2014.12.10

国際コミュニケーション学部 都市文化史論第2回シンポジウムを開催しました。

  • 国際コミュニケーション学部 国際コミュニケーション学科

国際コミュニケーション学部 都市文化史論第2回シンポジウムを開催しました。

11月26日(水)、フロンティアホールで今年度第2回目の「都市文化史論シンポジウム2014」を開催しました。国際コミュニケーション学部では、「都市文化史論」の日本、アジア、ヨーロッパの3科目が同一曜日同一時限に配置されています。担当者は日本(京都)が神尾登喜子教授、アジア(西安)が陳力教授、ヨーロッパ(フィレンツェ)が松本典昭教授です。今回のテーマは「フィレンツェ・西安・京都 各都市で育まれた風景——建築・文化・インフラストラクチャー」。今回は学生の要望で、新たに建築の比較も導入し、白熱した議論が展開されました。普段とは異なる授業形態なので学生諸君も熱心に聞き入っていました。MCは神尾教授でした。

教員のコメント

神尾教授

 私の授業を受講しているある学生のコメントを拝見しながら、改めて思った。それは、授業を履修することの意味が、単位取得から知的興奮へと変化していることとに対しての責任である。そして、何よりも嬉しかったのは、「都市文化史論(フィレンツェ・西安・京都)」の2回のシンポジウムが、この授業の「付録」から、「素晴らしいシステム」だと学生から評価を得たことである。私たち大学教員がそれぞれに所属する専門学会でのシンポジウム。それとは全く異なったところで展開している本授業でのシンポジウム。どちらも私たち担当者にとっては、緊張感ある時間である。しかしながら、その緊張感と共に、学生諸君に、ホンの僅かでも満足感を提供できたのであれば、さらなる進化を求めて私たちは次年度に向かうのだろう。

陳教授

 都市は人類が作ったもっとも魅力のある作品の一つである。都市に対する興味は映画・書籍・旅などの様々のきっかけで発生する。都市をより深く知るためには、地球レベルの視野が必要かもしれません。比較のなかで、他文化に対する認識と尊重及び自文化に対する誇りをさらに実感できると思う。

松本教授

 今回は建築や時間の話ができたので楽しかった(脱線もしたが)。神尾先生は京都について何でも知っているし、陳先生は西安について何でも知っている。専門家というのはすごいと改めて感じた。私もフィレンツェについては専門家の端くれのつもりではあるが、答えに窮する鋭い質問が飛んでくると、ひやりとするし、それ以上にうれしくもある(勉強する課題が見つかる)。丁々発止が心地よいのだ。学生の感想を読むと、教員が楽しんでいることは感じてくれたようである。次は食べ物や衣服の話も加えてほしいという要望もあった。そうやって教員を苦しめるのは、とてもいいことなのですよ、学生諸君。

受講学生の感想

角明日香(国際コミュニケーション学部3回生)

 本日のシンポジウムは新たに建物というトピックが増え、楽しんで聞くことができた。フィレンツェとアジアの都会の進歩の違い、そこからヨーロッパが生み出している時計は現在につながっているのではないかと感じた。西安と京都は同じアジア圏であり、水時計を使っていたり、仕事は夜明けからであるなど似ているところもありがなら、水回りにこだわりがあったりなかったりと、文化は遥か昔にうまれたものであるが、昔は異文化というが、現代に自文化の一部になるなど、様々なつながりで現在の文化が形成されたと感じました。

小松朋裕(経済学部2回生)

 異時同図という一つの絵の中に異なる時間が描かれているものは、とても興味深かった。

濱口玲菜(国際コミュニケーション学部3回生)

 建築・文化・インフラストラクチャーから、それぞれの都市の特徴や歴史について学べました。去年に引き続き、今年も「へえー、そんなんや」っていう発見がたくさんあり、都市に関して興味深いお話がたくさん聞けました。
 時間と人との関係も現代と古代は違っていたり、建物の色合いが重要であったり、『源氏物語』からも考えられる外国との関係性など、シンポジウムだからこその内容であったと感じられました。

大野加夏女(国際コミュニケーション学部3回生)

 三都市は昔、一日の食事が二食だったことに驚きました。今では三食が当たり前だからです。また、三都市に共通して出てきた「異時同図」という描き方もすごくおもしろいと思いました。オペラと歌舞伎がほぼ同じ時代に生まれたと聞き、場所が離れているのに、すごいなと思いました。日本の天皇とフィレンツェの君主の話もおもしろかったです。確かに日本の天皇は無防備だなと感じます。もっと厳重にしているイメージでしたが、逆にフィレンツェのほうが暗殺を恐れて慎重だったとは。意外なことばかりで、文化の違いって、本当におもしろいなと思います。

中尾舞香(国際コミュニケーション学部3回生)

 全体を通していちばん印象に残ったのは、イタリア、中国、日本の三国で、「時間」に対する考え方についてです。「時間」を所有し、支配していたのは、どの国でも権力者たちでした。朝や勤務時間のとらえかたは、さまざまでした。また、中国の絵のなかの時間の区切り方が「ついたて」という点も驚きました。もうひとつ、安全性についても驚いた点があります。今では、世界中の人がよく知る日本は安全な国という認識。それが、まさか昔からそうだったとは思いませんでした。ヨーロッパや中国は暗殺を考慮して外出をあまりしなかったということです。今回のシンポジウムを終え、また新たに各国の歴史や文化について知ることができました。

岡本麻里花(国際コミュニケーション学部3回生)

 普段の授業ではフィレンツェのことしか知ることができないので、今回のシンポジウムで日本や中国と比較することができ、とても理解が深まりました。今までの授業では、メディチ家の邸宅はとても大きくて威張っているようなイメージだったのですが、京都や西安と比べると規模が小さかったと知り、フィレンツェが「市民」の街だと言われていた理由が分かったような気がしました。また政治家のトップが独裁政治を行わないように、2カ月任期の交替制だったと聞いて、その任期の短さに驚くとともに、任期中にはヴェッキオ宮でどんな生活をしていたのだろうかと気になりました。
 最後のインフラストラクチャーのところでは、フィレンツェの空中回廊、西安のラダーシステム、京都の水力発電による電気供給と市電開通、とどれをとっても昔の人の発想のすごさに驚かされるものばかりでした。

小原麻衣(国際コミュニケーション学部3回生)

 フィレンツェ・西安・京都の三都市の話を聞いている中で、世界を結ぶ技術や、今と昔を結ぶ発想を垣間見たように思います。特に「異時同図」という初めて聞くテクニカルタームに惹きつけられました。これは、2次元空間において、異なる時間が同時に描かれるという手法です。これが、ヨーロッパ・中国・日本とそれぞれ文化形成も、思考方法も違う文化圏であるにもかかわらず、現存していることの意味を考える時間になりました。おそらくそれは、各地域の発想なのではなく、「人」が発想する苦肉の策からの定着なのではないか、そのように考えると感動すら覚える瞬間でした。

新林千晶(国際コミュニケーション学部3回生)

 「同じ時代・同じ時期・違う国」・「違う時代・違う時期・違う国」。どのような組み合わせであっても、それを共通の時間と空間において学べる方法。それがこの「都市文化史論」でのシンポジウムなのだと思う。それによって、それぞれの国が構築してきた歴史や文化に対しての見方が変わる大きなきっかけを与えてくれる時間である。そもそも、興味もなかった受講学生に興味を持たせ、さらに、自発的に調べてみたいと思わせる内容の提供。是非とも、私が卒業しても継続して下さることを願っています。