「データサイエンス実践」で学ぶAI 時代に求められるスキルと思考力

ビッグデータ解析や機械学習などの情報技術の発展がめざましい現代社会。
データを活用して社会課題を解決する人材が求められるなか、総合情報学部ではさまざまな文理融合型の授業が展開されています。

今回は、データ解析の基礎から応用までを学び、実際の課題解決にむけた検証までを実践する授業「AI・データサイエンス実践」に潜入。担当教員の松田教授に加えて学部長の三好学部長をゲストに迎え「社会課題をどのようにしてデータで紐解くか?」という点に焦点をあて、学生の自由な視点からディスカッションを行いました。

人によって物事の見え方は異なる。
仮説を立てる力を磨き、データから客観的な因果関係を導く

「恋愛」や「PMS(月経前症候群)」も研究のテーマに!?
過去の研究事例から視野を広げる

講義ではまず、データサイエンスを活用する方法について学びます。
「社会課題の解決にデータサイエンスをどう活かすか?」というテーマで三好学部長からレクチャーを受けた後、松田教授から「就職後の生活」や「恋愛」、「PMS(月経前症候群)」など、過去の学生レポートや研究事例が紹介されると、その意外性に教室は一気に活気に包まれます。


— 三好教授・松田教授はPMSの存在は知っているものの、研究対象として考えたことが無いとのこと。
 そこで女子学生がPMSについて教員2名にレクチャーする場面も!


データサイエンスって正直なところどういったイメージを持っている?と学生に尋ねたところ、、、

「プログラミング言語が難しいし、覚えることも多くて大変」
「研究と言っても何から初めていいのかよくわからなかった」

と、学生たちから素直な意見が。

そこで、松田教授からはデータサイエンスでは
「仮説を立てる力」を磨くこと
もっとも大切であると、述べられました。
身近な生活にも研究テーマに使える題材がたくさんあり、「まずは問題意識を持つことが必要」と話が続くと、学生たちは技術だけではないデータサイエンスの重要性や面白さを実感していました。

「遊び人」を定義するために必要なデータとは?

「恋愛」をテーマにした研究紹介では、データ検証方法について議論がヒートアップ。
いわゆる「遊び人」を定義するためにはどのようなデータが必要なのかを議論するなか、
女子学生A: 「やっぱり、複数人と交際しているかどうか、とか?」
男子学生B: 「こどもが好きかどうかということも、人が誠実であるかどうかの指標になるのかな?」
三好学部長: 「恋愛のように、人によって見方がかわる主観的な事象も、データを活用して客観的に因果関係を証明することで課題解決につなげることができるんです」

など調査方法や分析するための設計方法について、学生のさまざまな視点からユニークな意見が飛び交いました。

学生の選ぶレポートテーマに見る社会問題への関心と取り組み

講義の後半には学生たちが、興味関心とディスカッションで得たヒントをもとに研究テーマを選定しました。現代社会のさまざまな事柄をデータでまとめたサイト「生活定点1992-2022」(出典:博報堂生活総研)を用いて、興味のある関心を学生に聞いてみました。

前半では恋愛話等で盛り上がったので、てっきり興味のある分野も明るい話題を選ぶと思っていましたが、
学生からは

「日本の行方」
「日本の景気は今後どうなるのか」


といった社会問題につながるテーマが選定される傾向がありました。
その後のディスカッションでも、各学生が現代の風潮や流れを鑑み、これからの社会を鋭い視点で分析していました。

世間では若者が政治や経済に関心がないと言われることがありますが、実際には学生たちは自分たちの将来を真剣に考えています。自分の将来を考えると同時に、国内外の社会情勢を考えることにもつながっています。
このように、学生が選ぶレポートテーマからも、彼らが街づくり、住みやすい住環境、少子化、子育てなど、上の世代が考えているよりもしっかりと社会問題について考えていることが明らかになりました。

最後に松田教授からは「まずはやってみること」「課題に対してどういったデータや調査が必要なのか、社会のあらゆる情報に意識を高めること」などのアドバイスをもらい、学生たちは研究への意欲を高めていました。

総合情報学部長 三好教授のコメント

データを意味ある情報へ変換する力を身に付けてほしい

生成AI をはじめとした情報技術は日々アップデートされ、SNS などサイバー空間における生活者の行動がデータとして蓄積される現代社会では、データを活かせる人材があらゆる分野で求められています。
本学ではデータサイエンスを通して「データを活きる情報へと変換していく力」を磨く教育を行っています。
AI 技術の発展によってこれからますます情報処理のスピードは格段に上がっていきます。学生たちには、プログラミングやデータ解析といった技術を活かして社会課題を分析・立証するプロセスを学び、論理的な思考力を学生たちには身に付けてほしいと願っています。