2021.3.6

去りにし日々に喝采を ー国際コミュニケーション学部『卒業研究要約集』完成報告ー

卒業研究発表会から卒業研究要約集への転換

 2020年度国際コミュニケーション学部卒業生諸君とその保護者、ご家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。
 この1年間、全世界が新型コロナウイルスに振り回されることになりました。その状況にあってなお、本学部の最終学年の学生諸君は、学部必修科目である「卒業研究」に果敢に取り組んでまいりました。
 指導する私たち教員の立場からみても、その姿には頭が下がります。如何なる事態になっても、決して自らの置かれた環境を言い訳にしない学生たちの堅固な意思は、頼もしくさえ映りました。
 一方で、学部は前期中に、例年1月下旬に開催してきた「卒業研究発表会」中止と、その代替措置としての「卒業研究要約集」発行の決定を行いました。この度、それが完成しましたのでご報告申し上げます。

多岐にわたる「卒業研究」の成果

 時代のkeywordは「多様性(Diversity)」。本学部における「卒業研究」もまた、多岐にわたる多様な形式であり内容です。写真集、短編映画、ルポルタージュ、インタビュー、論文等、多くの彩りを浮かびあがらせてきます。
 そこには、現代社会に対して学生個々の瞳に映る風景が切り取られているともいえます。あるいは、誰もが知る世界的な文学の現代的再評価として瞠目すべき鋭角的な分析もあります。
 いずれにせよ、手垢にまみれていない新鮮な眼差しによって、「今」を見つめる瑞々しい感覚と、若さに裏打ちされた正義感を基盤とする造形があります。そこに関わる私たち指導教員にとりましては、刺激的でもあります。
 2年次前期半ばに決定したゼミナールでの2年8か月間の時を経て、試行錯誤と草行露宿を繰り返しながらもやがて到達した結論を言葉や映像に集約し、完成させた卒業研究。
 そこで表現したテーマは、1年後、3年後、5年後、10年後にどのように発展し結実するのか。その意味でも卒業生諸君にとってこれは、一つの到達点でありなおかつ通過点なのだろうと思います。

「卒業研究」から「要約集」へ

 さて、多種多様なテーマを、言葉で表現しようが映像として撮影しようが、どうあれ2020年度は、400字でまとめる、という最終課題が学生諸君には課せられました。400字が多いか少ないかは一先ず措くことにします。
 それを拝見していると、当然のことながら期待を裏切らない学生たちの集約力を実感します。「簡潔に!」とは社会に出た際にはしばしば言われますが、それを具現化した学生たちの底力には、「アッパレ!」です。
 若き筆致は、指導する教員のみならず、後輩たちに向かっての大いなるメッセージです。別の表現をするならば、国際コミュニケーション学部の新たな学術的蓄積がここに始まりました。
 テーマは、個々人もしくはグループのものかもわかりません。が、要約された内容は、本学部にとって、そして在籍する学生たちにとって、確かに次のステップへのメルクマールとなるものであります。

過ぎ去りし時の学びと未来への確かな証しを

 「卒業研究」提出から3カ月。今ここに完成した『阪南大学国際コミュニケーション学部 2020年度卒業研究要約集』。本冊子には、学生諸君の過ぎ去りし時の学びが、色鮮やかなモザイク画のようにちりばめられています。
 「ここ」で積み重ねた時に込められているのは、未来に向かって開かれた「学び方」そのものです。「時」は断じて逆行することはありません。だからこそ、学生時代は侵しがたい神聖な時間でもあるのでしょう。
 卒業生諸君とその保護者、ご家族にお届けできるのは、このキャンパスで出会えた奇跡に感謝を込めて「ありがとう」のただ一語のみです。重ねた全ての時という「花束」を添えて。

 最後に。
 未だ見ぬ未来への船出を祝し、去りにし日々に喝采を…。

学部FD委員会委員長 杉 村 醇 子
卒業研究要約集編集委員長 小 寺 正 洋
  • 『阪南大学国際コミュニケーション学部 2020年度卒業研究要約集』卒業生配布分200冊は、2020年度阪南大学学会学部・大学院教育研究活動助成事業補助費20万円により制作されています。
  • 本要約集作成にあたっては、阪南大学学会田上博司会長、学会運営委員会Martin P. Parsons委員長、各ゼミナール指導教員、教務課浅井輝課長、学部担当角井康寛課長補佐・河野千春氏、本学部卒業生である株式会社今川印刷取締役武田阿希子氏からの全面的な協力を得ました。改めて御礼申し上げます。