2023年6月14日のIT入門(A,B)にて以下の要領でeスポーツ関連の講演が実施されました

日 時:2023年6月14日
講 師:Baro Hyun (ヒョン・バロ)氏
    Luna Tone Inc. Founder & CEO, Ph.D
講義タイトル:eスポーツ業界・ゲーム業界の技術と将来
 講演は経営情報学部の1年生を対象に、わかりやすく現在のeスポーツ業界、ゲーム業界の産業構造と技術の現状と将来についてご講演いただきました。
 まず、バロ氏の自己紹介です。
 バロ氏は韓国生まれで韓国育ちです。高校時代に見た天文の映画に影響されて、大学は天文学へ進学。その後関連する宇宙工学の大学院に進学した後、27歳に米国University of Michiganにて航空宇宙工学博士号取得しました。同時に、Postdoc研究者としてAirForce/NASAのプロジェクトを経験、28歳から韓国ヒョンデ・起亜自動車の研究開発本部の責任研究員として主にEV/HEVにADAS・自動運転技術を適応する開発をリードしました。日本人の奥様とともに家族の事情で、2016年に来日。2017年にKPMGコンサルティングに入社し、マネジメントコンサルタントとしてキャリアチェンジしました。
在籍中に独自開発したAI画像処理基盤ARソリューションで米国マイクロソフト本社と日本支社からPartner of the Yearを受賞し、さらに同社初技術特許を取得する。
 また、同社で2018年からコンサルティング業界初のeスポーツアドバイザリーを立ち上げ、経済産業省・日本eスポーツ連合の政策策定支援をはじめ、国内外の幅広い業界のクライアント向けに新規事業企画・戦略策定・実行・M&A支援などを行っています。同社でプロデュースした京都市と米国ゲーム会社とのコラボレーションプロジェクトでCool Japan Matching Award 2022のグランプリを受賞しました。eスポーツ・ゲーム・メタバース領域の専門家として国内外メディアにて講演や寄稿等多方面で活躍し、著書にゲーム経験の少ない親世代向けのeスポーツ入門・歴史書「Demystifying Esports」、企画・監修に関わった日経ムック「まるわかり!eスポーツビジネス」、日経産業新聞での寄稿連載「裾野広がるeスポーツ」、「メタバースビジネスの最前線」等があります。
 経歴に示すように、韓国語、英語、日本語をとても流暢にお話し、日本語はなまりのないきれいなお話をされておりました。(バロ氏は『日本人の妻に特訓された』とおっしゃっておりました)

 講演内容は、海外のeスポーツ産業は1998年ごろより、つまり、1年生の皆さんが生まれる前から非常に盛んになり、何度かの産業界でのピークを繰り返して、現在はeスポーツ産業をしっかりと確立しました。eスポーツ産業とはゲーム会社とゲーム競技者だけが参加する産業ではなく、eスポーツ大会を開催するイベント業界、eスポーツゲームキャラクタ等の販売業界、eスポーツを教える業界等幅広い産業界へ広がっています。特に、Youtube等のSNSメディア配信により視聴者というマーケットを得て、新しいビジネスモデルを確立しているのがeスポーツ産業です。
 一方、日本はコンシューマゲーム、つまりニンテンドーやソニーのゲーム機をつかった個人利用のゲーム産業が確立されており、ゲームメーカの方針もeスポーツには否定的なイメージがありました。しかし、海外のバロランとやAPEXのオンラインゲームのeスポーツ大会に参加するeスポーツプロゲーマたちも増えており、未発展の日本にもeスポーツの本格的な波が到来するだろうと予想されました。
 そこで、バロ氏は数々の実績をもとに、eスポーツに関するコンサルティング会社を設立し、日本におけるeスポーツの発展とeスポーツ産業の発展に寄与しています。具体的には、高齢者のゲームリテラシーを向上させるミニゲームを多く開発し、高齢者が孫とバロランとというeスポーツゲームできるようになるという取り組みもしています。
特に興味深かったのは、リテラシー教育用に、「アカウント作成ミニゲーム」をつくっており、初心者や高齢者が最初のハードルとなる「ゲームアカウント作成とログイン」をクリアしようとしているところが、オリジナリティがあって面白い発想と感じました。様々な豊富な経験をお話いただき、受講生たちからも非常に多くの質問があり、まるでYoutubeのライブ配信中のコメントに答えるように講義を進めたのが印象的でした。