2017.11.6

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 45号」北海道標津町の観光協会で働くOGの久保田さん

旅先の思いがけない出会いから

 皆さんにとって、旅の醍醐味は何でしょうか。美味しい料理を食べることですか。あるいは、美しい景色を眺めることですか。目的は人によって様々でしょうが、私にとっての醍醐味は「人との出会い」です。このたびの取材は、出会いの大切さを改めて実感する体験となりました。取材地は国後島の対岸にある北海道の標津(しべつ)町。森重昌之先生が北海道でフィールドワークを実施されるという話を聞き、同行させていただいたのです。そこで出会ったのが、阪南大学の国際観光学科(当時はコミュニケーション学部)を卒業され、当地の観光協会にお勤めの久保田早也佳(くぼたさやか)さんでした。これはいい機会と、思い切って取材を申し込んだところ、快く応じていただきました。すでに標津町観光協会に勤務されて4年目になるとのこと。お仕事の内容や、この職場を選ばれた経緯などをお聞きしました。(湯栗未名実)

※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

夢に向かって就職情報を調べ上げる

湯栗:阪南大学のある松原市と標津町はずいぶん離れていますが、この地を選ばれたのは、ご出身がこちらだったのでしょうか。
久保田:出身は大阪市内なんですよ。北海道は縁もゆかりもなくて。
湯栗:そうなんですか。卒業して、すぐに観光協会に勤められたのですか。
久保田:いいえ。私が卒業した2011年は、ちょうど就職氷河期のころでした。就職先が決まらず、百貨店で2年間、臨時に働きました。ただ、大学時代から「旅行会社で働きたい」という夢があり、その夢を叶えるため、旅行会社に転職しました。

湯栗:夢が叶ったのですね。
久保田:一応は。ですが、仕事の内容が自分の思いと何か食い違う。色々と考えた末、現場で直接旅行者と接するのが、自分の真の夢であると思い至ったのです。そこで、思いに合った仕事を調べました。
湯栗:それが観光協会だった、ということですね。
久保田:そうですが、調べてみると、どうやら頻繁に募集がかかる職種ではなさそうで、気長に探すしかないと。ホテルでアルバイトをしながら、あれこれと就職活動をして、見つけたのがこの職場であったのです。
湯栗:それにしても、ご家族の住む大阪からは遠すぎる。
久保田:日本全国、どこへでも行く覚悟で探しましたので。そういえば、九州でも募集がありましたね。
湯栗:標津町は初めて訪れましたが、移動の距離と時間が半端ではありませんね。知らない土地へ移り住むことに不安はなかったのですか。
久保田:それまでは北海道に一度も行ったことがなく、標津町の場所もわからない。地図で調べて、日本の端っこであることに初めて気づいて驚く始末。ですが、「夢を叶えられるところならば、どこでも」と思っていましたので。不安もそれほど感じませんでしたね。
湯栗:場所よりも、仕事の内容で選ばれた、ということでしょうか。
久保田:その通りです。

観光協会の仕事とは

湯栗:観光協会のお仕事についてお聞きしたいのですが。
久保田:一言で語るのは難しいのですが、簡単に言うと、標津町に足を運んでいただくための仕事ですね。新しい取り組みをしたり、事業を考えたり、各方面にPRしたり。
湯栗:たくさんあって、大変そうですが。
久保田:いえ、楽しいですよ。
湯栗:それは、どういう点が?
久保田:人と関われることですね。まちの人や、旅行者が「来てよかった」と喜んでいる姿を見ると、こちらも嬉しくなる。
湯栗:百貨店、旅行会社、ホテルなど、いろんな職業を経験され、その結果、やりがいを感じる職場を得たということですか。
久保田:そうですね。人と関わることが大好きなので。
湯栗:なりたいと思う職業に就くための心得を、ぜひ読者の皆さんに。
久保田:やりたいと思うことがあるなら、そこにたどり着く道をできるだけ多く知っておくことでしょうか。私もたくさんの道を調べてここにいるので。
湯栗:日本全国の求人情報を調べた久保田さんの言葉ですので、説得力がありますね。
久保田:正解や間違いにこだわらず、自分の思っている方向へ素直に進むのがいいのでは。それと、どんなことでも楽しもうとする姿勢も大事かな。

人生の進路を決める4年間

湯栗:大学で勉強していてよかった、と思うことはありますか。
久保田:それは、当然ありますよ。今の仕事も、大学に入らなかったら、探せてないでしょうし。
湯栗:将来を考える上で、この4年間が大切である、ということでしょうか。
久保田:そうかも知れませんね。
湯栗:ところで、阪南大学の国際観光学部を選ばれたのは?
久保田:オープンキャンパスで学部の雰囲気に惹かれて。
湯栗:私もそうなんです。オープンキャンパスで心が決まりました。
久保田:ですよね。学生と先生の距離が近くて、アットホームな感じがよかった。大学って、気難しいイメージだったけど、国際観光学部はそうじゃなかった。ゼミのフィールドワークも多く、観光をリアルに学べると感じましたね。
湯栗:講義を聴くだけではなく、グループで話し合うことや現地に行く機会も多いですね。
久保田:大学に入ってよかった、と思えるもうひとつは、いい友達にたくさん出会えたことかな。いつもいい刺激をもらいましたね。
湯栗:確かに。私も違うゼミにいる友達の活動に惹かれ、そのフィールドワークにお邪魔したこともあります。大学時代のお友達とは、今でも親交が?
久保田:互いに忙しいので、頻繁には無理ですが、たまに連絡をとります。大学のころを思い出すと、やはり懐かしい。
湯栗:みなさん同じゼミだったのですか。
久保田:それもありますが、いっしょにバレーボールのサークルを起ち上げた友達が多いですね。
湯栗:もしかしてMERCY(メルシー)ですか。
久保田:そうですが、ご存知?
湯栗:今でも元気に活動していますよ。国際観光学部の部員も多く。まさか設立者だったとは!
久保田:2回生のときに「体を動かしたい」という思いから、友人といっしょに創ったのです。初めは少人数でしたが、体育館も借りられ、徐々に後輩も増えて。今も続いているのは、嬉しいですね。
湯栗:大学のうちにやっておけばよかった、と悔いることがあれば、お聞かせください。
久保田:ありすぎて、何からお話しすればいいのか迷うほどです。
湯栗:あえて一番を選べば。
久保田:勉強ですね。大学のときは、遊んでばっかりいたので。旅行業務取扱管理者の資格も、悩みましたが、結局受けずじまいでした。それが職場に入ってから必要となり。あの時に取っておけばよかったと。
湯栗:「後悔先に立たず」ということでしょうか。
久保田:まさに。必要だと考える資格があるのでしたら、学生のうちに勉強して、取っておくことを強くお勧めします。今になって思えば、大学時代はたっぷりと時間がありますから。
湯栗:やはり勉強なんですね。
久保田:でも、机での勉強以外のことも大切にしてほしい。国際観光学部は観光のイベントやゼミのフィールドワークで外に出る機会も多いと思うので、それらを楽しんでほしい。
湯栗:悔いの残らないように、全力で取り組みます。
久保田:少しでも後輩たちの参考になれば、嬉しいです。
湯栗:貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

インタビュー後期

 「夢を叶えるために必要なことは」という問いかけに、「できるだけ多くの道を知っておくこと」と答えられた久保田さん。そのやりとりが最も印象に残っています。ならば、夢を実現する道を知るには、どうすればいいのでしょうか。この取材を通じて、ひとつの答えを見つけたような気がします。キャビンアテンダントになることが夢であるとしましょう。その道を目ざして叶わなかった人に聞けば、駄目であった理由を教えてくれるでしょう。でも、夢を叶えて仕事に就いているCAの先輩に聞けば、実現させるための心得を教えて下さるはずです。その道は厳しくもあり、確実でもあるはずです。リード文にも書いた通り、標津町を訪れたのはインタビューのためではありません。久保田さんとは本当に偶然の出会いでした。ただ、大切なことを教えていただけると直感しましたので、思い切って取材をお願いしたのです。突然の申し出にもかかわらず、快諾して下さり、インタビュー後には、「取材する人に困ったら、大学時代の友人を紹介するから、いつでも相談してね」とまで言って下さいました。次に標津町を訪れるときは、久保田さんにお会いすることが目的となるでしょう。(湯栗未名実)