文:飯銅 航太  撮影:東 優介
 
 今回は4回生で、大阪府職員採用試験に合格された近藤伊蕗さんにインタビューさせていただきました。

3府県職員に合格

——:まずは大阪府職員への採用決定おめでとうございます。
近藤:ありがとうございます。
——:いつ頃から公務員を目指されたのですか?
近藤:3回生の4月からです。1・2回生のときは就活のことはあまり考えずに過ごしていました。
——:近藤さんが、公務員を目指そうと考えた理由を教えてください。
近藤:父が警察官ということもあって、何となく自分も公務員に就職するだろうなというぼんやりとしたイメージがありました。あと、大学での公務員試験対策講座募集のポスターを見て、申し込み締め切りまで3日しかなくて今やるしかないと感じたことも大きな理由です。
——:公務員の中でも行政職を目指した理由を教えてください。
近藤:自分のタイプ的に警察官よりも行政向きだと思いましたね。加えて、市役所や県庁の行政って本当に幅広いことを扱っていて、教育だったり、インフラ整備だったり、後は福祉とか、色々なことに挑戦できるし、自分自身の夢も広がるっていうような理由で目指しました。
——:近藤さんが受けられた公務員試験の区分を教えて下さい。
近藤大卒程度(※)です。
※ライター注:公務員試験受験においては「地方上級」と総称されている。大卒程度とは大阪府等での呼称であり、都道府県によって呼称に違いが見られる。受験資格は、①試験実施年度末年齢が22歳から25歳の人、②試験実施年度末年齢が21歳以下の人で、学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業した人(試験実施年度末までに卒業する見込みの人を含む。)又はこれと同等の資格があると人事委員会が認める人。
——:公務員採用試験はいくつ受けられましたか?
近藤:県庁だと大阪府と奈良県と鹿児島県、市役所は奈良県の生駒市、大阪府の豊中市などを受けました。
——:その県の公務員試験を受けられた理由を教えてください。
近藤:鹿児島県は祖母の家がそちらの方にあって昔からゆかりがあったからですね。大阪府と奈良県は地元から近いこともあり受験しました。生駒市とかは試験日程が早かったこともあり、練習ということも兼ねて受験しました。
——:兵庫県や京都府は受けられなかったのですか?
近藤:試験日が重なっていたり、1次試験がSPIではなく教養試験で専門的なこともやらなければいけないので諦めました。
——:大阪府庁以外にも内定を頂いていたのですか?
近藤:はい、最終的に鹿児島と奈良と大阪の3つ内定を頂きました。
——:それはすごいですね。最終的に大阪府庁を選ばれた理由はなぜですか?
近藤:やっぱり地元ということもありますし、人口も財源も多いので幅広い業務に挑戦できてやりがいも大きいと思い選びました。
——:民間企業も受けられましたか?
近藤:受けていないです。
——:公務員試験しか受けられなかった理由を教えてください。
近藤:民間企業受験に割いていくエネルギーを公務員試験にあてるためですね。
——:インターンシップは行かれたのですか?
近藤:民間の企業が開催していたものですけど参加しました。
——:その経験が公務員試験に活かされたことはありますか?
近藤:グループディスカッションの経験ですね。
——:阪南大学の公務員試験対策講座は何回生から受講されていましたか?
近藤:3回生からです。
——:公務員試験対策講座を受講しようと思った理由を教えてください。
近藤:公務員に関する知識はなかったので、そこを対面で教えてくれるっていうのはすごい魅力だと感じたからです。
——:公務員試験対策講座を受講していて良かった点を教えてください。
近藤:質問に行くと、論文対策や面接対策とかを自治体の情報をもとに手取り足取り教えてくれるところですね。
——:対策講座以外での勉強時間はどのように確保されていましたか?
近藤:授業の空きコマとかの隙間時間とか通学時間を利用して勉強を進めていましたね。

資格講座テキストの1ページ目の問題が試験で出た

——:ここからは公務員試験の内容に関して質問します。大阪府職員の採用試験の流れについて教えてください。
近藤:1次試験はSPIとエントリーシート、2次試験では論文試験と面接試験、3次試験では面接試験とグループディスカッションでした。
——:SPIの中で得意分野はありましたか?
近藤:数的処理です。
——:逆に苦手な分野はありましたか?
近藤:表の分析のような資料を読んで問題に取り組むものが苦手でしたね。
——:苦手な分野に関してどういった対策をとられましたか?
近藤:ひたすら問題数をこなしていくことですかね。あとは、YouTubeとかも活用していました。
——:公務員試験の中で一番印象深かった試験はなんですか?
近藤:やっぱり面接試験ですね。大阪府の採用試験の時、落ちたと思っていた1次試験に受かっていたので気合を入れて取り組んだことをよく覚えています。
——:論文試験ではどんな問題が出ましたか?
近藤:中小企業がカーボンニュートラルに取り組む意義と、大阪府がどうやって支援していくのかに関して聞かれました。カーボンニュートラルは資格講座でいただいたテキストの1ページ目にあった問題なのでそれが試験で出てとても得しました(笑)。
——:それはとても運がいいですね(笑)。
論文試験についてどのくらいの期間をかけて準備されましたか?
近藤:論文試験の勉強を始めたのは3回生の1月ですね。大体半年くらい勉強をしていました。どんなテーマが出るのかは分からないので資格講座のテキストをひたすらやってました。
——:面接ではどのような対策をとられましたか?
近藤:模擬面接が苦手で家の中で自分一人練習してたって感じです。
——:本番の面接ではどのような質問をされましたか
近藤:志望動機、公務員を目指そうと思った理由、どんな部署でどういう課題を解決していきたいのかっていう部分を深堀りされました。あとはガクチカ(※)ですね。
※ライター注:ガクチカは就活用語で「学生時代に力を入れたこと」の略。
——:試験を受ける際、緊張されましたか?
近藤:そりゃ、緊張しましたね(笑)。受験者数も1000人以上いることもあって部屋の中に大勢の人が待機していて1人ずつ呼ばれていったりするのが特に緊張しました。あと、面接が1日に2回あって大変でしたね。
——:1日に2回というのは、同じ日に2次面接、3次面接という風に進んでいくということですか?
近藤:そうではなくて、2次面接で1回面接が終わった後に面接官を替えてもう1回2次面接を行う感じです。
——:2次面接で2回、3次面接で2回の計4回面接されたのですね。なぜ2回ずつ行われるのですか?
近藤:1回目と2回目の面接官は違う方だったので、面接を担当する部署などを変えて面接をしているのだと思います。
——:面接を受けられる中で意識されてたことはありますか?
近藤:自分がそこの自治体で働きたいという熱意を相手に伝えるようにしていました。
——:試験に向けて日常生活の中で心がけていたことなどありますか?
近藤:ニュースを日頃から見たりしていました。

もともと理系だったが経営情報学部へ

——:次に近藤さん自身についてお尋ねします。出身高校を教えてください。
近藤:大阪府立寝屋川高校です。
——:高校ではどのようなことに力を入れていましたか?
近藤:高校はずっと部活でしたね。剣道部です。
——:剣道はどれくらいされているのですか?
近藤:小学校から高校卒業まで続けていたので大体10年くらいはやってましたね。3段を持っています。
——:それはすごいですね。剣道をしていた経験が今に活きていることはありますか?
近藤:忍耐力や努力を継続する力ですね、就活やバイトとか勉強色々な場面で役に立っています。
——:大学の入試区分を教えて下さい。
近藤:一般入試の後期です。
——:阪南大学を志願された理由を教えてください。
近藤:もともと理系だったのですが、文系の社会科学系の学部の方が面白そうやなって思って選びましたね。勉強している内容に魅力を感じたって感じです。
——:経営情報学部を志願された理由を教えてください。
近藤:経営学っていう学問だけでも本当幅広い内容を学べるっていう感じなのに、情報も学ぶことが出来て、これって決められるんじゃなくて、自分から探せば色々なことを学べると思ったので選びました。
——:大学では部活動やサークルには所属されていますか?
近藤:フォークソング部に所属しています。
——:大学で履修してよかったと思う科目を教えてください。
近藤:『ボランティア実践』です。学校に行かせてもらって、先生の授業の補助とか子供たちと休み時間に遊ぶといった経験をさせてもらいました。
——:所属ゼミを教えてください。
近藤:奥ゼミです。
——:そのゼミを選んだのはなぜですか?
近藤:人数が多くてイベントが多くて、みんな仲いいっていうのもありますし、企業のことだったら幅広く扱っているので、自分のやりたいことを探せるなっていうことはありましたね。
——:卒業論文のテーマを教えてください。
近藤:「武士道についての考察」です。
——:武士道ですか(笑)?
近藤:武士の人たちって戦っていうイメージが強いと思うんですけど、学校を作ったり、病院を作ったりみたいな地域の人たちのためになることをしていたんです。今の現代で言ったら公務員がやっていることに繋がるので今から自分が携わる公務員っていう仕事の根柢にあるものかなと思って選びましたね。
——:阪南大学や経営情報学部に入学してよかったことを教えてください。
近藤:めちゃめちゃ楽しかったですよ。 授業もそうですし、サークルや学祭とかのイベントとか、まあコロナ禍であんまり活動できなかったとは言いつつも自分は自分なりに動いていろいろやってたし、周りの友達も真面目で良い人たちばっかりだし、学校の色としてすごくいいなと思いますね。
——:最後に、公務員を目指している後輩に対して一言お願いします。
近藤:自分が学内の公務員講座だけで内定もらうことができたので、自分の努力次第で内定がいただけるんじゃないかなと思います。諦めずに頑張ってください。

取材を終えて

 大阪府職員採用試験合格おめでとうございます。また、この度はお忙しい中取材に応じてくださりありがとうございました。お話を伺う中で近藤さんの真面目な人柄や努力家な部分が伝わってきました。公務員は大変な職業だと思いますが、今後の活躍を応援しています。
飯銅 航太

 大阪府職員採用試験合格おめでとうございます。カメラマンをさせていただいて、近藤くんの落ち着いた雰囲気を表情や動作からすごく感じ取れました。公務員になられてからも責任感と使命感を持ち、誠実に仕事に取り組む姿が想像できます。これからも頑張ってください!
東 優介

ゼミ指導教員コメント

 大阪府職員への採用おめでとうございます。私自身は、最終の進路を聞くまで、彼が公務員になることはまったく把握していませんでした。私のゼミでは、一般企業への就職が大部分を占めますので、極めて珍しい公務員採用で驚いています。しかも大阪府!!素直にすごいと思います。
 卒業論文では、ゼミ専攻の経営学系のテーマではなく、武士道とは何かをテーマに選びました。公務員には、公平性や清廉潔白な精神、そして何より自らの正義にしたがった模範的な行動が不可欠だとのことで選んだテーマだったと記憶しています。インターネットに頼らず、武士道に関する文献を何冊も読み込み、自分なりの言葉でまとめたもので、極めて完成度の高い卒業論文だと思います。
 今後も、多くの苦難があると思いますが、市民を支える公務員として努力を続けてほしいと思います。また努力できる資質もまた有している好人物であると確信しています。この後の人生がさらに良いものになることを願っています。
奥 康平
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阪南大学経営情報学部 学生広報誌「じぇむ」