「特殊講義D」要人・インタビュー講座

 国際コミュニケーション学部には、「特殊講義」科目としてA〜Hまで8科目が置かれています。その一つに「要人・インタビュー講座」というのがあります。2013年度は、一昨年映画で話題になり、昨年9月に大阪フェスティバルホールで上演された『レ・ミゼラブル』に営業の立場から関わった梅田芸術劇場総支配人吉田昌之氏へのインタビューを実施いたしました。
 以下に掲げる内容がその記事です。それでは皆様。
 本科目受講学生の南正恵君が、人生初めてのインタビュアーとして緊張の中で実施してきたインタビューをご一読ください。
(科目担当者:神尾登喜子)

梅田芸術劇場吉田総支配人インタビュー

King of Musical 『レ・ミゼラブル』に魅せられた総支配人

 2013年11月09日、私、南正恵は梅田芸術劇場の入り口に佇んでいた。13時。この時刻が劇場の総支配人である吉田昌之氏へのインタビュー開始時間でもあった。緊張と不安。それが約束の時間に向かって私の胸に去来した感情だった。
 その中で始まった人生初めてのインタビュー。
 それでは、南正恵の「インタビュー劇場」の開演でございます。
 どうぞ、お楽しみください。

Q:大変初歩的なことですが、劇場における「総支配人」というお役職とはどんなことをされるお立場なのでしょうか?

 今のご質問は、「総支配人とはジャネラルマネージャーということですか?」ということであるならば、まずは、劇場の組織図を説明することに致しましょう。
いわゆる劇場の中には「裏」と「表」があります。「裏」とは舞台関係のことです。「表」とはお客様をお迎えする正面玄関や各階(1階2階3階)客席となります。本来、総支配人とは「裏」の部分も含めてコントロールするのが業務となります。
 梅田芸術劇場の場合は、「表」の部分つまりフロント部分を取り仕切るということが現在、私に与えられている仕事です。私の下には、「支配人」という役職として、社員で2名おります。2名というのは、劇場が二つあるからに他なりません。さらに、契約社員で1名フロント専任の方が支配人でおります。
 加えまして、それぞれの支配人の下には観劇のお客様の劇場案内担当や、チケットの販売担当としてお迎えする者もおります。それらの業務は外部の「スタービング」「チケットぴあ」という会社に委託しております。お客様と直接接する仕事は、弊社の社員であったり、または委託先社員アルバイトであったりという方々がしてくださっております。いうなれば、「表」部分のまとめ役ですね。

Q:具体的には、日ごろどのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?

 私は、名刺の肩書きにもありますように、「総支配人」と「営業部長」という2つを兼務しております。2つの比率で言えば、「営業部長」がほぼ8割です。休館日もありますが、劇場は365日ほぼ毎日動いております。上演期間中に何か事が生じた場合には、最終的には全ての責任を取ることが私の業務ですね。
 学生の理解としては、劇場は観劇したい人がチケットを買って観るものだから営業などという仕事はいらない、と思っているかもしれませんが、実際のところ劇場運営にあたっての営業力とは大変重要な仕事になります。
 たとえば、梅田芸術劇場のメインホールは1905席あります。その地下の劇場であるシアター・ドラマシティ—は900席弱。この全席を余すところなく埋める総責任者が私の職務です。ただ、かならずしも全公演が一般の個人のお客様で埋め尽くせるか、というとそうはなりません。公演によっては団体で観劇して頂くことも必要になります。
 その準備は、公演初日の幕が上がる半年くらい前から計画をたて、団体観劇の営業を実施するわけです。学生さんの芸術鑑賞等であれば、予算に合わせ割引をし、2階3階といったA席B席で団体観劇して頂くことになります。
 そのような、劇場における営業のまとめをするのが「営業部長」です。
<インタビュアー南のつぶやき>
 私たちは普段、「表」の部分である劇場の入り口から誘われ観客席と舞台しか見ません。しかしながら、吉田総支配人のお話をとおして、劇場の運営とは見えない部分での業務の方が多いようにも感じました。
 単なる一観客の立場では気づくこともない劇場運営の本質的なところは、普段では絶対にお聞きすることは出来ない「裏」の部分。それを知ることが出来ただけでも大きな収穫でした。
 何よりも、劇場そのものが営業空間であるということの厳しい現実を実感いたしました。チケットの完売を目指すとは、同時に舞台に立つ役者が気持ちよく演ずることが出来る空間を造形することでもあるのだと考えます。
 そのためには、満杯の劇場を作り出すことが営業部長としての任務なのでありましょうし、恒常的に吉田総支配人が求め続けている環境なのだと思います。

Q:では本日のメインテーマである『レ・ミゼラブル』についてご質問致します。吉田総支配人からご覧になられた時、劇場経営のお立場からミュージカル『レ・ミゼラブル』の魅力とはどのようなところにあるとお考えでしょうか?

 芸術劇場に入社して初めて、自分が勤務する劇場のミュージカル作品を観て感動したのがこの『レ・ミゼラブル』でした。したがいまして、私自身がミュージカル『レ・ミゼラブル』のファンの一人として仕事しております。
 2010年に日本公演初演から25周年。ですから2013年で28周年を迎えたことになります。私が初めて『レ・ミゼラブル』を観劇したのが、今から30年近く前の日本公演の初演でした。
 『レ・ミゼラブル』の初演が上演されるまでにも、現在の梅田芸術劇場がまだ梅田コマ劇場と呼ばれていた頃から『王様と私』や『屋根の上のヴァイオリン弾き』『マイ・フェア・レディ』など多くのいわゆる大型ミュージカルを上演しておりました。
 しかし、私は当時ミュージカル作品に全くと言っていいほど興味がありませんでした。ところがある時たまたま『レ・ミゼラブル』上演期間中に空席があり、私自身の時間も空いておりましたので、観劇することになりました。
 重厚なティンパニーが打ち鳴らされるところから舞台が始まって約15分。我を忘れるくらいに自分が舞台に魅入っていることに気づきました。舞台上で繰り広げられる『レ・ミゼラブル』の世界に入り込んでしまいました。今から思えば、神様から私に贈られたプレゼントだったのかもしれません。
 この15分とは初演の演出では、プロローグから第1幕冒頭あたりまでです。たったそれだけの時間で観るものを魅了する作品というのはあまりないですよね。ですから、現在でも総支配人としてミュージカル『レ・ミゼラブル』に携わるよりも、作品の良さを最大限に販売する営業部長の立場で携わることが多いですね。のみならず、この作品に出会えたことにより、ミュージカルを見ることが多くなりました。

Q:どんなところに感動または魅力を感じられましたか?

 ビクトル・ユゴーの原作の翻訳としていえば分厚い文庫本で5分冊。そのミュージカル化ですので、当初はインターミッションも含めて4時間近い作品でした。そのプロローグからエピローグまでのストーリー構成は、比類なきものです。
 何よりも、劇中に流れる音楽はどのナンバーも心を擽られます。しかもこの『レ・ミゼラブル』は、最初から最後まで歌だけで通していきます。台本を覚える、というよりもスコア—リーディングから始まってどの場面も歌での掛け合いという作品ですので、出演者も歌唱力が求められますよね。
 私が初めてこの公演を観劇した初演当時の出演者の演技の素晴らしさには、「感動」という言葉以外には見当たりません。ミュージカルとは、音楽だけが素晴らしくても、ストーリーがとりとめないような内容では、観客は劇場に足を運んでくださいませんし、何よりも、経営上20年30年という長期間にわたって上演はできません。
 その意味では、ストーリー構成と音楽とが最高のバランスをもった作品です。しかもストーリーも完全な空想ではない。実際に、1810年代から1830年代のフランスであった出来事に基づいている話です。この作品は「キング オブ ミュージカル」と言われるほどのミュージカルですから、「どの角度から見ても素晴らしい」の一言に集約されると営業部長として自信をもって言えますね。
<インタビュアー南のつぶやき>
 質問にお答えくださった吉田総支配人は、私の目から拝見しても、『レ・ミゼラブル』という作品とその舞台を絶対的に愛する熱狂的なファンなのだろうと思えました。
 私自身が、『レ・ミゼラブル』という作品の素晴らしさを2013年9月までほとんど知りませんでした。しかしながら、一度この舞台を観てしまうと、今までこの作品を知らなかったことへの後悔しかありません。
 吉田総支配人の仰る通り、初観劇であった私もミュージカル『レ・ミゼラブル』のストーリー構成と劇中に流れる歌、音楽に非常に感動いたしました。私の一押しナンバーは、仕事を辞めさせられたファンティーヌが歌う『夢やぶれて』。思わず涙がこぼれる一曲です。

Q:吉田総支配人がご覧になった初演の『レ・ミゼラブル』と2013年度の新演出との大きな違いを教えて頂けますでしょうか?

 先ずは、2013年の公演のキャッチコピーが「新演出版」と呼ばれています。プロローグの演出がいわゆるオリジナル版とは異なっています。そこには、映画版『レ・ミゼラブル』での演出方法の影響が出ているかと思います。
 その他には、舞台の上に設置されているセットや大道具などの見せ方がオリジナル版と新演出版とでは違いますね。衣装も、オリジナル版と基本同じ衣装を着けていますが、新演出版の方では、若干一部の衣装が鮮やかになっています。

Q:2012年末に日本で公開された映画版とミュージカル版との違いとはどのようなところにありますでしょうか?

 大きな違いで言いますと、出演者、演者の歌唱力の違いですね。もちろん映画に出演される俳優たちは、事前にキャスティングされた役について勉強され、『レ・ミゼラブル』のナンバーの一つである「オン・マイ・オウン」などの歌を歌います。
 舞台のキャスティングは、全国から歌唱力に自信がある方が集まって、自分が志望する役を演じるためにオーディションを受けます。そのことからいえば、一番大きな違いは俳優のキャスティング方法でしょうか。俳優ありきのキャスティングではなく、オーディションを受ける俳優の実力と役のキャラクターも上手く噛み合わなければ、ミスキャストとなります。名だたるミュージカル俳優たちが全キャストについてオーディションを受ける作品など『レ・ミゼラブル』以外にはほとんどないですよね。
 ただ映画版冒頭の船のシーンには度肝を抜かれましたね。CG加工をしているとはいえ、囚人達が波をかぶりながら労役に従事する画面は、ジャン・バルジャンがいかに過酷な労役をしているかがストレートに伝わってきます。バルジャンが何度も脱獄したくなるのも無理はありません。舞台でも、バックスクリーンにCGを写しだして臨場感を演出しています。また、映画の場合カメラワークがありますから、鳥瞰図的な画面構成も出来ます。それに対して舞台は基本的に正面から観劇するもの。むしろ、舞台の上でおこる基本的なストーリーに向かって、肉付けまたは後付けしていきます。それによってお客様に舞台を「魅せ」るもの。視角性の観点から言えば、初めて『レ・ミゼラブル』をご覧になる方は、おそらく映画を先にご覧になられたうえでミュージカルを観劇された方が、この作品世界を深く重厚に理解できるのではないでしょうか。
 『王様と私』や『屋根の上のヴァイオリン弾き』、『My Fair Lady』など映画とミュージカルとの両方のメディアで制作されているものも過去にはたくさんありました。10年程前に『レ・ミゼラブル』も映画化の話があったとお聞きしておりますが、キャメロン・マッキントッシュ氏の了承が得られずに実現しなかったと言われています。それが漸く2012年に実現したというわけです。
舞台であれ映画であれ、良い作品というのはやはり良いですよ。
<インタビュアー南のつぶやき>
 私自身は、映画から舞台というルートでこの『レ・ミゼラブル』に出会いました。実際のところ、舞台上の俳優たちの息遣いや、場面の臨場感という点で舞台は映画に勝ります。 
 ライブや生の舞台というのは、ミュージカルに限らずどのようなものであっても、躍動感を体感することになります。それは、俳優たちと同じ劇場空間で、同じ空気を吸っていることが理由なのかもしれません。
 映画は何度観ても変わることはありません。ただし、変わらない点にこそ映画の良さはあると言えます。しかし、舞台は決して同じ演目であっても繰り返されることはありません。「舞台は生もの」。それを肌で感じることが出来る点において、演劇の演劇たるゆえんがあるのかもしれません。

Q:吉田総支配人がお考えになられるミュージカル『レ・ミゼラブル』の永遠性とはなんですか?

 そのご質問は、ビジネスではなくミュージカル『レ・ミゼラブル』の一人のファンとしてお答えします。
 『レ・ミゼラブル』は日本公演初演から25年、30年と続いてきたミュージカルです。私の意見としましては、長年世界中から愛され続いてきたミュージカルですので、時代が大きく変わらないかぎりは永遠に続くと思います。
 『レ・ミゼラブル』を日本で公演する場合、大阪公演では前回の公演と今回の公演との期間を7年間空けました。ビジネス的に言いますと、期間は空いた方がむしろ良いです。なぜならば、『レ・ミゼラブル』を大阪で「9月には『レ・ミゼラブル』を1か月上演します」ということを毎年繰り返すと、やはりお客様の足も遠のいてしまいます。
 私の意見としましては、7年でなくても例えば3年の間隔で上演するとしましょう。そうすると、この作品は必ず「もう一度、見たい」「私も20回30回も観た」という観客ももう一度見たくなる作品です。
 営利目的の企業または劇場では、出演者を変更することでどれだけのお客様を劇場に動員することができるのかを考えています。そういう意味で申し上げれば、そのような手法を繰り返していくことで、「永遠」とまではいかないかもしれませんが、続くでしょうね。
 何よりも、『レ・ミゼラブル』は公演が決定するとオーディションによってキャスティングがなされます。それは、新たなジャン・バルジャンであったり、マリウスであったりと新進気鋭のミュージカル俳優たちの発掘にもなっています。
 イギリスでは、未来のミュージカル俳優たちを育成することが『レ・ミゼラブル』を通して行われています。ミュージカル俳優の育成と発掘。そしてキャスティングもいつまでもマリウスではなく、やがて未来にはバルジャンやジャベール警部へと俳優の年齢と共に役の年齢も上がっていくということがあるのではないでしょうか。ですから、ガブローシュ役の子役が、マリウスにということも現実にはあります。
 加えて申し上げますと、舞台に出演されている俳優さんたちの演技や歌唱力なども舞台の魅力の一つですね。『レ・ミゼラブル』では、1つの役に1人しかいないのではなく、1つの役に対して数名の人が演じ、毎回の公演ごとに演者が代わります。いわゆる、ダブル、トリプルキャストですね。
 今回の新演出版の舞台でジャン・バルジャン役を演じている、キム・ジュンヒョンさんをはじめとして他の俳優たちの歌声も素晴らしいです。私個人の意見としましては、山口祐一郎さんは過去のジャン・バルジャン役の中では、ピカイチですね。

Q:吉田総支配人がお考えになられるミュージカル『レ・ミゼラブル』に流れる続ける不変の感動とはなんですか?

 『レ・ミゼラブル』は、冒頭から最後のエンディングまで、誤魔化しのない「愛」が作品の中に詰め込まれています。この作品を一言で表すと、「愛のオンパレード」という言葉に集約されます。
 パリの学生が革命で命を懸けて戦うシーンでも、いわゆる国民に対しての愛、仲間同士の友情愛。また、ジャン・バルジャンには、血の繋がりのないコゼットを実の娘以上に愛情を注いで育てあげ、命懸けで守るという親子愛があります。
 すると、対局的なのがテナルディエ夫婦や、その娘エポニーヌです。エポニーヌもマリウスという青年に片思いをし、最後は命を懸けて「愛」に生きます。要するに最初から最後まで徹頭徹尾この作品の根底に流れているのは「愛」なのだということになります。
 私たちは、日常的に平穏な中におりますし、激動の時代に生きてはおりませんので、極限状態の中に自ずと生まれてくるさまざまな「愛」には感じ入るところがあります。それだけも観客を感動させる要素が浮かび上がってきます。
 この作品の素晴らしさとはそのようなところにありましょうし、だからこそ「不変の感動」と「観るたびに新たな感動」が生まれるのだと確信しています。
<インタビュアー南のつぶやき>
 私は先述したように2013年9月に『レ・ミゼラブル』を初観劇しました。最初はなぜこんなにも自分が感動しているのかがわかりませんでした。しかし、吉田総支配人から返ってきたお話を聴聞し、自分自身の「何故?」に対する答えが判明しました。
 この舞台には「いろんな愛が詰まっている」。私は、これほど「愛」に溢れたミュージカル作品に出会うことは、将来的にもそうあるものではないのだろう、そう思っています。

Q:吉田総支配人様から観た、一番魅力的なお役はなんでしょうか?

 それは、私の年齢からみてもやはりジャン・バルジャンです。『レ・ミゼラブル』の初演を私は33歳で初めて観ました。その時は年齢も近いということもあってマリウスが魅力的な役でした。
 当時33歳の私と若い学生のマリウスとの人生観が似ていたということもありますし、マリウスの友への思いと歌に感動しましたね。「もし、『レ・ミゼラブル』を自分が演じるのだとしたらマリウスの役かな。」と当時はそう考えていました。
 しかし、現在の年齢になると、ジャン・バルジャンしか考えられません。やはり、年齢によって人生観も異なってきます。実生活においても父親ですので、ジャン・バルジャンとの「無償の愛」という人生観には共感します。

Q:吉田総支配人の一押しのミュージカルはなんでしょうか?

 何と言っても一押しは、当然のことながら『レ・ミゼラブル』です。しかし、他にも、素晴らしいミュージカル作品が日本では多々上演されます。このような話をすると、劇場の宣伝になってしまいますが、今までで観た一押しのミュージカルを幾つか紹介しましょう。
 一つ目は2013年10月に大阪で上演された『ロミオとジュリエット』です。そしてこの作品でロミオ役を演じた俳優城田優は、2014年10月に『ファントム』に出演します。城田優さんは、ミュージカルに絶対的に必要な歌唱力と演技力の実力をつけて成長著しい若手舞台俳優です。演じることが難しいと言われる「ファントム」という役に挑戦するということで、どのような舞台になるのか期待が高まります。
 もともと『ファントム』は、宝塚歌劇で上演されていた作品です。それを6年前と4年前と計2回、梅田芸術劇場で俳優の大沢たかお主演で上演させて頂いたのですが、2回の公演とも超大入り満員でした。
 次にご紹介するのは、『ミス・サイゴン』という作品です。この作品は『レ・ミゼラブル』のプロデューサーでもある、キャメロン・マッキントッシュがプロデュースしているミュージカルでもあります。
 この作品は、ベトナム人の女性キムと若いアメリカ兵の青年とが戦時中のベトナムの街で恋に落ちるというラブストーリーです。劇中命懸けのシーンがいくつもあり、こちらも『レ・ミゼラブル』と同じく「愛」がたくさん詰まったミュージカルです。
 もう一作品は、オーストリア・ミュージカルの『エリザベート』です。バイエルン王国に生まれオーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に嫁いだエリザベートが無政府主義者のルイジ・ルキーニに刺殺されるまでの生涯を物語るミュージカルです。
 この作品は『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』とはまた違ったミュージカルになっています。
 特に、劇中に登場する男性が演ずる死の神・トート役が、宝塚歌劇で上演された際には主役として登場していました。宝塚歌劇は男役がメインで公演が行われていますので、脇役が劇団のシステムから主役にとアレンジされました。本来の『エリザベート』とはまた違った作品に仕上がっています。
 梅田芸術劇場で東宝ミュージカル『エリザベート』を上演した際には、題名通りエリザベートが主役となりました。このように『エリザベート』には2つのパターンがありますが、どちらにしても『エリザベート』という作品自体が、出演者の演技や歌唱力を堪能できますし、何よりも演出が素晴らしい作品です。
<インタビュアー南のつぶやき>
 私は、まだミュージカルの常連観客ではありません。しかしながら、『レ・ミゼラブル』という作品に出会い、さらにミュージカルそのものに魅了されてしまいました。
 今回、吉田総支配人に教えて頂いた一押しのミュージカル、『ファントム』『ミス・サイゴン』『エリザベート』。作品名は知っておりますが、どのようなストーリーでどのようなナンバーがあるのかは知りません。しかし、吉田総支配人のお話を聞くにつれ、「観たい!」という気持ちが強くなりました。
気がつけば、すっかりミュージカルの虜になっていました。もっとミュージカルを観たいというのが、今回のインタビューを通して到達した境地です。
 インタビューの最後に吉田総支配人からも、「もっと、いろんなミュージカルや舞台を観た方が良い。」とのお言葉をいただきました。この先、梅田芸術劇場で素晴らしい舞台が上演される度に、私は劇場に足を運びたいと思います。
付記:今回のインタビューに向かって、2013年9月大阪フェスティバルホールで上演された『レ・ミゼラブル』におきまして、S席チケットをご用意下さいました本科目担当者の神尾先生に、心より感謝申し上げます。
いつ来るかはわかりませんが、次回のミュージカル観劇の際には、自分でチケットを購入して観る所存です。