2018.1.10

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 47号」ターニングポイントとなったゲルフ大学への留学

留学は人生の大きな分かれ道

 ターニングポイントとは、マラソンでは折り返し地点のことですが、人生では、分岐点や大きな変わり目のことを言います。皆さんには、ターニングポイントがいつ訪れるのでしょうか。大学時代が岐路になることは多いようですが、もう迎えた人、まだ迎えていない人、気づかずに過ごしている人。変化を感じるタイミングは、人それぞれです。また、変化が起きるきっかけも人それぞれです。そこで、今回は1年間の留学がターニングポイントになったという3回生の小泉まどかさんにお話を伺いました。小泉さんの留学先はカナダのゲルフ大学。思い出話や苦労話をお聞きして、自分の殻を破ることのできた体験談や少し変わった趣味がわかりました。春本さんと2人でお届けします。(大矢萌々華)



※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

安全・費用・英語・教育を考えてゲルフへ

大矢春本:インタビューに応じていただき、ありがとうございます。
小泉:こちらこそ、よろしくお願いします。
春本:では早速。留学したいと思った理由は?
小泉:英語力を向上させるのが第一ですが、日本を離れることで自立につながり、新しい自分を見つけられると思ったからです。
大矢:なるほど。では、いつから留学をしたいと思っていましたか。
小泉:高校のときから留学に憧れていましたが、行動に移せなかった。でも、大学生になり、「就活が始まる前に留学しないと、もう時間がない」と焦り、決意しました。
春本:そうなんですね。ちなみに、半年間ではなく、1年間にされた理由は?
小泉:英語力を確実に伸ばすためです。また、1年間いると、カナダの四季や年中行事を体験できるので、より有意義に過ごせますし。
春本:なるほど。では、留学先にカナダのゲルフ大学を選んだのは?
小泉:治安面が第一ですね。父がそこを心配し、当初は反対していました。
大矢:ご両親とも反対されていたのですか。
小泉:母は賛成してくれていました。母は留学に行きたかったけど、行けなかったそうです。だから、娘には後悔させたくないと。でも、父は危ないと反対。だから、父を説得するため、できるだけ治安がいい場所を探したのです。
大矢:それでゲルフ大学に。
小泉:そこがいかに安全かを訴え、ようやく許してもらえました。
大矢:留学前にそういうやりとりがあったのですね。ゲルフ大学を選んだのは、治安面だけですか。
小泉:いえ、費用の面でも。ほかの英語圏の国に比べると、カナダは費用が少なくて済みます。また、カナダでは、標準的な英語の発音を学べると聞きました。英語に訛りがない、という点も選んだ理由です。
大矢:教育は?
小泉:ゲルフ大学は教育も一番しっかりしていました。地元の学生と週に1回は一緒に出かける「バディープログラム」というカリキュラムもあり、友達ができる機会もあるかと思い。

言葉の壁でくじけそうになった時に

春本:しっかり下調べをして選んだのですね。実際に行ってみて、ギャップとか問題はありましたか?
小泉:そうですね、ホームシックになったことですかね。最初の1か月くらいは毎日泣いていました。
春本:それはきついですね。
小泉:来たことを後悔したくらいです。でも、生活に慣れると、楽しさが上回りました。ただ、言葉の壁は厚かった。ホームステイ先のホストは優しく、毎日その日の出来事を聞いてくれるのですが、相手の言うことは何となくわかっても、伝えられない。「せっかく聞いてくれているのに」という思いで、もどかしく、苦しかった。
大矢:やはり言葉の壁は辛いですね。他にも苦しさを感じることはありましたか。
小泉:日本人留学生が何人かいて、つい日本語で話してしまう。「英語力を上げないと駄目なのに、日本語を話してしまった」という後悔がこみ上げ、すごく落ち込みますね。日本では当たり前のことが、留学先ではNGになる。日本では悩まないことにも、悩んでしまうのです。
大矢:そうなんですね。日本から遠く離れているので、助けも呼べない。
小泉:そんなときに、意識の高い日本人留学生に出会い、助けてもらいました。その人はスキルアップをはかるため、外国人との交流をとても大切にしていました。その人に叱られたのです。
大矢:悩んでいる小泉さんを、ですか。
小泉:はい、日本人学生と日本語で話している私を見て、「もっと現地の人と話す機会をつくらなければ」と叱られました。それから「頑張ろう」という気持ちが強くなり、悩まなくなりました。また、その人は外国人の友達を紹介してくれたり、交流会に連れて行ってくれたり。その存在はとても大きかった。
大矢:その人と出会ったおかげで、自分を高めることができたのですね。
小泉:悩みも乗り越えられ、スキルアップにつながりました。

孫とおばあちゃんのような関係

春本:そういう出会いがなければ、全く違った留学生活になっていたかも知れませんね。では、楽しかった思い出についてお聞かせください。
小泉:数えきれないほどありますが、友達がたくさんできたことが一番でしょうか。いろんなところに一緒に出かけました。
大矢:例えば?
小泉:国外ではメキシコ・キューバ・アメリカ、そしてカナダの国内でも、さまざまな場所を旅行しました。
春本:聞くだけで楽しそうですね。ところで、ホストファミリーとも旅行をされたのですか。
小泉:いえ、ホストファミリーは一人暮らしのイタリア系のおばあちゃんと猫3匹が暮らす家でしたので。でも、私のことを孫のようにかわいがってくれて、一緒に映画を見たり買い物に出かけたりしました。
大矢:アニメの世界に出てきそうな情景ですね。ご出身がイタリアでしたら、毎晩がパスタだったり?
小泉:さすがに毎晩ではなかったですが、よく手作りパスタをご馳走して下さいました。料理好きの方でしたので、日本食にもチャレンジしてくれました。お寿司とか、天ぷらとか。
大矢:優しい方だったのですね。そういえば、小泉さんは茶華道部に入っていますが、ホストファミリーや現地の友達にお手前は披露されたのですか?
小泉:はい、しましたよ。日本からお茶や茶筅を持って行ってましたので。彼らの反応はとてもよく、日本文化に対する関心の深さを感じました。
大矢:特に茶華道は奥が深いですからね。
小泉:そうですね。「無」になって、自分の時間が作れますね。
春本:なるほど。

旅の話、目標の話、そして昆虫食の話

小泉:旅行の話に戻りますが、絶対に忘れられない思い出は、オタワへの一人旅です。
大矢:勇気を出しましたね。でも、大きな人生経験ですね。いつの段階で行かれたのですか。
小泉:留学して10ヶ月くらいの時でしたね。一人旅はなかなかする機会がないし、その段階で自分の英語力がどこまで通じるかを試したかった。ハプニングもありましたが、カナダの人たちに助けられ、その優しさに触れられました。
春本:知らない土地に身を置いて、克服したら、自信にもつながりますよね。
小泉:はい。道を尋ねる時も、もちろん英語ですが、伝わると、自信に直結します。
春本:留学に行ってから、何か自分の性格が変わったとか。そういう変化はありましたか。
小泉:ありましたね。私はもともと人見知りで、人の前に出るのがほんとに苦手で。
春本:それは、意外!
小泉:自分の殻を中から破って働きかけないと、友達もできません。幸い、大学ではたびたび発言を求められ、プレゼンをする機会も多かったので、人前に出ることに慣れました。意見を出しても、否定されず、1人の意見として受け入れてくれます。それで自信が持てるようになりました。
大矢:帰国後にも役立ちますね。
小泉:初対面の人とのコミュニケーションを取ることも、苦もなくできるようになりました。
大矢:大きな成長ですね。成長したことは他にもありますか。
小泉:やはり英語力です。特にリスニングとスピーキングの力が上がりました。
春本:ちなみに、TOIECは?
小泉:留学前のスコアは550点で、留学後は680点に上がりました。帰国してからは、語彙や文法の勉強もしています。卒業までに800点を取れるよう頑張ります。
春本:目標800点は、凄い!
小泉:洋画を字幕なしで鑑賞したり、イングリッシュスペースを活用したりしながら、英語力を落とさないように頑張ります。
春本:目標の達成をお祈りしています。そういえば、小泉さんは留学中の「昆虫食」についてのレポートを書いていましたよね。読ませていただきましたが、意外さに驚きました。
小泉:そうですか。カナダではメープルシロップ味のゴキブリやハチを食べましたよ。(笑)
大矢春本:うわあ。(笑)
小泉:次はサソリとセミを食べに行く予定です。
春本:ということは、昆虫食について研究をされるのですか。
小泉:そうしたいと考えていますが、まずは学習面で同級生に追いつくことや、就活、他にもやらないといけないことがたくさん。
大矢:忙しいですね。
小泉:壁を乗り越えたら、必ず楽しいことが待っていると、留学生活で実感しましたので、これから何があっても、くじけずに頑張れます。
大矢:それが一番の収穫ですね。ありがとうございました。

インタビュー後記

 小泉さんと出会ったのは最近のことですが、初めて会ったときに、初対面であることを、まったく感じさせない人でした。以前は人見知りであったなんて、信じられません。インタビューでは、留学生活のことを、いい点も、悪い点も、包み隠さず話して下さいました。1年間、いろんなことを見て、聞いて、触れて、感じて、考えて、勉強されてきたからこそ、自信をもって、堂々と語ることができるのでしょうね。「こんなに素晴らしい経験ができるなんて思いもしなかった」とのこと。後々、小泉さんが人生を振り返ったとき、留学がターニングポイントであったと、きっと思い出されるのでしょうね。留学は多額の費用と大きな苦労を伴いますので、どうせ行くなら、小泉さんのように、自分を大きく変化させる、そんな留学がしたいですね。そう感じたインタビューでした。(春本莉花)