2019.2.20

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.16 採用人事担当者として活躍するOBの柳直輝さん

文:永山晴香 写真:山本あづさ


 今回は、卒業生である柳直輝さんに取材をさせていただきました。柳さんは、在学中にSカレ(後述)で優勝経験があり、その経験を生かして、就職後は社内の新規事業コンテストで賞を獲得しておられます。会社では採用部門を担当しておられ、就活生へのアドバイスもいただきました。

全国大会(Sカレ)で優勝し、「できない」と言い訳をしなくなった

——:Sカレとは何ですか?
: 全国の30近くの大学から学生から参加する、マーケティングの大会です。協賛企業が出すテーマに沿って、商品を企画します。

担当教員注:
Sカレ(Student Innovation College)は、2006年から開催されている、商品企画のインターカレッジで、単なるビジネスプランコンテストではなく実際に商品化し販売を目指すのが特徴です。柳さんのチームが参加した2013年度の大会は、全国2 8 大学3 2ゼミ4 0 0 人以上の参加でした。
——:Sカレではどんな発表をされたのですか?
:僕たちのチームは、当時Sカレの協賛企業だったネスレ(コーヒーやチョコレート菓子などを販売する食品飲料会社)の商品であるキットカットに“Have a break, have a KITKAT. ”というフレーズがあり、そのフレーズを“バズらせる(流行らせる)”という企画に取り組みました。入学した当時、東日本大震災や、京都で川が氾濫するといった災害が多くて、災害と紐付けられないかと考えました。最終的に企画したのが、キットカットの裏にQRコードを載せて、そのQRコードを読み込むと、被災地側からのボランティア要請のサイトに繋がるという仕組みでした。時間が経っても、被災地側からボランティアを要請できるような仕組みを作って、街を再ブレイクさせようということと、”Have a break, have a KITKAT.”とかけて、企画して、提案しました。
——:Sカレに向けてどのくらいの期間、活動したのですか?
:1年間くらい活動していました。
——:Sカレで優勝した時は、どんなお気持ちでしたか?
:全国の大学生が集まっている大会だったので、自分より凄い人たちがいっぱいいて、自分なんかと思っていたので、「優勝です」と言われたときに、凄く自信になりました。それまで、自分に無駄にレッテルを貼って、「できない」と言い訳していたのが、そこから自信を持って色んなことに挑戦できるようになりました。

担当教員注:
2013年度大会の参加校は、国立大学は東北大・一橋大・和歌山大・山口大、公立大学は大阪市立大・首都大学東京・名古屋市立大・横浜市立大等で、私立大学は慶應義塾大・上智大・明治大・青山大・法政大・東京理科大・関西学院大・関西大・同志社大・立命館大・近畿大等でした。柳さんのチームは「キットカットをテーマにしたバズを起こす動画の企画」でテーマ優勝を果たしています。

東日本大震災の被災地に足を運んで実践的にアイディアを練る

——:Sカレを目指してゼミ に入ったのですか?
:違います。ずっとやっていたサーフィンの中で出会った人が自由に生きていて、それがかっこいいなと思ったんです。その時、「なんでそんな自由に生きられるのですか?」と聞いたら、「若いうちにとことん挑戦してきたし、苦労してきた。柳くん、苦労してる?」と訊かれたんです。その時に、自分は何も挑戦してないなと思い、そこから自分が選択する道というのは、全て険しい道を選ぼうっていう風に決めて、必然的にSカレを目指すゼミになりました。
——:ゼミでは、どんな勉強をしていましたか?
:マーケティングの勉強で、主に商品開発 です。なぜこの商品が売れたのか、この商品を売るためにはどうしたらいいのかを考えたりしていました。ゼミ指導教員の水野先生は、アクションマーケティングといって、実際に足を運んで実践してみて、そこからアイデアを出そうというのをすごく言われる先生だったので、大変でした。座学というよりは、実践で学ぼうっていうのが、ゼミの特色だったと思います。
——:Sカレに向けて、「実際に足を運んで実践」はどんなことをしたのですか?
:実際に、東日本大震災の被災したぐちゃぐちゃの家の中に入って、泥はきなどのボランティアをして学ぶということをしました。
——:座学はされなかったのですか。
:2回生ゼミの時に、コトラーやドラッカーといったマーケティングの本を読みました。

会社で新しく採用部を立ち上げ!

——:今の会社に就職された理由はなんですか?
:私が働いている会社は、人材会社の中でもリーマンショックの後に一番成長率が高い会社で、かなり伸びているというのが印象で、決めました。
——:会社ではどんな業務をされていますか?
:今、入社して4年目ですが、入社した時は営業をやっていて、現在は人事部に移り、新卒採用をやっています。新卒で配属されたのが名古屋だったのですが、その当時、名古屋に採用部はなくて、僕が採用をやりたいって話をして立ち上げたんです。名古屋では新卒採用を一人でやらせてもらいました。今は東京へ異動になっていて、東京の本社で新卒採用もやりながら、名古屋もやっています。
——:お仕事で大変だったことはありますか?
:名古屋の採用部を立ち上げた時、経験がない中で初めて自分で全て責任を持ってスタートするというのはすごく大変で苦労しましたが、すごく楽しくもありました。

社内の新規事業コンテストで賞を獲得!

——:社内の新規事業コンテストで賞を獲得されたそうですが、どんな事業を提案されたのですか?
:提案したのは、高卒向けの就職支援サービスです。 日本は少子高齢化で労働人口が減ってくるに当たって高卒の人たちの労働力を伸ばしていくのが大事だと考え、高卒で介護士になるというサービスを作って、提案したところ表彰されました。
——:学生時代にSカレに取り組んだ経験が会社でも生かされたんですね。
仕事で やりがいを感じることはありますか?
:以前、採用した新入社員のお母さんから手紙を貰ったときですね。その手紙には、採用したその人が、すごく前向きになり、いろんなことを学ぼうとするようになった、と書いてありました。

世の中のマイナス部分をゼロにしたい

——:将来のビジョンはありますか?
:世の中のマイナス部分をゼロにしたいというビジョンを掲げています。マイナスをゼロにするというのは、不幸な人が普通の生活を送れるようにするというような意味で、僕はこのサービスをどんどん作っていきたいと思っています。そのために将来は独立して会社を作りたいと思っていて、世の中の負の部分も見ていかなければいけないと思っています。
——:独立したら、どのようなことをしたいと考えておられますか?
:世界に目を向けた時に、日本人というだけで僕らは幸せだと感じるくらい、すごく貧困な生活を送っている人もいます。僕は人生をかけて貧困や不幸の問題を解決していって、死ぬ時に、自分がいて良かったと思われて死にたいというのが、1つの夢です。

就活では自分と対峙してほしい

——:今から就職する学生へのアドバイスをお願いします。
:仕事柄、新卒の人に、就職することが目的で就活するのであれば、やらない方がマシだという話をよくします。どうして働いているのですかと聞かれた時に、日本の七割の方が、生きるために仕方なく働いていますと言っています。でも、世の中には働きたいと思っている人もいて、この差は、僕は目標がある人とない人の差だと思っています。目標がある人というのは、今の自分とその目標とのギャップを埋めるために仕事をしようと思っていて、働くことは手段なんです。目標がある人は、多少のことでぶれません。就活生に一番伝えたいのは、目標を持つことと、自分と対峙することで、就活を良い時間にしてほしいということです。
——:阪南大学や経営情報学部に入学するか迷っている高校生に、一言お願いします。
:僕は、阪南大学高校から、阪南大学に入学しました。大学名を言い訳にして、何もしない、挑戦しないのではなく、どこの大学にいったとしても挑戦をしてほしいと思います。

取材を終えて

 大学に入学することがゴールではなく、大学に入学してから何に挑戦するか、明確なビジョンを立てておくことが重要であると感じました。険しい道であると感じることも、前を向いてとりあえず挑戦していこうと思えました。柳さん、今回は、ありがとうございました。
永山 晴香


 険しい道をということで水野ゼミに入られ、簡単ではないSカレで良い功績を残され、学生の頃から覚悟が決まっておられたのだなと思いました。また、将来のビジョンがしっかりされており、とても芯のあるかっこいい方だなと感じました。私はこの4月から社会人になりますが、まだ具体的な目標は無いので、柳さんを見習って目標を見つけたいと思います。貴重なお話しをありがとうございました。
山本あづさ
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