文:馬場かれん 撮影:炭家清花
 
 今回は、2021年度の二つのビジネスプランコンテストで入賞された、経営情報学部4回生の楠本悠真さんにインタビューさせていただきました。

203組の応募者の中から部門賞受賞!

——:まずは「第19回 学生ビジネスプランコンテスト」にて努力賞、「関西NBCニュービジネスアワード2021」にて部門賞の授賞おめでとうございます。
楠本:ありがとうございます。
——:はじめに「第19回 学生ビジネスプランコンテスト」についてお尋ねします。
こちらはどういったコンテストですか?
楠本:全国の大学生が応募できるビジネスプランコンテストです。プランの内容を企画書にまとめ、それを審査、評価してもらうといったビジネスプランコンテストです。
——:審査方法を教えてください。
楠本:書類審査でした。
——:「第19回 学生ビジネスプランコンテスト」には何組ほど参加されていたのですか?
楠本:令和3年度では、203組の応募がありました。
——:想像よりも多い応募者数で驚きました…!
授賞が決まったときはどのような気持ちでしたか?
楠本:名の知れた大学と並んで授賞できたことはすごく嬉しかったです。
——:続いて「関西NBCニュービジネスアワード2021」についてお尋ねします。
こちらはどういったコンテストですか?
楠本:大学生だけでなく社会人や一般の方も応募できるビジネスプランコンテストです。
——:審査方法を教えてください。
楠本:一次審査で書類審査があり、2次審査でプレゼンがありました。2次審査に通過すると部門賞を授賞することができ、その中で最優秀賞を決める3次審査を公開プレゼンという形で行いました。3次審査ではネット配信もしていたりと、規模の大きさに驚きました。
——:プレゼンは個人でされたのですか?それともチームでされたのですか?
楠本:僕が発表して、他のチームメンバーが質疑応答に対応するといった形で、役割を分担していました。
——:「関西NBCニュービジネスアワード2021」には何チーム参加していましたか?
楠本:2021年度の応募総数は301組で、U-19部門に271組、アントレプレナー部門に15組、僕が応募したビジネスプラン部門には15組の応募がありました。
——:こちらのビジネスプランコンテストにも多くの応募者が募ったのですね。
他のチームとの交流などはありましたか?
楠本:他のチームとの交流はあまりなかったのですが、運営の方が阪南大学出身だそうで、「ここで母校の名前が見られて嬉しい」といったお言葉をいただきました。
——:そうだったんですね!
授賞が決まったときはどのような気持ちでしたか?
楠本:今回授賞した部門賞は僕のチームを含め4組が授賞したのですが、その中で大学生だったのは僕たちだけだったので、学生で唯一部門賞を授賞できて嬉しかったです。
——:このコンテストは学生だけでなく、企業や団体の代表も多く参加されているようですが、その中で差別化をはかるための対策はされましたか?
楠本:差別化をはかるためにしたことはあまりありませんが、一般の方より多くの時間を使えたことで詳しい内容を提案できたのではないかなと思います。
——:年上の方と同じ土俵で戦うということに気後れしませんでしたか?
楠本:会社などで実際に運用しているもので応募しているチームも多かったので、同じところで戦えるのかといった不安要素はありました。

利用者の立場になってプランを考えた

——:続いて取り組んだビジネスプランについてお尋ねします。
コンテストに応募したテーマを教えてください。
楠本:「DIYAR(ダイヤ—)~ARでDIYを簡単に~」です。コロナ禍でDIYをしたい方が増えていると思うのですが、材料の数や組み立て方がわからないといった悩みを持つ方が多いんです。大学で研究している「LiDAR」では正確にものの長さを図ったりすることができるので、それを使ってARで作業のガイドをしてくれるといったプラン内容です。あまり聞き馴染みがないと思いますが、LiDARは最新のスマホのカメラにも利用されているんです。
——:え!それは知らなかったです!
そのプランはどのようなときに役立ちますか?
楠本:やっぱりDIYをしたいときですね(笑)。
——:そうですよね(笑)。
一般向けということですが友人に聞き取りなどは行いましたか?
楠本:はい。僕の友人に実際DIYをやっている人がいて、その人にどんなところに困っているかなどを聞いたりしました。
——:プランを提案するにあたり、難しかった点を教えてください。
楠本:どのような機能をつけるかで悩みました。選ぶときは「こういう機能ほしいよな」といった、利用者の立場になって考えたときにほしい機能を考え厳選していきました。
——:チーム構成を教えてください。
楠本:大学院生の先輩2人と僕の3人です。
——:楠本さんのチーム内での役割を教えてください。
楠本:リーダーをしていました。
——:メンバーはどうやって集めたのですか?
楠本:先輩に一緒にやろうと誘っていただきました。所属しているゼミでは毎年ビジネスプランコンテストに応募しているのですが、今年は誰を誘うかという話があったみたいで、その際僕を選んでいただきました。
——:チーム運営の中で困ったことありましたか?
楠本:大会が行われるのは10月や11月が多いですが、準備は4月からと期間が長いので、気持ちがぶれてしまうことがありました。
——:それはどのように解決されたのですか?
楠本:一週間ペースで目標を立てることや、なかなか案がでないときは毎日連絡を取り合って、モチベーションが下がらないようにしていました。
——:チームで取り組んでよかったことを教えてください。
楠本:発表は僕が担当したのですが、一人でやるのと周りにメンバーがいるのとでは全然違うので、チームで取り組んでよかったなと思いました。またメンバーの中には文章が得意な人や、プランを考えるのが得意な人がいたので、適材適所で役割を分担できたところもよかったです。
——:楠本さんは2019年にも「立命館大学学生ベンチャーコンテスト2019」で審査員特別賞(NVCC賞)、また「第21回キャンパスベンチャーグランプリ大阪」にて特別賞近畿経済産業局長賞を授賞されていますが、2年前の経験は今回どんなふうに活かされましたか?
楠本:一番はビジネスプランコンテストの流れとか、考え方・調べ方がわかっていたことです。
——:今年もビジネスプランコンテストにチャレンジしようと思った理由を教えてください。
楠本:2回生のときはなかなか案が思いつかなかったことが心残りでした。今年こそは自分で考えよう!と思っていたので、もともと研究していた内容をうまく組み合わせてプランを提案できたのはすごくよかったです。
——:本当ですね!

経営情報だからビジネスプランコンテストで受賞できた

——:続いて楠本さん自身についてお尋ねします。
入試区分を教えてください。
楠本:一般入試(前期)です。
——:阪南大学を志望された理由を教えてください。
楠本:他の大学にはない経営と情報が両方学べるというところがいいなと思い志望しました。
——:部活やサークルには所属されていましたか?
楠本:LOL(ロール)サークルに所属していました。ゲームのイベントを企画したりしました。
——:ビジネスプランを提案するにあたり、ためになった授業を教えてください。
楠本:『経営実践講座』です。中小企業の社長さんに講義していただくといった内容なのですが、ビジネスプランの考え方や実現の仕方などを教えていただいたのはとてもためになりました。
——:阪南大学や経営情報学部に入学してよかったことを教えてください。
楠本:経営と情報を併せて学べたので、ビジネスプランコンテストで受賞できたのだと思いました。
——:所属ゼミを教えてください。
楠本:北川ゼミです。
——:なぜ北川ゼミを希望されたのですか?
楠本:同じサークルの先輩が北川ゼミに所属していて、活動内容を聞かせてもらったりして興味を持っていたのですが、1回生の頃から授業外で北川先生にプログラミングを教えてもらっていたこともきっかけで所属することになりました。
——:卒論のテーマを教えてください。
楠本:「マーカーレス型ARの実現に向けたレジストレーション手法の比較及び開発」です。
——:これはまた難しそうなテーマですね(笑)。
内容を教えてください。
楠本:ARと聞くとマーカーを写すと画面上に3Dで表示されるというものが一般的かと思いますが、これではマーカーを設置できないと実装できず、場所が限られてしまうといった課題がありました。その問題を解決するものとしてマーカーレスでARを出現させるというのが注目されていて、ARを出現するのにレジストレーション(=位置合わせ)を行うのですが、これをマーカーなしでやるというものです。レジストレーションを行う主な手法はICPなのですが、それの高速化するための調査と比較を行いました。
——:調査をするにあたり難しかったことはありましたか?
楠本:レジストレーションを行うのも、マーカーがあると簡単にできるのですが、マーカーレスでも高速で出力しなければならないことや、正確に出さないといけないなど、いろいろ課題がありました。大変でしたが、卒論でもARを実現するための研究ができたのでとても良かったと思っています。
——:卒業後の進路を教えてください。
楠本:阪南大学の大学院に進学します。
——:これからビジネスプランコンテストに応募しようと思っている人へ向けてアドバイスをお願いします。
楠本:日頃の生活で困っていることや問題を知ることが大事だと思います。また、今どのような技術が使われているか、その技術がどこで使われているかを知った上で、新たな活用方法を考えることが大切だと思います。
——:みんなが困っていることを解決できたらもっと良い社会になりそうですね。
今回は取材に応じてくださりありがとうございました。


取材を終えて

 まずはビジネスプランコンテストの授賞おめでとうございます。また取材にも応じてくださりありがとうございました。取材前から気さくに話してくださって、私も楽しく取材させていただくことができました。これからも多くのことを学び続ける楠本さんをお手本に私も頑張りたいと思います。
馬場かれん

 ビジネスプランコンテストでの入賞おめでとうございます。こうして大学生活を共に過ごした友人を取材できることをとてもうれしく思います。自分もDIYが趣味なのですごくいいプランだと思いました。大学院に進学するとのことでさらなる活躍を期待しています。
炭家清花

ゼミ指導教員より

 楠本君は、私のゼミ生として2年半一緒に活動してきました。ゼミでの活動では、ビジネスプランコンテストでの受賞だけでなく、企業との共同プロジェクトへの参加、プログラミングの勉強、後輩指導など様々なことに挑戦して努力してきたと思います。そして、初めて出会った時よりもすごく成長したと実感しています。4月からは、大学院に進学してさらなる成長を期待しています。
北川悦司
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