2018.2.8

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.8 中学校教諭の澤本千菜美さん(OG)

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.8 中学校教諭の澤本千菜美さん(OG)

文:中野 優香  撮影:山本 あづさ

 取材させて頂いた中野です。今回は経営情報学部の卒業生で、中学校の教諭をされている澤本(旧姓中井)千菜美さんに産休中自宅にお邪魔させて頂き、お話を聞かせて頂きました。

大学で高校の教員免許 働きながら中学校の教員免許も取得

——:教師を目指した理由を教えてください。
澤本:自分が色々な先生に出会って考え方や価値観が変わったからです。新しいことや新しい世界に出会い、先生という職業の影響力を知り、自分も出会った先生たちのようになりたい、私も先生になりたいと目指すようになりました。

——:いつから教師を目指したのですか?
澤本:高校生の時からです。なので大学では、教職課程を取りました。同時に一般企業にも興味があったので、大学卒業後は携帯電話の会社に就職したんです。中学校の教員免許は通信教育で、働きながら並行して勉強しました。

担当教員注:教員免許を取得するためには、大学の卒業のために必要な単位以外に、教育心理学・教科教育法・教育実習・生徒指導に関する科目等を履修する必要があります。日本国憲法や哲学など、一般教育科目の中から単位取得が必要なものもあります。教科に関する科目は、学部の専門科目の中から指定されたものの単位を取得する必要があります.
——:働きながら教職の単位を取得するのは大変ではありませんでしたか?
澤本:とても大変でした。大学で取得するのも大変だったのに、社会人1年目で仕事と並行して勉強というのは本当にしんどかったです。通信教育の取得期限は6年で、最短2年で免許を取得できるのですが、気付いたら期限まで残り2年半になっていました。そこで会社を退職し、1年半勉強に集中してやっと取得することができました。

——:今持っている教員免許の種類を教えてください。
澤本:大学では商業と情報の免許を取得しました。あとは佛教大学の通信教育で、高校地理歴史・高校公民・中学社会の免許を取得しました。

——:たくさん免許をお持ちなんですね!教員免許一つでも大変なのに驚きました。高校の教員免許もお持ちなのに、なぜ中学校の先生を目指したのですか?
澤本:教育実習は全て高校に行ったのですが、中学校教員免許取得後に1年間中学で講師をしました。その時に中学生の未熟な可愛さ、そして多感な時期ゆえの外部からの影響力の大きさ、その時期に関わりながら成長を見守りたいという思いが芽生えたからというのが大きいですね。

民間企業での勤務経験も「情報」の教員免許も評価された

——:教職浪人中はアルバイトとかはされていたんですか?
澤本:携帯会社で勤務していた経験と、情報の教員免許を持っていることから、和歌山県の教育委員会から委託されて、県内の学校を回り、生徒たちに情報モラルを教える講義をしていました。
——:民間企業で働いていたことや、情報の教員免許が役立ったんですね!

——:教員採用試験について教えてください。
澤本:一次試験は、一般教養・専門教養・面接です。そして二次に進むと、教職教養・模擬授業・面接があります。二次試験での模擬授業はテーマ発表が本番10分から15分前だったり、面接が20分ほどになったりと、とても大変です。私の場合は、一般企業で働いていた経験が評価されたようです。二次の面接では、民間企業での経験のことばかり聞かれました。回り道を辿っていたようでいて、結局は合格に繋がりました。

子供達のキラキラした目が私の原動力

——:教師としてのやりがいはなんですか?
澤本:まず子供達が可愛いことですね。一番やりがいを感じるのは子供達一人ひとりのやる気スイッチを見つけることです。普段の学校生活はもちろん、行事や本気で何かするきっかけを与えた時の子供達のキラキラした目が原動力になっています。

——:教師をしている中で最も嬉しかった事はなんですか?
澤本:いろんな学力の子がいる中で、それでもどの子も楽しそうに授業に参加してくれている時ですね。それと、その授業が身についていると感じたときです。普段生徒が何気なく受けている授業も仕掛けを考えたり、準備したりしないといけないので、教師という職業はすごく大変なんです。だからその分、そういう子供達の姿や反応はとても嬉しいです。

コンプレックスをばねに 大学時代が一番勉強した時期

——:先生ってとても大変なんですね…。
澤本さんはどんな入試で阪南大学に入学されたのですか?
澤本:私はセンター試験で入学したのですが、阪南にしか行けなかったというコンプレックスがずっとあって…。
——:実は私も行きたい大学があったんですけど落ちちゃって、一般入試で阪南に入学しました。
澤本:夏休みに他大学に入学した同級生と会って話をしていたら、自分は何をやっているのだろうと思って…。コンプレックスによって火がついて、1年間で簿記2級、漢検2級、初級シスアドを取得しました。

担当教員注:「初級シスアド」は「経済産業省情報処理技術者試験初級システムアドミニストレーター」の略。試験内容は、現在の「ITパスポート」と「基本情報技術者」にまたがる。
——:すごい!
澤本:だから私の学生生活の中で大学時代が一番勉強した時期なんです。4年間ほぼ学校にいたんじゃないかな?

ビジネスプランコンテストで受賞

——:ゼミではどんなことをしていたんですか?
澤本:私は北川先生のゼミだったのですが、ビジネスプランのコンテストにいくつも応募し、賞を受賞しました。

——:コンテスト受賞すごいですね!どんな内容で賞を受賞したのですか?
澤本:携帯電話の普及で手紙やはがきを利用する人が減少しているという話を聞き、切手をIC化して動画を入れ込んだりすることで利用者数も増えるのではというアイデアから、ビジネスプランコンテストに応募し、受賞しました。そしてそれをもとに卒論も制作しました。

——:受賞された賞というのはどんなものなんですか?
澤本:いろんなコンテストに片っ端から応募した中で、賞を頂けたのは2つなんです。1つが財団法人の学生ビジネスコンテストで、これは1位でした。もう一つは一般企業が学生向けに主催しているコンテストで、こちらでは努力賞を受賞しました。

気持ちを持ち直して、頑張った、やりきった経験が自信に

——:学生時代の経験や勉強で役立っていることは何ですか?
澤本:受験に失敗したけど、自分の気持ちを持ち直して、頑張った、やりきった経験が自信に繋がり、今も大変な教師という仕事を頑張ることができています。それに私は社会科の教師をしているので、大学の授業の内容も生きていることが多いですね。

——:これからの目標を教えてください。
澤本:自分が子供を産んでから、生徒たちの保護者の気持ちや望みがより一層分かるようになりました。なので、一人の親として、教師としてどんなことをこれからしていけるかが楽しみです。子育て、家庭、教師を並立し、教師として一層成長することが今の目標ですね。

——:教師を目指している人に何か一言お願いします。
澤本:教師はとても大変です。子供にとっては取り戻せない時間であり、親御さんから預かっている大切な生徒達なので、常に色々な責任が伴います。ですがその分やりがいも楽しさもとても大きいです。大学生活の中で経験したこと、勉強したことは役立っていることが多いので、大切なのはどういう風に大学生活を過ごすか、自分の時間を有意義に使えるかです。大変だと思いますが、ぜひ頑張ってください。

取材を終えて

今回澤本さんのお話を聞かせて頂いて、改めて努力する大事さを感じました。そして同時に様々な経験とたくさんの努力をして、夢を叶えた澤本さんをとてもかっこいいと思いました。大学時代の経験も今に生きているというお話も聞けて、私もあと残り少ない大学生活を精一杯生かして色々な経験をしたいと思いました。澤本さん、ありがとうございました。
中野優香


私は、高等学校の情報科の教職課程を受講しており、教職課程を受講していない学生に比べれば授業数も多く、辛いなと感じることもあるのですが、夢を叶えられた澤本さんのお話を聴いて、頑張ろうと思うことができました。また、大学時代に努力する重要さを理解することが出来たので、私も見習おうと思います。貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうごさいました。
山本あづさ


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ゼミ指導教員より

北川悦司(2018年6月追記)

澤本さんの印象は、とても負けず嫌いで、目標に向かって努力ができる学生でした。その努力によって日々成長していき、ビジネスプランコンテストで全国1位、就職活動で銀行や携帯大手など多数の内定取得といった結果を残し、共に喜んだのが今では懐かしいですね・・・。これから教育者として、より多くの生徒に成長するキッカケを与えて活躍されることを応援しています。