2018.12.14

都市文化論シンポジウム2018を開催しました

「テーマ:都市の風景が変わるとき」

 2018年12月5日(水)、本年度第2回目の都市文化論シンポジウムを開催しました。今回のシンポジウムのテーマは「都市の風景が変わるとき」。西安・フィレンツェ・京都の三都市をめぐって、権力と都市空間の関係性をさまざまな角度から比較検討しました。

担当教員コメント

陳 力教授

 今回のシンポジウムで三人の教員は学生と一緒に都市文化変化のメカニズムを考えた。東洋の前近代都市は政治や礼制の変化による都市の変貌が多いが、ヨーロッパの前近代都市も類似の一面があり、受講生たちに文化の差異だけではなく、人類の共同の発想は都市でどのように形になるかを考えてもらえたとおもいます。やはり、多様な視覚で同じ問題を解析することは、より学生の知的好奇心を喚起できるとおもいます。

松本 典昭教授

 都市は静止したものではなく時間とともに変化する動的なものととらえて3都市を比較しました。毎回、教員のほうもどんな質問がとびだすのか、びくびくしながら楽しんでいますが、学生のみなさんにも楽しんでいただけた様子です。疑問をもつことの重要さや知ることの楽しさを認識させられた、といった感想が寄せられました。景観の保存と刷新の問題はどの都市にも共通する課題です。世界の諸都市を見渡して住みやすい都市環境を考えてみましょう。市町村レベルのことならば、学生のみなさんも能動的な参加者になれるはずです。

神尾 登喜子教授

 2010年度から始まったフィレンツェ・西安・京都を中心とした3都市の比較シンポジウムですが、毎年2回目のテーマは少し、具体的な内容に入っていきます。一昨年度も、今年度と同じ内容で実施しましたが、同じ内容であっても、新たな発見が生まれます。時間軸を主たる観点にして、3都市を俯瞰してみると、前回とは異なった視点での質問や疑問が生まれてきます。その意味でも刺激的な2018年度の都市文化論シンポジウムでした。2019年度の第2回目は、日本の天皇の御代替わりに合わせて「君主・皇帝・天皇」がテーマになります。さて、どうなりますことやら。刺激的なシンポジウムになることは間違いないところですが。

学生の感想

吉野 迅義(国際コミュニケーション学部)

 どの都市も権力者による一定の影響が及んでいることが伺えた。権力者の威厳を保つものだけではなく、都市の防衛面などにおいても、彼らの考え方が大きく反映されるものだった。このことから、これらのような都市は当時の権力者の個性そのものと言っても過言ではないと考える。私がもっとも印象に残ったのは唐の玄宗皇帝が趣味である演劇の施設を設立していたことである。都市の利便性や合理性ではなく、趣味という私情に近いものを反映させるのが非常に面白いと感じた。

高西 美花(国際コミュニケーション学部)

 今日の講義を受け、伝統的なものも歴史が進化していくにつれ、近代と寄り添いあっていく情景を感じました。中国・イタリア・日本、どれも都市に対する考え方や町並みが違っており、そこに住む人によって変化するのだとおもいました。最初に松本先生が「都市は生きている」と言った言葉がとても心に残っています。日々住みやすい環境に近づいていくために、町全体が進化していくのをこれから注目して自分の身をもって感じていきたいです。また、日本だけではなく、他の国にも注目し、日本との違いを比較してみるのも楽しそうだとおもいました。大阪も万博があるので、また変化していくとおもいます。

和田 知樹(国際観光学部)

 1回目のシンポジウムが空間的な都市の理解に対して、第2回目は時間的な都市の変容についてがテーマでした。都市空間が、為政者・政治体制・経済構造などによって変化していくことがわかりました。時代によって外敵から守るために城壁を作ったり、必要がなくなれば壊したりと風景を変化させていくことが、まるで生き物の一生のようでした。過去から現在、現在から未来と、時間の経過とともにこれからも都市空間は変化してきます。その意味では完成することはありません。未来都市にAIがどのくらい影響を及ぼすのかが、個人的には気になりました。

小林  秀(国際コミュニケーション学部)

 フィレンツェ・西安・京都の3都市には、それぞれの時代背景と共に、歴史が混在しています。その中で、今現在の街そのものが、さまざまな変化を遂げてきた結果であり、しかも、それが未来に向かう途中経過でもあることを実感します。政治が変わると住む人の生活スタイルも、街そのものの機能も、経済構造も変わります。それは、街の変化であるとともに、喪失と構築を繰り返してきた結果でもあるのでしょう。技術革新によって、建物は高くなりましたが、それによって大地と緑を失ったように思います。都市の風景が変わるとき、というテーマを受講生として投げられることで、新たな疑問の発見と考察の機会を与えられました。

大井 洸平(国際コミュニケーション学部)

 シンポジウムというかたちは先生同士で質問をしあうため、ある先生が別の先生の興味深い説明を引き出してくれるのがありがたいと思いました。的確な質問をし、その質問の意図を説明してくれるので、非常に理解しやすかったです。都市文化の問題からそれますが、「馬の鐙(あぶみ)」の話などがまさにそれです。鐙を使っているかいないか、小さなことですが、その時代の状況を想像することができてとても面白く感じることができました。先生一人一人の着眼点が異なり、それがぶつかりあうから、シンポジウムは刺激的です。

鈴木 真奈(国際コミュニケーション学部)

 都市の風景が変わる時は、三都市共通で、政治や経済が変わった時というのが興味深かった。このような共通点もあるが、その一方で相違点もある。長安では歴史や文化に固執せず新しいものをどんどん取り入れていくが、フィレンツェでは歴史や文化を非常に大切にしていた。京都は歴史や文化を残しながらも、近代的な要素も取り入れていくということで、三都市ともにそれぞれの個性があった。今回のシンポジウムで初めて知ったこともたくさんあり、一都市について知るだけでなく、比較しながら都市を見ていくことで、都市への理解もより深めることができると改めて感じた。