2022年8月30日大阪電通大学寝屋川キャンパスで、研究・イノベーション学会関西支部の第9回研究会が開催され、経営情報学部 花川典子が講演会を実施しました!

本研究会では3時間の自由な時間をいただき、講演構成も花川が決めてよいという自由度の高い講演会でした。
以下のテーマにて大勢の受講者の皆様と楽しい時間を過ごさせていただきました。
講演会テーマ:イノベーションと地域創生 
        ~ 企業のイノベーションに役立つ学生の育成 ~

第1部 「理系?文系?本当に企業のイノベーションに役立つ学生発掘のために 」
第2部 「メタバース,VRを取り入れるために,まずは体験」
第3部 「大学教育において,ギグワークを取り入れた新しい人材育成方法」
それぞれの部で約1時間の講演で、合計3時間の独演会となりました。
まず、第1部では経済産業省や地方自治体主導で進められている「DX」のデジタルトランスフォーメーションの正しい定義とその事例・失敗事例紹介しました。
事例として大学教育のDX化は「教材をデジタル化してオンライン配布したからDX化した」と考えているDX化の失敗例は受講者に好評でした。
次に、産業界のDX化を進めることを一つの目標としたデジタル庁についての解説をしました。
デジタル庁は私の知り合いの優秀な元大学教員等がご活躍できる場であり、きっと素晴らしいデジタル化が進むだろうと期待しておりましたが、
「官僚の壁」が大きくその文化の違いに四苦八苦しているお話は興味深く聞いていただけました。
そして,DX化推進やIT化推進のための一番大きな問題は、各省庁や組織の文化の障壁であることを示し、
その解決には若い人だけではなく管理職層や経営者層の文化の障壁を取る必要があることを説明しました。
つまり、若年層だけではなく全世代にわたる「人材」を育成することが重要であることを2つのモデルを使って説明しました。
モデルの興味深い分析のひとつである「情報の専門で深い知識がありDX化推進を強く勧める人」が組織の中で障壁を自ら作って孤立する傾向にある点も指摘しました。
そこで、第2部ではDX化を推進したり、産業界の流れに遅れないために、まずは全員にVR体験をしてみましょうという講義内容としました。
受講者は元経営者や大手企業の元部長さん、または大学関係者等比較的高齢で、かつ、情報関連専門ではない方が多かったです。
したがって、DXやIT化等を言葉では知っているが、実体験をしたことがない方が多いです。
そこで、メタバースをキーワードに「とにかく体験しよう」ということで、VRゴーグルを4台準備し、
交代で全員のVR体験を学生のサポートを受けながら実施しました。
MetaQuest2のVRゴーグルを使い、VRチュートリアル用の市販ゲームアプリ「FirstStep」を使いました。
本体験は花川の科研費の研究テーマである「市販ゲームを使った教育カリキュラムの開発」の高齢者向け実証予備実験の一つとして実施しました。
体験された受講生の皆様は楽しそうな歓声を上げながら、「とっても楽しかったわぁ」と体験を喜んでいただけました。
最後の第3部では、組織や個人の文化がDX化の障壁となる問題を解消するには全世代での人材育成が重要であることに基づき、
大学での「ギグワークを組み込んだ新しい人材方法」をご紹介しました。
基本的に大学のカリキュラムに沿って専門知識や技術を体系的に学んだ後、ゼミ等でその知識を深めるとともに、
「ギグワーク」を通じて企業とともに学生を育成する教育手法です。
企業にとっては優秀な学生へ早期にアプローチできる、学生にとっては仕事を通じて業界を理解し、知的バイト収入になる。
教員にとっては産業界のニーズを知ることができると3者ともに利点のある教育手法です。
実際に花川ゼミで試行した結果、学生は目を見張る成長し、企業からは学生能力の再認識したと感想をいただき、
教員は産業界が現在着目している技術や動向を知ることができました。
これらのギグワークを含む教育のためにYumin Villageギグワークプラットフォームシステムを花川ゼミで開発しており、そのデモも示しました.
以上、3時間にわたる講演会でしたが、長い時間にかかわらず、受講生の皆様に楽しんでいただけたと思います。
アンケートではDXやデジタル庁の基本を理解でき、その問題点が明確になったという知識の獲得に関する感想もありましたが、
圧倒的に「VR体験が面白かった。もっとやってみたい」との感想がありました。
メタバースやVR等は言葉としては聞いたいことがあるけれども、もう一つ何か良くわからないという人たちが多いと思います。
それらの人たちも巻き込まれる社会のDX化のためにも、最初の第一歩として全世代向け「VR体験」の活動と研究を進めていきたいと思いました。