2018.1.26

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 49号」隠岐諸島の海士町で野外インターンシップ体験

2回生の夏に早くも始動

 日本海に浮かぶ隠岐(おき)諸島の海士町(あまちょう)はご存知ですか。2回生になったばかりの夏に、国際観光部学部の三枝寛和(さいぐさ ひろかず)君は、大阪から遠く離れた海士町のインターンシップに参加しました。なぜこの時期にインターンシップに挑戦されたのか。目的は何だったのか。現地では、どのような生活を送ったのか。何を学んだのか。夢に向かって頑張る三枝君の体験談を紹介しましょう。野外でのインターンシップをお考えの皆様には、すごく参考になる体験談ですので、ぜひお読みください。(春本莉花)



※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

島留学の制度に惹かれて

春本:インタビューに応じていただき、ありがとうございます。
三枝:こちらこそ、お声がけいただき、感謝します。
春本:インターンシップのお話しを聴くのですが、普通は就職が迫った3回生になってから考えますよね。ところが、三枝さんは2回生の夏に行かれたのですね。早くはないですか?
三枝:もともと「島おこし」に興味がありました。そんな時に、島根県隠岐郡の海士町交流促進課によるインターンの募集に目がとまったのです。8月末から9月半ばにかけての2週間ですので、夏休みを利用して行けます。「今しかない」と思いましたね。
春本:私は海士町の名を聞いたのはこのたびが初めてで、地名の読み方もわかりませんでした。三枝さんは前から知っていたのですか?
三枝:「あまちょう」と読める人は少ないでしょうね。海士町のことは、本で知りました。あまり知られていない所なのに、移住する人が多いということでした。
春本:なんの目的があって海士町に移住するのでしょうか?
三枝:海士町には「島留学」という制度があります。「島前高校」という進学校があり、この高校に通うために、本土から家族そろって海士町に移住する人たちもいるほどです。
春本:「どうぜんこうこう」ですか。島では遊びへの誘惑が少なく、集中できそうですね。でも、高校を卒業したら、また故郷に戻るのでは?
三枝: その通り。問題の一つです。移住者は多いけれど、島への定着率は50%、という課題があるのです。ただ、一方で海士町にしかない特産物を求めてやってくる人もいるようです。
春本:それは?
三枝:岩ガキ、サザエ、イカなど、新鮮な魚介類ですね。今回のインターンシップは、実は、その海産物に関わる仕事だったのです
春本:それは、詳しく聞かせてもらわないと。

インターンシップの相手はイカと岩ガキ

春本:では、改めてお聞きしますが、インターンシップでは、どのような仕事をされたのですか?
三枝:その前に、こちらからお尋ねしますが、「交流促進課での仕事」と聞いて、何を想像されますか。
春本:そうですね、観光客との交流であったり、現地の人と何かしたり。そういったことでしょうか?
三枝:私も、インターンに行く前はそう考えていました。
春本:じゃなかった。
三枝:イカを並べたり、加工したりする仕事でした。
春本:そうだったんですね。でも、あまり交流促進課と関係ないように思いますが…
三枝:ところが、このイカが交流の促進と大きく関わっているのです。
春本:どのように?
三枝:海士町で獲れるイカや岩ガキは、他地域に売って収入が得られます。しかし、出荷するには丸一日かかるそうで、その間に新鮮だったイカやカキは傷んでしまうのです。
春本:それはもったいないですね
三枝:そこで採用したのがCAS。セルズ・アライブ・システム(Cells Alive System)の略です。新鮮なとれたてのものをすぐに超低温で冷凍保存する方法です。これで、新鮮なまま遠方に送ることが可能となりました。ただ、工場だけではダメで、出荷するには、地域のつながりが大切。
春本:そこで交流の促進が必要と。それで、CASの処理では、味も違うのですか。
三枝:私もCAS工場で加工したイカをいただきましたが、もうホッペタが落ちそうなくらいおいしかった。
春本:聞いているだけで、おいしそうですね。ところで、仕事以外では、どのような経験を?
三枝:仕事場から離れたところにあるシェアハウスで他のインターンシップのメンバーと一緒に寝泊まりしました。
春本:環境は?
三枝:シェアハウスの周りは田んぼばかりで、ほとんど何もない。仕事場へ向かうバスも、数時間に1本で、1日4本ほどしかありません。「絶対に寝坊ができない」というプレッシャーを感じましたね。(笑)
春本:それは大変!?インターンシップのメンバーとは、どのように過ごしましたか?
三枝:室内ではボードゲーム、外では釣りですね。
春本:ボートゲームは盛り上がりますよね。それじゃ、すぐに仲間になれたのですね。
三枝:はい。そういえば、長編アニメーション映画の「君の名は。」を廃校になった小学校で地元の人と観たのは、すごくいい思い出ですね。この小学校は、普段は地域の娯楽施設になっているそうです。
春本:田舎ならではのエピソードですね。

つながりの大切さを学ぶ

三枝:「田舎ならでは」と言えば、海士町には信号機が1箇所しかないことに驚きました。
春本:1箇所だけなら、なくてもいいような気がしますが。
三枝:島の子供たちが島を出たとき、信号機を見て戸惑わないように、ということだそうです。
春本:なるほど。ところで、インターンシップを通じて学んだことは?
三枝:田舎での仕事は、地域の中のつながりがなければ成り立たない。私が経験したイカの加工業も、漁業・CAS工場・レストラン・町民のつながりが1箇所でも切れると、仕事にならない。そういうことがわかりましたね。
春本:小さな町だからこそ、協力が必要なんですね。この体験は、今後どのように活かしますか?
三枝:今は大阪に住んでいますが、将来は生まれ育った徳島県で町づくりや村おこしができたらと。
春本:インターンシップが役に立ったのですね。
三枝:はい。知識を学ぶだけでなく、実体験で学んだことが多かった。生活上でも、発見や感動が多く、予想以上にたくさんのことを学べました。本当にいい経験でした。
春本:それはよかった。ありがとうございました。

インタビュー後記

 インターンシップと言えば、都会の企業での職業体験を想像しがちですが、こういうタイプのインターンシップもあるのですね。就職のためというよりは、人生の幅を広げ、将来を考える機会になりそうです。それならば、三枝君のように、早いうちに経験しておくのがいいですね。インタビューでは、たくさんの楽しい思い出を語って下さった三枝君ですが、慣れるまでは、辛いこともたくさんあったはず。でも、「海士町へもう一度行きたい」と本心から話す三枝君。仕事の空き時間に内航船で世界ジオパークに登録された知夫里島(ちぶりじま)の赤ハゲ山を見にいけたそうで。「牛や馬が放牧された山の景色に日本の原風景を見た気がします」と、懐かしそうな目で語ってくれました。機会があれば、隠岐に行きたい。そう思いました。(春本莉花)