2020.11.30

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.32 サッカーでの怪我を乗り越え宅建に合格した上東大輝さん

文:秋吉恵梨香 撮影:服部美雪
 
 今回は、昨年宅建に合格した経営情報学部3回生の上東大輝くんにインタビューさせていただきました。

怪我でサッカーができなくなった

——:まず上東くんの大学入学前のことをお尋ねします。出身高校を教えてください。
上東:阪南大学高校です。
——:高校では何かクラブ活動をやっていましたか?
上東:サッカー部です。阪南大学高校サッカー部は、昨年度、インターハイでベスト16、プレミアリーグWESTで6位の実績がある強豪です。
——:サッカーを始めたのはいつですか。
上東:幼稚園の時です。
——:今までサッカーをしてきて辛かったことはありますか?
上東:突然選手生命を絶たれたことです。幼稚園の頃からサッカーというスポーツが好きだからこそ続けてきましたが、高校2年生の夏、試合中に膝の怪我をしてしまい4つの病院を転々としたのですが、どの病院でも「手術ができないほどひどい状態」と言われるばかりでした。しかし、最後に行った病院の先生が「私が手術をするからお互い頑張ろう!」と言ってくださったおかげで私はもう一度試合に出てみせると決意し、最後の引退試合で10分間だけでしたが試合に出ることが出来ました。
——:サッカーを続けられないとわかった時、どんな思いでしたか?
上東:辛いとか、悲しいとか、その時はあまり実感が湧きませんでしたが、日が経つにつれて徐々に実感し、練習に参加できずただ見学している自分に腹が立ち、悔しい気持ちがこみ上げてきましたね。一人で泣いたこともありました。
——:上東くんの気持ちの支えになったものはありますか?
上東:手術代、リハビリ代、交通費は親に負担をかけるので、恩返しするためには試合に出ないと意味がないという思いはありました。また、今まで見てもらった病院で「サッカーをするのは厳しい」と私に対して診断した医者たちを見返す為に、絶対試合に出たるぞという気持ちもありました。ただ最も自分を奮い立たしたのは、「サッカーをもう一度だけでいいからやりたい」という純粋な気持ちが一番にありましたね。
——:上東くんが阪南大学に入学した理由、経営情報部を選んだ理由は何ですか?
上東:将来自分で会社を経営したいと、漠然とですが思っていました。自分で会社を経営していくにあたり経営情報学部が一番合っているのかもということで選びました。
——:入試区分は何ですか?
上東:阪南大学高校特別入試です。
——:経営情報学部でどんな勉強をしたいと考えていましたか?
上東:やはり経営についてですかね。経済も少し学びたいなと考えていたのと、パソコンを触る機会が多いと聞いていたのでその技術も将来的には必要だと思っていました。

4カ月で宅建に合格!

——:それでは次に、宅建取得についてお聞きします。宅建合格おめでとうございます!
上東:ありがとうございます。
——:宅建を取得しようと思ったのはなぜですか?
上東:元々不動産というものに興味がありました。父・祖父の仕事柄、建物や図面といった不動産という存在との距離が近かったのも興味があった理由の一つかもしれません。自分は不動産の知識が全く知識がなかったので、この機会に勉強してみようと思いました。
——:いつ頃宅建を取得しようと決めたのですか?
上東:2回生の時の6月頃、親に「こんな資格あるらしいで」と教えてもらって、「じゃあ勉強がてら取ってみようかな。」と思って勉強し始めました。
——:勉強をしようと決めてすぐ実行されたのですね!学内講座は利用しましたか。
上東:していません。
——:1日何時間ほど勉強していましたか?
上東:平日は3時間ほどで、休日は6時間くらい勉強していました。宅建を取得しようと決めたときには試験まであと4カ月しかなかったので、アルバイトも遊びもほとんど中断し、勉強に本気で取り組みました。
——:資格勉強中に何か自分の中で決めていたことはありますか?
上東:勉強するからには100%合格する事です。周りにも宅建をとるという事を宣言することで、やるしかないという状況をあえてつくっていました。
——:勉強するにあたって、苦労したことは何ですか?
上東:時間の使い方に苦労しました。学校の課題があったり、予期せぬ用事が入ったりと勉強のリズムが狂い、よく寝不足になりましたね。
——:勉強をしている際に、これまでの経験で活かせたことはありますか?
上東:やはり上記で話した高校生の時の怪我ですかね。試合に出るために、地獄のように辛いリハビリを2日に1回、約10ヶ月間通い続けました。試合に出れたのはわずか10分だけでしたけど、それでも嬉しかったですね。途中交代で出場したのですが、交代を待つピッチサイドからの景色は、今までのつらい経験や思いがこみ上げてきた事もあり、今でも鮮明に覚えています。この経験は本気で頑張ればそれなりに結果もついてくるという自信に繋がりました。勉強に本気で取り組んだのは人生で初めてでしたが、合格する事以外考えてなかったです。
——:宅建の勉強を通じて、身についたことは何ですか?
上東:時間の配分の仕方ですね。3日ずつのスケジュールを作っていました。宅建の勉強・学校のレポートやアルバイトに優先順位をつけて、今何をしなければならないのかを常に考える力がつきましたね。
——:宅建を目指している人に一言お願いします。
上東:本気でやったら取れますよ。

やりたいことを悔いなく本気でやる

——:次に上東くんの大学での事についてお聞きします。所属ゼミを教えてください。
上東:中條ゼミです。
——:そのゼミに入った理由を教えてください。
上東:理由は2つです。1つ目はゼミのテーマが金融系だったこと。お金の流れは知っておいた方がいいと思っていました。2つ目は、他の科目で中條先生の授業を取っていたのですが、講義の進め方・教え方がすごく上手く、もっと色々な話を聞いてみたいと心から思えた先生だったからです。
——:ゼミでは、どのような勉強をしていますか?
上東:金融や経済の勉強をしています。2回生の時は、経済という枠組みでグループ別にそれぞれのテーマを発表する形式の授業で行いました。3回生ではコロナウイルスが経済に与える影響や時事問題・環境問題について議論しています。
——:これまで受講してよかった授業はありますか?
上東:マーケティングリサーチです。調査したい内容によりリサーチの手法が異なったり、人間の行動パターンには種類があることを知り、興味深い授業だなと思いました。
——:大学生活後半の目標は何ですか?
上東:努力を怠らず、継続して結果にこだわる事です。

最後に一言(上東さんからのメッセージ)

 怪我の影響で今現在も走ることが出来ないということもあって、好きなことが突然できなくなってしまう事がどれほど残酷であり、当時の事を身に染みて覚えていることから、何事も頑張れる自分がいるのかもしれません。私は当時から怪我の詳細等は同情されるのが嫌だったため、ごく一部の人にしか打ち明けてきませんでした。ですがこのような場を設けて頂いた事により、当たり前な生活が当たり前ではないという事を伝えるいい機会になると思い、詳細をお話させていただきました。記事を見てくれた誰かに私の経験や思いが伝わり、その人の心を動かし、少しでも良い影響を与えられれば幸いです。この度はありがとうございました。
上東大輝

取材を終えて

 上東くん、宅建合格おめでとうございます。やると決めたことには全力で取り組むという気持ちがとても伝わってきました。自身に次は何が必要なのかを考えて行動されていて、私も見習いたいと思う部分がありました。上東くん、お忙しい中ありがとうございました。
秋吉恵梨香

 宅建を4か月で合格されたと聞きとても驚きました。周囲も利用して自分を追い込んでいく姿勢は私も見習いたいと思います。最後になってしまいましたが貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。宅建合格おめでとうございます!
服部美雪

ゼミ指導教員より

 上東君は、2年次から私のゼミに所属していますが、どちらかと言えば私の方が彼から学ぶことが多いです。「若いうちにできるだけたくさん失敗したい」は彼の名言のひとつですが、成功体験よりもむしろ失敗からの方が学べることが多いことを直感的に理解しているのでしょう。こんなに若いのになぜこれほど達観しているのか不思議に思いますが、それは上東君自身が自分の人生をかほどに真剣に考えている証拠と言えます。大変な努力家であると同時に、友人、家族を大切にし、常に周囲への気配りを忘れません。いつまでも情熱を失わず、自身の目標を追究してもらいたいと思います。
中條良美
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