ビジネス経済学パッケージでは、2年生から4年生までの「専門演習」での学習と研究の成果を共有する機会として、学生による研究の発表会を実施しています。本年度は1月22日と23日に開催し、2年生から4年生で合計43件の研究報告がありました。
 発表会は学年ごとに分かれて行いましたが、それぞれの発表の後、発表を聞いていた学生と教員の投票によって最優秀賞と優秀賞各1名ずつを決定して表彰いたしました。今年度の表彰者となったのは、以下の6名になります:
 
 4年生:最優秀賞 中川吏騰    優秀賞 深瀬航平
 3年生:最優秀賞 福永将也    優秀賞 金佑勳
 2年生:最優秀賞 野口万緒    優秀賞 黒田知希
 
 すべての研究内容をここでご紹介することはできませんので、4年生2人の報告を中心に簡単にご紹介したいと思います。
 まず、中川さんのテーマは、小さい頃の教育がその後でどれだけ活きるのか、ということでした。より具体的には、小学生の頃に塾に通ったことやその期間が名門大学への進学にどれくらい結びついているのかを様々な形で検証しております。統制すべき変数に不十分さは見られるものの、自分で研究テーマを選択して先行研究を学びデータを集めるところから始め、身近な問題を実感の持てる視点でよく検証できていたのではないかと思います。また、そうしたことが中川さんの研究報告を聞いていた学生たちへの共感を呼び、最優秀賞に結び付いたのではないかと思います。
 なお、ここでは選に漏れてはおりますが、同じ4年生の北山さんと戸田さんも教育に関する研究をしております。(2人とも研究室の活動としては教育に関してより広く他の問題も扱っていたのですが、)北山さんの報告した研究では、私的・公的な教育への支出が学力に結びついているのかの検証を行いました。また、戸田さんの研究では、「独裁者ゲーム」などを用いて追加的な教育が子供の精神面に与えた影響を検証しました。教育は経済学の現代的なテーマの一つでもあり、また、学生の関心の持ちやすいテーマでもあるので、研究室の活動を通しても活発に面白い議論をして来られたと感じております。
 他方、深瀬さんの研究は、人種差別に関するものでした。研究室で輪読した書籍では米国の街頭で実施された実験が紹介されていたのですが、深瀬さんはオンライン英会話教室における講師の評価などからデータを得、肌の色などがその評価に影響を与えているのかを検証しております。やはりより突っ込んだ議論を求めたくはなる部分はあるものの、限られた時間で独自にデータを集めるところから始めて興味深い研究ができたのではないかと思います。また、報告会では時間が限られていたので割愛されておりましたが、研究室での議論ではその歴史など広範な報告もされており、彼の何事にも真摯な姿勢が研究にも表れていると感じられました。
 なお、ここでご紹介した他にも興味深い研究が数多くあり、いずれ別の記事でご紹介できればと思っております。
 
 大学をもまた、今後も大学で勉強を続ける学生にも、また、卒業して就職先や大学院に進む学生にも、研究室での活動を通して培った自分が問題だと感じることの本当の問題は何なのかを掘り下げて考える能力や、どの考えが正しいのかをデータを集めて検証する能力、その結果を説明して考えの異なる人にも納得させる能力などを今後の人生にも活かしていって欲しいと思います。
 
 なお、表彰された研究報告を行った学生には、副賞として図書カードを贈呈いたしました。彼らの今後の研鑽に活かされることを願っております。また、この副賞の贈呈は阪南大学学会2017年度学部教育研究活動助成事業補助を受けて実施いたしました。ご支援を頂けたことに心より感謝いたします。