2021.3.26

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.36 学生ビジネスプランコンテストで入賞した片野坂空さん

文:森田鈴菜  撮影:炭家清花
 
 今回は、第18回学生ビジネスプランコンテストにてアイデア賞を受賞されたチームのリーダーの経営情報学部4回生の片野坂空さんにインタビューさせていただきました。 
担当教員注:アイデア賞は,東京大学など全国160件の応募の中の3位タイです。

学生ビジネスプランコンテストでアイデア賞を受賞

——:「学生ビジネスプランコンテスト」にて、アイデア賞の受賞おめでとうございます。
片野坂:ありがとうございます。
——:はじめに、「学生ビジネスプランコンテスト」とはどういったものでしょうか?
片野坂:一般財団法人「学生サポートセンター」が主催で学生が考えたビジネスプランを審査するコンテストです。
——:このコンテストはどのような点を審査されるのでしょうか?
片野坂:選考基準としては目的・概要、プランの新規性・独創性、実現性、市場性やマーケティング、社会性等を審査されます。
——:このコンテストはどのような審査プロセスで進むのですか?
片野坂:書類のみの審査です。
——:その書類はどのような形式のものなのでしょうか?
片野坂:wordで作った資料になります。先程言った審査項目ごとに分かれていて、一つの項目あたり、4行程度にまとめて書くものでした。
——:すごい簡潔にまとめなければいけないんですね…
片野坂:はい、それが思ったより難しかったですね。
——:では今回は審査員に対するプレゼンなどはなかったのですか?
片野坂:元々、「ビジネスプランコンテスト」は毎年書類審査だけです。

不動産業者向けの退去時点検サービスを提案

——:どのようなテーマで応募されたのですか?
片野坂:「~動画を撮影するだけでお手軽退去時点検~退去時点検くん」というもので応募しました。
——:それはどのようなものなのでしょうか?
片野坂:引っ越しをする際にどこが入居前と退去前で違うか確認する退去時点検というものが必要なんですが、今までそれは目視で行われていたんです。それを入居前と退去前の3Dモデルを作成することで、目視でなく、その3Dモデルの比較によって退去時点検を行うことが出来るようになるというプランです。また、それを全てスマホで行うことが出来るのでお手軽に退去時点検が出来るという所が売りです。
——:その3Dモデルではどのようなことを比較することが出来るのですか?
片野坂:退去時点検に必要なへこみや変色、傷などが比較によって検出できます。
——:このプランは一般人向けか業者向けかどちらでしょうか?
片野坂:不動産業者をターゲットにした販売を考えたものです。建物自体に退去時点検サービスというようにあらかじめ付けておいてそれを使用してもらうという感じになります。
——:細かい傷なども3Dモデルでわかるんですか?
片野坂:その場合3Dモデルの比較で見つけるのは難しかったので3Dモデルを作成する際に撮影する動画を使って見つけます。それで動画上にあるエッジ(傷などには角が出来てわかりやすくなるもの)を検出するプログラムを作成して傷を検出するという方法をとっています。
——:3Dモデル以外にもプログラムも作成したんですね!ほかにも変色なども3Dモデルの比較でわかるということですが、光の入り方や反射などで正確なデータが取れなくなるということはないんですか?
片野坂:もちろんそのような可能性もあるので、基本的には布などでガラス窓は覆って外からの光を遮断してもらうということを考えていたり、撮影用のライトなど用意して対応する予定です。また、あらかじめ3Dモデルを作成した日付や時間帯を記録していただいてその情報を考慮することなどを考えています。
——:プランについてだけではなく、実際そのプランを実行した時に問題になりそうな点まで深く調べて解決方法を考えなければいけないんですね…‼
片野坂:そうですね。といっても光について詳しいわけではないので何とも言えない部分もあるにはあるんですが、プログラミングなどで解決できる範囲ではあると思っています。
——:そのような問題点はメンバーみんなで話し合って、問題点を探したのですか?
片野坂:はい、実践したら出てくるであろう問題点などは審査員から深く掘り下げられることもあるのですごい考えました。
——:今回のテーマを思いついたきっかけは何だったのでしょうか?
片野坂:ゼミでの活動中にスマホで簡単に3Dモデルを作成できることを知ったのですが、この技術をビジネスプランコンテストのプランに使用できないかと考えたのが最初でした。そこから部屋の3Dモデルを作れるのではないかと思い付き、それがこのプランを考えるきっかけになりました。
——:そこから「退去時点検」に目を付けた理由などはあるでしょうか?
片野坂:プランを考える中で色々なニーズを調べていたのですが、退去時点検時に大家と揉め事が起きるなど問題点があることを知り、ニーズがあることを知りました。また、現在のコロナウイルスの影響で対面での退去時点検が難しいのではないかとも思い、今の状況にも合っているのではないかと思いました。
——:プランの内容の中で特に工夫した部分はどこですか?
片野坂:3Dモデル同士をどのように比較すればどの情報が検出されるかという点です。例えば3Dモデルをどう重ね合わせればへこみが検出できるかとか、変色についてなどです。

立命館大学学生ベンチャーコンテストで入賞

——:他にも応募したコンテストはありましたか?
片野坂 立命館大学主催の「学生ベンチャーコンテスト」にも応募していました。こちらのコンテストでは ファイナリスト に選出していただけました。
——:おめでとうございました!こちらのコンテストはどういったものなのでしょうか?
片野坂:学生が持つ技術やビジネスアイディアをもとにプランを募集し、大学発ベンチャーの創出と起業家精神の育成を目的としたビジネスプランコンテストです。
——:どのような審査プロセスで進むのでしょうか?
片野坂:一次審査は書類審査で、その後の二次審査、最終審査はオンラインのプレゼンテーションでの審査になりました。
——:審査員の前での発表では片野坂さんがされたのですか?
片野坂:はい。一応リーダーということもあって僕がしました。
——:お疲れ様です。発表が必要な「ベンチャーコンテスト」か、書類での審査のみの「学生ビジネスプランコンテスト」の準備、どちらの方が気持ち的に大変でしたか?
片野坂:人前で発表するというのが昔から苦手なので、「ベンチャーコンテスト」の方ですね。すごい緊張しました(笑)
——:オンラインでの発表と対面での発表ではどういうところが違いましたか?
片野坂:やっぱり自分の姿が審査員には見えないというところだと思います。
——:と言いますと?
片野坂:Web会議システムだとプレゼン資料が画面一杯に表示されるため、身振り手振りで伝えることが出来なかった点です。でも、相手が目の前にいないため少し落ち着いて発表することが出来たのは良かったなと思います。
——:確かに直接見られているかどうかは大きいですよね。
片野坂:あと、オンラインだと手元に発表用の原稿を置いていてもばれないじゃないですか?(笑)その点でも気持ち的に余裕を持つことが出来ました。
——:では、オンラインでの発表ならではの工夫した点や気を付けた点などは何ですか?
片野坂:オンラインでの発表では記事にポインターというもので注目点を強調させながら発表しました。

対面での活動ができない中、オンラインで話し合い

——:それではビジネスプランコンテストに取り組んでみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
片野坂:北川ゼミでは3回生からビジネスプランコンテストに応募するように言われていたからです。
——:ということは今年のビジネスプランコンテストは2回目の挑戦ということですよね?4回生は就活なども忙しいと思うのですがそれでも再チャレンジしたかった理由などはあったのでしょうか?
片野坂:三回生の時に応募したビジネスプランコンテストの結果が思うようにいかなかったり、賞をとれなかったりするとゼミの先生から4回生でもビジネスプランコンテストの再挑戦を勧められます。自分も思うように成果を残せなかったので再挑戦しました。
——:三回生に応募したビジネスプランを元に4回生のビジネスプランは考えたのでしょうか?それとも全く違う内容で再挑戦したのでしょうか?
片野坂:全く違う新しいテーマで考えました。
——:片野坂さんはチームのリーダーとしてこのコンテストに挑まれたとのことですが、メンバー構成を教えてください。
片野坂:大学院一回生の方が一人と、僕と同じ4回生の方が一人の計三人で挑みました。
——:メンバーの中に大学院1年生の先輩がいるのに片野坂さんがリーダーになった理由とかはあるんですか?
片野坂:うーん…、多分なんですけど、下の子を育てるためみたいな理由で僕がリーダーになったんじゃないかと…(笑)それ以外だと自分が二回目の挑戦だったからというのもあるのかと思います。
——:リーダーならではの苦労などはありましたか?
片野坂:コロナウィルス感染対策のため直接会って話し合いが出来なかったため、「何日までに何をやってきて」みたいなことをリーダーが決めることが多くあって、押し付けてるみたいで心苦しかったですね。だから、その分自分も仲間任せにならないように頑張りました。
——:いつからこのプランについて取り組み始めましたか?
片野坂:ビジネスプランの案を本格的に考え出したのは7月からです。退去時点検の案が出たのが9月終盤で「ビジネスプランコンテスト」の提出期限が10月だったので締め切りの一カ月くらい前に案が出ました。
——:え、じゃあ、一カ月くらいで案を完成させたってことですよね!?
片野坂:はい(笑)だから案が出てから完成にもっていくまではすごい忙しかったですね…(笑)
——:ですよね!9月や10月はそれこそコロナの影響であまり外出できなかったと思うのですがどのような感じで話し合いをしてましたか?
片野坂:全てオンラインで行っていました。だから、役割分担とかは難しかったですね。
——:プランの準備で一番大変だったことはなんですか?
片野坂:プランを考えること自体が一番難しかったですね。それこそ提出期限が迫っていたこともあってこのまま思いつかないんじゃないかと焦ったりもしました。
——:では、案を思いついて完成まで詰める作業より案を出すまでの過程の方が大変だったってことですよね?
片野坂:そうですね。
——:ビジネスプランコンテストに取り組んでよかったことは何ですか?
片野坂:純粋に提案力や文章力などの色々な力が伸びたと思います。あと、賞をとれたことで「自分でもやっていけるんだ」と自信がつきました。

経営の力と情報の力、両方を使って賞をとれた

——:次に片野坂さんに関する質問をさせていただきたいと思います。出身高校はどこですか?
片野坂:近畿大学泉州高等学校です。
——:阪南大学に入学されたきっかけは何だったのでしょうか?
片野坂:オープンキャンパスです。
——:オープンキャンパスではどのような点に惹かれましたか?
片野坂:経営と情報のどちらも学べるという点に惹かれました。実際、今回のコンテストでも経営の力と情報の力、両方を使って賞をとれたと思っています。
——:経営の力というのは具体的にどのような点に使われましたか?
片野坂:最終的に出るであろう収益なども書かなければいけなかったのですが、その時に経営を学んでいてよかったなと思いました。
——:では、経営情報学部を選ばれた理由は経営と情報のどちらも学べるという理由ですか?
片野坂:そうですね。
——:ということは、最初から阪南大学に来るなら経営情報学部一択という感じだったのですか?
片野坂:はい、その気持ちが一番大きかったですね。
——:片野坂さんの、入試区分を教えてください。
片野坂:公募制推薦です。
——:阪南大の科目で受講して良かったと思うものは何ですか?
片野坂:僕は北川ゼミに所属してるんですけど、北川先生の授業は受講してよかったなと感じました。難しいにもかかわらず面白くてわかりやすく自分の力が付きやすい授業が多かったように感じます。
——:片野坂さんが北川ゼミを選ばれた理由はなんだったのですか?
片野坂:情報について学びたくて情報系に強いゼミを選びました。
——:大学では何かサークルや部活に入ってたのですか?
片野坂:阪南大学e-スポーツサークルと阪南大学LoLサークルに入っていました。
——:卒論のテーマを教えていただいてもよろしいでしょうか?
片野坂:「橋梁の現況一般図の自動作成システムの開発。」というものです。
——:大学卒業後の進路は決まっていますか?
片野坂:阪南大学大学院に進学する予定です。
——:どのようなことを専門的に学びたいと思っていますか?
片野坂:画像処理に関する技術と三次元点群処理について勉強していきたいと思っています。
——:ありがとうございます!最後に経営情報学部の入ってよかったと思うところを教えてください。
片野坂:経営と情報の二つを学べるところがいいところだと思います。
——:長い時間ありがとうございました。大学を卒業してからも、益々のご活躍をお祈りしています!

取材を終えて

 改めて、学生ビジネスプランコンテストにてアイデア賞の受賞おめでとうございます。私が今後学びたかった内容に関するお話も多く聞くことができ、大変興味深いインタビューになりました。片野坂さんへの取材が私の初めての取材ということもあり、大変緊張しましたが、すごく優しく接していただき、ありがとうございました。
 片野坂さんの今後のご活躍も期待しております。
森田鈴菜

 本日はお忙しい中取材を引き受けて下さり、ありがとうございます。そして、学生ビジネスプランコンテストでのアイデア賞の受賞おめでとうございます。今回は感染症対策のため屋外での撮影となり、場所を選ぶのがとても難しかったです。また、以前から親交がある先輩なのでこうして取材できることがとてもうれしく思います。片野坂さんのこれからのご活躍をお祈りしております。
炭家清花

ゼミ指導教員より

 ビジネスプランコンテストでの受賞おめでとうございます。昨年は良い結果を残せなかったですが、今年度こそはの気持ちで再チャレンジし、努力した結果だと思います。テーマについても自分の研究テーマを活用した内容であり、非常に有益なプランだと思います。片野坂君は今後大学院に進学しますが、これからも高い目標を持って頑張ってください。
北川悦司
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