2019.10.16

阪南大生が行く! 流通学部サービス調査隊 第4回「ウェスティンホテル大阪 西川和良チーフコンシェルジュ」

 阪南大学流通学部の学生が、優れたサービスを提供している施設を訪問して、調査を行う企画「阪南大生が行く! 流通学部サービス調査隊」。第4回は、流通学部1回生の関口彩星が、大阪市北区にある「ウェスティンホテル大阪」の西川和良チーフコンシェルジュにインタビューを行います。
 コンシェルジュとは、ホテルのロビーに特設デスクを構え、館内外の案内や予約の手配など、お客様の様々な要望に応えるサービスのプロフェッショナルです。「Noと言わないサービス」の象徴である最高級ホテルのコンシェルジュを、阪南大生が調査します。
  • ウェスティンホテル大阪 西川和良チーフコンシェルジュ

  • 阪南大学流通学部 1回生 関口彩星

-阪南大学流通学部1回生の関口彩星と申します。本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。
 ウェスティンホテル大阪の西川和良です。コンシェルジュという仕事をしています。

-「コンシェルジュ」とは、どのようなことをするお仕事なのでしょうか。
 大まかに言うと、どの部署にも当てはまらないような、お客様のリクエストや相談を一手に引き受けるような仕事です。お客様が宿泊するにあたって、いろいろなリクエストがあった時に、その部署では応えられない、また応えられるけれども、応えてしまうとすごく時間がかかるようなことを引き受けて、解決するような仕事ですね。

-コンシェルジュの仕事をするまでに、どのような経験を積まれてきたのか教えていただけますでしょうか。
 料理の世界で働いていくつもりだったので、最初は調理を担当していました。その後、レストランのサービススタッフとなりました。その後は旅行の添乗員、音楽が好きなので楽器店でも働いていました。(笑) 縁あって現在のウェスティンホテル大阪に入社して、お客様をお部屋にご案内するベルパーソンの仕事に就きました。実はどの仕事も今のコンシェルジュの仕事に活かされています。
-世界中の他のコンシェルジュに負けない、得意技がございましたら教えていただけますでしょうか。
 芸術がすごく好きなんです。音楽ならクラシックやオペラ。クラシックというとホテルのロビーでB.G.M.として流れているようなイメージですよね。でも私はとてもB.G.M.として聴いていられなくて、本当に熱心に聴きいってしまうんです。オペラも深い意味があって、実はあいつが憎いとか、そんな驚くようなメッセージが織り込まれているものもあります。そして日本の美術やヨーロッパの美術についても日々勉強しています。他のコンシェルジュに、日本の文化はこんなに素晴らしいんだと教えることができるレベルだと思いますよ。(笑)

-コンシェルジュの“職業病”といえるようなものがございましたら教えていただけますでしょうか。
 常にキョロキョロしてしまいます。電車の中なら、こんな広告が出ているんだ、あの人はどんな本を読んでるのかな、窓の向こうに見える建設中の建物は何が出来るんだろうとか。そういう意味では落ち着かないですね。流行っているお店があったらもちろん行きますし、新聞も今後役に立つだろうと思われる記事は切り抜きをしています。
-お客様からの最も難しい、あるいは最も珍しいリクエストについて、差し支えない範囲で教えていただけますでしょうか。
 アメリカ・シカゴから若い男性3人がコンシェルジュ・デスクに来られました。その方たちはシカゴで日本料理店をやっていて、世界的に有名な神戸牛がどのように飼育されているのか見たいと言ってきました。兵庫県には神戸牛を飼育しているところはたくさんありますので、正直すぐに見つかるだろうと思いました。
 でも電話をしたら、ことごとく断られました。大切な牛に菌が入り込むかもしれないので一般の方は立ち入らせることができないという理由でした。簡単だと思っていたのでとても困惑しました。でも諦めずに探していくと、見つかったんです。「自分は情熱を持って牛を育てている。だから是非見に来て欲しい」っていう方がいたんです。
 その方から英語が喋れないからガイドをつけて欲しい、牧場でレストランも経営しているので、そこで神戸牛を食べてみて欲しいとリクエストがありました。三田のすごい山奥だったんですが、シカゴからの3人にその説明をしたら是非行きたい!! ということになりました。その3人は見学後、すごく興奮して帰ってきて、「アメリカと育て方が全然違う。すごく勉強になった」と言ってくれました。諦めなくて良かったなって思います。
-コンシェルジュとして活躍するためには、どのような知識、どのような技能が必要であると考えますか。
 まずはその土地のことですね。自分がいる大阪の知識、それから観光地として人気がある京都、奈良、神戸、広島、姫路。添乗員を経験して良かったと思っています。
 そして料理。やっぱり誰もが美味しいものを食べたいんですよ。もともと料理の世界で生きていこうと思っていたことが、ここで活かされています。
 さらにトップレベルのコンシェルジュになろうと思えば、語学力、几帳面さ、優雅さ、誠実さ、正直さ、判断力、経験、ユーモアなんかが必要になるんじゃないでしょうか。

-英語以外にも語学を勉強する必要があると考えますか。
 興味のある言語があれば、勉強したほうが良いと思いますよ。需要としては、中国語が1番でしょう。でも英語が堪能でも、日本のことを理解していなければ、日本のことを伝えられないということになります。日本語、漫画、茶道、いろんな切り口で興味のあるところから、勉強してもらいたい。語学も大切ですが、日本のことも忘れないで勉強して欲しいと思います。コンシェルジュは、日本人でもあり外国人でもあるっていう視点が大切だと思っています。
-人工知能がさらに発達してきた時に、コンシェルジュという仕事は、どのように変化していくと考えますか。
 人として厚みのないコンシェルジュは、おそらく人工知能に取って代わられると思います。お客様と深い部分でしっかりと繋がることを毎回毎回していく必要があるでしょう。私たちコンシェルジュは危機感を持つべきだと思っています。

-今後の目標があれば教えていただけますでしょうか。
 私は世界的なホテルのコンシェルジュの組織「レ・クレドール」に所属しています。レ・クレドールというネットワークは、お客様に快適で特別な時間と体験をしていただくためにお互いが協力し合っています。ウェスティンホテル大阪を利用していただいているお客様が、海外に行く時には世界的なホテルのコンシェルジュのネットワーク組織「レ・クレドール」がいるホテルに泊まってもらいたい、そしてレ・クレドールの素晴らしいサービスを体験してもらいたいと思っています。そしてまたレ・クレドールのコンシェルジュがいるウェスティンホテル大阪に戻ってきてもらいたいと考えています。

-本日はお忙しいところ貴重なお話をいただきありがとうございました。
 こちらこそありがとうございました。

インタビューを終えて

 世界的なホテルのコンシェルジュの組織「レ・クレドール」の会員でもいらっしゃるウェスティンホテル大阪の西川和良チーフコンシェルジュにお話をお伺いして、コンシェルジュという仕事の難しさや面白さ、勉強や経験を積み重ねることの大切さを実感することができました。さらに、コンシェルジュの事、レ・クレドールの事、ホテルの事、サービスやホスピタリティの事について、知りたいと思うようになりました。
 レ・クレドールにおける会員共通のモットーは “ Service through Friendship ” 「友情を通じたサービス」であるとお伺いしました。私も自分なりのモットーを掲げて、日々頑張っていこうと思います。
 最後に、お忙しいところインタビューを受けていただきました西川和良チーフコンシェルジュ、良い記事になるように数々のご支援をいただきました植村守人事部課長に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

ウェスティンホテル大阪

 大阪駅の北西に位置する新梅田シティにあるラグジュアリーホテル。ウェスティンブランドの日本第一号として生まれた「ウェスティンホテル大阪」。1993年の開業以来培ってきた親しみ溢れるおもてなしと経験豊かなスタッフによるパーソナルなサービスで、お客様をお迎えいたします。“東洋と西洋の文化が華開いた安土桃山時代の融合” をコンセプトに、ヨーロピアンとジャパネスクの煌びやかな調和を表現した空間で、上質なくつろぎと癒しのひと時をお過ごしください。