは何だったのですか。
西畑:必要とされているのなら行くべきでは、と背中を押されて決めました。ゲスト側を知り尽くしている僕だからこそ、できることもあると考えました。

前職を活かしてステップアップを

湯栗:現在の職場である、商工会ではどのような仕事をされているのですか。
西畑:現在は、地域振興より経営支援に興味がでて、融資の手伝いや、事業の提案、財務、労務、従業員の雇用など硬いお仕事をしています。
湯栗:具体的には、どういったことをしているのですか。
西畑:例えば今日は、あるコワーキングスペース(レンタルオフィスのようなもの)を見学してきました。そこは、集客が上手くいかないといった悩みを抱えているので、どうすれば多くの人に利用してもらえるか考えているところです。
川畑:経営コンサルみたいなお仕事をされているのですが?
西畑:かっこよくいえば、そうだね。多様な業界の話を聞くと知らないことが多くて、それについて自分で調べることで、とても勉強になる。
湯栗:どんな時に仕事の楽しさややりがいを感じますか?
西畑:新しいことをやっているときですね。例えば接客業だと、お客様の喜ぶ姿がやりがいだという人もいるでしょう。しかし、僕は新たな考え方や、自分の今まで知らなかったことに触れた時が一番楽しい。旅行も同じだと思います。「こんな場所、ガイドブックに載ってなかった!」と思う瞬間が楽しい。完全に自己満足の世界かもしれませんが。
川畑:だとすれば、今の西畑さんのお仕事は、とても性格に合っているように思えますね。
西畑:そうですね。旅行会社の時は、自分の知らない場所に行って楽しんでいましたが、今は自分の知らなかった情報に出会うことができます。人にありがとうとか感謝されることもうれしいですが、仕事である以上それはあたりまえだと思っています。
川畑:それだけでは、長続きしない。
西畑:そうだね。感謝されるだけで満足していたらダメだと思う。感謝される仕事をすることも大切だとは思うけど、それに付加価値がないと。自分の場合は、好奇心を大切にしたいと思っています。お客様に有益な情報をあたえられるように、情報収集には妥協せず取り組みたいと思っています。

可能性を自分で狭めない学生生活を

湯栗:学生のうちにやっておけば良かったと思うことはありますか?
西畑:悩みますね。もっと色んなところに行っておけばよかったな〜と思います。あの頃は、学校もいかないといけないしバイトもしないといけないしで忙しかったけど、まだまだやれたんじゃないかな、と思います。
川畑:なるほど。旅行以外では何かありますか?
西畑:広い視野を持って就職活動すべきだったと思います。僕は、旅行が好きで色んなところに行きたいという思いで旅行会社を選んだけど、それだけなら商社のほうがもっと海外に行ける。旅行が好きだから旅行会社しか受けなかったので、当時をふりかえるともったいないことをしたと思います。
湯栗:たとえどんなに好きなことでも、働きながら裏側を知ることで気持ちが変わることもありますよね。
西畑:それは絶対にあると思います。就職活動の時期から、可能性を狭める必要はないと思います。
湯栗:その通りですね。観光学部は特に、考え方によっては様々な業種に結び付けることができますよね。
西畑:そうそう。だから、観光という目線で様々なことを考えることは、プラスになると思う。観光は人をあつめることだから。人を集めることが必要でない会社なんてないからね。いろんなことに挑戦してから、自分はどんなことがやれそうかじっくり考えてみて欲しいかな、と思います。
湯栗川畑:ありがとうございました。

インタビュー後記

今回は、卒業生の西畑さんにお話を伺いました。お仕事の忙しい中、取材時間をつくってくださりありがとうございました。社会に出て10年以上の卒業生に話をきくことは滅多にない経験で、参考にしたい情報をたくさん得ることができました。とりわけ印象に残ったことは、「仕事である以上は感謝されて当たり前」というお話です。仕事として次に繋げていくためには、感謝されることのさらに上を目指し、自分にどんな価値を生み出すことができるのか考え、実行することが求められます。私も4月からは社会人になるので、西畑さんから教えてもらったことを忘れず、何事にも前向きに取り組みたいと強く感じました。(湯栗未名実)