2017.9.26

地域社会と一体になってフィールドワークする(2)−観光実習1(国内)

北海道標津(しべつ)町の皆さまのサポートのもと、精力的に現地調査を進めました

 8月21日(月)から27日(日)まで実施した「観光実習1(国内)」の現地調査の報告の第2弾です。今年の観光実習では、2〜4年生の参加学生11名が観光ガイドへの聞き取り調査、観光客への質問票調査、土産物実態調査、「しべつカード(仮称)」作成に向けた情報収集調査の4つを精力的に進めました。また、調査最終日には町役場職員や町内の観光関係者に向けた成果報告会も実施しました。今後は後期授業の中で調査結果を詳細に分析するとともに、その成果を標津町の観光振興に生かせるようまとめていく予定です。今回は土産物実態調査、「しべつカード(仮称)」作成に向けた情報収集調査、成果報告会の内容について、参加学生が報告します。
 今回の現地調査の実施にあたり、標津町役場や標津町観光協会の皆さまには事前準備から当日の手配、会場の手配・準備など、多大なるサポートをいただきました。また、標津町の観光関係者の皆さまには調査1日目に懇親会を催してくださったほか、若手酪農家や若手漁師の皆さまには「漁農食堂」のイベントをご準備いただき、交流の機会を設けてくださいました。さらに、観光ガイド協会の皆さまの計らいで、ポー川でのカヌー体験もさせていただきました。加えて、観光ガイドの皆さまや観光客の皆さま、町内の土産物製造業者の皆さまにも調査にご協力いただきました。こうして無事に現地調査を進めることができたのも皆さまのおかげであり、皆さまの温かいお心遣いは、参加学生の記憶に長く残ることと思います。皆さまのご厚意に改めて心より深く感謝申し上げます。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • 製造場所での土産物実態調査の様子

  • 販売店舗での土産物実態調査の様子

  • 天空への道でのカード用写真撮影の様子

  • トトロの道でのカード用写真撮影の様子

  • 成果報告会に向けた旅館での発表準備の様子

  • 成果発表会の様子

  • ポー川でのカヌー体験の様子

  • 若手酪農家・漁師との交流の様子

  • 知床五湖視察の様子

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参加学生によるレポート

標津町のこだわりを感じた土産物調査
 国際観光学部4年 西内拓史

 私たちは8月21日から27日の7日間、北海道道東に位置する標津町にフィールドワーク調査で訪れました。私が標津町を訪れるのは4年目で、今回が9回目の訪問になります。毎年インカレねむろ研究発表会に向けての調査ばかりでしたので、冬季にしか訪れたことがなく、夏場に行くのは初めてでした。夏の標津町は緑が生い茂り、今までとは違った標津町の一面を見ることができました。
 今回は標津町内の観光ガイドに対する聞き取り調査、観光客に対する質問票調査、標津町内にある土産物に関する調査、しべつカードに関する調査の4つを実施するために訪れました。私は主に標津町の土産物調査を担当しました。標津町の現状として、道の駅などの土産物を専門に取り扱う店が町内にないので、観光客が訪れた際にどこで土産物を買えばよいのかわからないのではないかと感じ、標津町内にある土産物を製造している店をまとめることにしました。事前に授業内で、ふるさと納税やインターネット通販などを通して標津町内にある土産物を調べ、表にまとめました。今回の調査では、その表にまとめた土産物が実際に店に置いてあるのか、また事前に調べた物以外の土産物があるのか、また個数や内容、量といった土産物の詳細情報の確認を行いました。さらに、今後の取り組みとして、土産物をまとめた冊子を成果品として作成する予定ですので、それに使用する商品の写真撮影、また生産元の方がおすすめする商品や一押しして欲しい商品の確認などを行うため、標津町内にある土産物を製造しているすべての生産元を訪れました。
 土産物を製造している生産元に調査で訪れると、どの店の方も今回の調査に協力してくださいました。商品を試食させてくださったり、たくさんの商品を提供していただいたりするなど、改めて標津町内の人の良さに触れることができました。お話をうかがっていく上で、どの土産物を製造している方も自分たちがつくった商品に強いこだわりを持っておられ、自分たちが最終的に成果品として提案しようと考えている土産物冊子の作成に意欲が湧きました。
 今回のフィールドワーク調査においても、標津町の方々に協力していただいた場面が数多くありました。調査初日には、観光協会の方々が中心となって懇親会を開いてくださり、標津漁師会やベコスケの方々は漁農食堂を開いてくださいました。私たち学生にこれほどにも優しく歓迎し、協力してくださり、本当に感謝しかありません。私たち学生がこのご恩返しをするためにも、今回の調査内容が標津町の活性化の糸口となるよう、これからの研究に努力していきます。

標津町における土産物の可能性
 国際観光学部3年 佐古健太

 8月21日から25日の5日間、北海道標津町で現地調査を行いました。私は北海道に行くのが初めてで不安もありましたが、楽しく充実した調査になりました。事前に標津町に調べましたが、実際行ってみると思っていた以上の豊かな自然で、また優しく温かい人がたくさんいらっしゃり、とても良い印象を受けました。
 今回の調査では、標津町で行われている体験型観光のガイドをされている方への聞き取り調査、町内の土産物実態調査、観光客への質問票調査、「しべつカード(仮称)」作成に向けたデータ収集調査を行いました。私は聞き取り調査と土産物実態調査に参加しましたので、ここでは土産物実態調査について報告します。
 標津町には、一般的に「お土産屋さん」といわれるような店や道の駅がありません。そのため、標津町に訪れた観光客がお土産を買いたくても買いにくいのではないかと考えました。そこで、標津町でお土産と考えられるものの種類や数を把握し、観光客向けの冊子を作成することで、観光客がお土産を買いやすくなればよいと思い、調査を行いました。調査では、事前に調べてきたお土産になりそうな商品をつくっている生産元の店を訪れ、商品の確認や他にお土産となる商品がないか聞きました。また、その店の売れ筋商品やおすすめの商品を聞き、冊子に載せるための写真を撮影させていただき、宣材写真のあるところではその写真を提供していただきました。
 今回調査を行って、生産者の方々の商品への情熱をとても感じました。商品についてお聞きすると、無添加であることや鮮度を保つ工夫、できるだけ人の手だけで加工するなど、品質にこだわってつくられているのだと思いました。そのため、同じような商品をつくっていても店ごとに特徴があり、同じと思えるものは1つもありませんでした。しかし、酪農にかかわる商品をつくっている店が漁業に比べて少ないことや、サケなどの海産物は旬や年によって価格に変動があるため、お土産としていつでも買うことができないこと、また基本的に自社からの直売のみで標津町内の店舗で販売していない商品もあるなど、標津町で買える土産物としてどのようなものをあげるべきなのか、課題や改善点も少しずつ見えてきました。
 標津町は酪農業と漁業の2つの産業が盛んな町です。この2つともが盛んな町はあまりなく、とても魅力的だと感じました。豊かな自然から生まれる酪農と海産物の土産物をうまく観光客にアピールしていけば、これからもっと標津町の価値を上げることができ、収入や集客力アップにつながるのではないでしょうか。
 今回、標津町の方々には大変お世話になりました。この調査をもとに私たちが知恵を出し合い、標津町の力に少しでもなるような成果を出せるよう、頑張っていきたいと思います。

標津町の良さを込めたカード
 国際観光学部2年 清水遼

 私たちは8月21日から25日の間、北海道標津町に訪れました。昨年度に調査した目的とは違って、今年度は「観光ガイドへの聞き取り調査」、「標津町に訪れる観光客への質問票調査」、「町内の土産物実態調査」、「しべつカード(仮称)の作成に向けたデータ収集調査」の4つの調査を行い、最終日に標津町の皆さまに報告させていただきました。私は「しべつカード」について発表しました。
 今回この「しべつカード」を作成、提案し、調査する目的は、標津町内での滞在時間の延長に向けたコンテンツをつくることです。標津町は釧路や知床などを訪れる観光客の通り道になっていて、立ち寄る人が少ないので、少しでも滞在していただく工夫が必要です。そこで、標津町の個人観光客を受け入れるためのツールやコンテンツをつくり、提案することが、今回の「しべつカード」調査の内容です。実際の調査では、あらかじめ授業で決めた調査場所を訪れ、現地調査としてその場所の確認や撮影を行いました。
 このしべつカードのイメージは、1枚の大きさが名刺サイズで、4枚1組のカードです。4枚すべてを集めることにより、何らかのプレゼントがもらえると、観光客が集めてみたいと思っていただけるのではないかと思い、考えました。また、自然資源と人文資源の2つのシリーズを用意し、カードを集めるため、標津町の観光名所を周遊していただけるのではないかと思いました。
 しべつカードには表面と裏面があり、表面はその場所の名称、写真、簡単な説明などを載せる予定です。裏面には、4枚を集めることによって1つの写真になるように、4分の1の写真を載せる予定です。その場所と写真の候補として、自然資源では標津湿原、天空への道、野付半島、トトロの道をあげています。どこも自然豊かで、とても素晴らしい景色のところです。一方、人文資源ではサーモン科学館、標津町から見る国後島、旧根室標津駅転車台、伊茶仁カリカリウス遺跡の4つで、調査を行っていくうちに、1つ1つが標津町の大切な資源だと感じました。裏面の写真は、標津町から一望できる知床連山や天候やその他の条件が合わないと見られない四角い太陽などを考えています。カードの配布方法は、サーモン科学館のように係員がいる場所の場合では、その場でカードを渡してもらいます。一方、天空への道のように係員のいない場所では、その場所を訪れたことがわかる写真を撮影し、有人施設で係員が撮影した写真を確認し、カードを渡すよう考えています。
 今回は昨年度訪れた時と逆の夏に訪れたので、夏に標津町でできることや春夏秋冬で変わる景色など、季節の変化によってさまざまな角度や別の視点から考えられることを学びました。昨年同様、標津町の方々には本当にお世話になりました。ありがとうございました。「しべつカード」の調査の際にも町民の方々のお話をお聞きしたり、道を教えていただいたりするなど、皆さまとても優しく、人が温かい町だと改めて感じました。今回感じたこと、学んだことを活かして、次につなげていきたいと思います。

たくさんの魅力あふれる標津町
 国際観光学部2年 高田有規子

 8月21〜25日に北海道標津町を訪れ、町内で現地調査を行いました。私が標津町を訪れたのは今回で4度目でしたが、夏に訪れたのは初めてでした。大阪よりも涼しく、快適に調査を行うことができました。現地調査では、観光客へのアンケート調査やガイド聞き取り調査、土産物冊子作成に向けた調査、「しべつカード(仮称)」作成に向けたデータ収集調査を行いました。私は、「しべつカード(仮称)」作成に向けたデータ収集調査についてレポートします。
 標津町内での観光客の滞在時間を増やすために、標津町の観光資源の写真を載せたカードを作成することになりました。ただ単にカードを観光客に配るだけでは、町内での滞在時間を増やせません。そこで、カードを4枚1組にし、4枚すべて集めるとプレゼントをもらえるよう検討しました。また、4枚のカードを合わせて裏返しにすると、1つの大きな写真が完成するようにし、すべて集めるために観光資源を周ってもらうことで、町内での滞在時間が増えるよう工夫しました。さらに、自然資源と人文資源と2つのシリーズを用意しました。
 現地調査の中で、カードに載せる写真の撮影を行いました。例えば、日本最大の砂嘴である野付半島ではネイチャーセンターまで向かい、そこから先は遊歩道を歩いていきました。遊歩道を歩く途中、色とりどりの花が咲いており、写真を撮影しながら進んでいきました。枝分かれした砂嘴の先の方へ行くと、写真撮影をする観光客がたくさんいました。この日の野付半島は霧が濃く、あまり良い天気ではありませんでしたが、とても幻想的な風景でした。
 別の日にはサーモン科学館も訪れました。サーモン科学館という名前ですが、サケ以外の魚も展示されており、サケだけでも数種類が展示されていました。また、アルビノの魚が展示されており、初めて見ましたが、とても神秘的で感動しました。
 私が観光客へのアンケート調査を行うために旧根室標津駅転車台を訪れた時には、保存されているSLなどを撮影しました。もともと別の場所にあったSLをクラウドファンディングによって資金を集め、転車台横へと移動しました。話題性もあってか、保存されたSLを見に来る地元の人や写真を撮りに来る観光客がいました。その他、これまでに先輩方が行った現地調査で撮影した風景写真などもカードに載せようと考えています。
 今回、夏に標津町を訪れたこともあり、学校帰りの高校生や外で遊ぶ子どもたちをたくさん見かけました。また、夏にしかできないカヌー体験をさせていただいたり、懇親会を開いてくださったりと、標津町の方々には大変お世話になりました。

フィールドワークで得たことを発表した成果報告会
 国際観光学部4年 山内菜美子

 8月21日〜27日まで北海道標津町を訪れ、フィールドワークを行いました。フィールドワークでは、主に観光ガイドへの聞き取り調査と標津町を訪れる観光客へのアンケート調査を行いました。また、町内で観光客の滞在時間を増加させるために、観光資源を紹介するカード(しべつカード)と、土産物を紹介する冊子を作成するための下調べを行いました。
 そして、8月25日に行われた成果報告会では、各調査の進捗状況やしべつカード、土産物の冊子の提案を行いました。観光ガイドへの聞き取り調査では、「ガイド個人が持っているノウハウをどのようにして伝えているのか」、「ガイド間での情報共有はどのようにして行われているのか」など、観光ガイドに質問した内容を発表しました。
 観光客へのアンケート調査では、川北温泉と旧根室標津駅転車台で学生が立会いのもとにアンケート調査を行った結果について発表し、地元の人が訪れているだけでなく、本州から訪れた人や外国人の方も訪れていることがわかりました。また、雨が降ると人が訪れなくなり、川北温泉ではリピーターが訪れていることもわかりました。このように、どのような人が訪れていたかを時系列にまとめて発表しました。
 また、しべつカードでは、標津町の観光資源であるポー川史跡自然公園、標津サーモン科学館、旧根室標津駅転車台、野付半島、トトロの道などを訪れ、カードに記載するための写真を撮影しました。しべつカードのイメージとして、人文シリーズと自然シリーズの2種類を考えており。各シリーズで4枚の観光資源を紹介します。表面は紹介する観光資源の写真とその説明、裏面は4枚を組み合わせると1つの大きな写真ができあがるようなカードを提案しました。
 さらに、土産物の冊子では、事前に調べた標津町の土産物になるものについて、実際につくっている場所や置いている場所を訪れ、冊子に記載する写真を撮影しました。標津町にどのような土産物があるのかを紹介します。さらに、その土産物がどこに売っているのかをわかりやすく表にまとめることで、観光客が土産物を手に入れやすくするような冊子を提案しました。
 このように、成果報告会では各調査のフィールドワークで行ったことや途中経過を発表しました。今後は、観光ガイドの聞き取り調査と観光客のアンケート調査を細かく分析して、現状や課題を発見していこうと考えています。それが標津町の観光ビジョンを作成する時などの役に立てばと考えています。さらに、しべつカードと土産物の冊子は今回の調査結果をもとに作成を進め、形にしていこうと考えています。昨年度作成した「美味しべつ」や「ぶらりんしべつ」などと組み合わせて、さらに標津町を楽しんでもらえるようなものにしたいと感じました。