NHK大学セミナー 真田丸を開催しました

 平成28年11月28日(月)、NHKと阪南大学の共催で「NHK大学セミナー」が、50周年記念館で開催されました。講師は、人気絶頂の大河ドラマ「真田丸」制作統括の屋敷陽太郎さん。最終回まで残すところあと3回、ドラマ制作の舞台裏をお話いただきました。
 屋敷さんは現在放送中の「真田丸」のみならず、大河ドラマ「新選組!」「篤姫」や「クライマーズ・ハイ」「眠れる森の熟女」「64(ロクヨン)」など数多く話題のドラマを手がけてきた敏腕プロデューサー。たくさんの俳優や制作スタッフを率いて来た統率力は、講演会の場面でも発揮されます。自己紹介が終わるやいなや、さっそく屋敷さんは客席の通路を歩き回り、約200名の聴衆を相手に質問を浴びせたり、意見を求めたりして、双方向のコミュニケーションを展開します。凄いプロデューサーがやって来ると身構えていた観客は、屋敷さんの親しみやすさに引き込まれます。

 お話の内容は、多岐にわたり、「わずか数十秒のシーンのために早朝から何百人もの人が一糸乱れぬ組織力で働いている」「放送される5年も前から時代考証の専門家に取材し、綿密なリサーチをしてきた」「馬の調教や戦国時代の言葉使いにまつわる意外なトリビア」など、どれもが学生の興味を呼び起こすものばかりでした。
 合戦シーンでは映像を何度も止めて「ここはスタジオ収録、ここはロケ撮影、この部分はCG、カメラに映らないところにも多くのスタッフが働いている」など微に入り細に入り解説をしてくださいました。
 また、この講演は「放送文化論」(担当教員:大野茂)の授業も兼ねていたため、予め参加学生から質問を募ったところ、さすが高視聴率を誇る「真田丸」、予想以上の質問や意見が集まりました。それに対して、屋敷さんは実に懇切丁寧に答えてくださいました。とくに人気俳優のエピソードには会場からどよめきが起きる一幕も。
 参加学生からは「多くの人をまとめる極意を学んだ」「役者さんに関するミーハーな私の質問にも答えてくださり、とても嬉しかった」「堅いイメージのNHKの印象が変わった」「こんどからドラマを作る側の視点で見てみようと思う」などの意見が寄せられましたが、とりわけ反響が大きかったのは屋敷さんの「ディテールに神は宿る」という言葉でした。普通の人が気づかない、専門家でないと気づかないような細部に、真のプロフェッショナルとしての工夫がこらされており、それが作品への信頼感や重厚感につながるという話です。多くの学生の胸に刻まれた言葉でした。

 当日の運営はメディア・コンテンツ論を専攻する国際コミュニケーション学部の大野茂ゼミの学生が行い、司会も同ゼミ所属の2年生・北村綾香さんが担いました。学生が手作りでこうしたイベントを行なうことでよい経験にもなったと思います。