阪南大学流通学部 杉田 宗聴


 阪南大学流通学部ブランド・マーケティングコースとサービスマネジメントコースは7月12日に株式会社スープストックトーキョー社長松尾真継氏を招いて「『スープストックトーキョー』20年の軌跡に学ぶ『ブランド経営』」というテーマの講演会を共同開催しました。会場には流通学部の学生や教職員など約50名が集まりました。
 「スープストックトーキョー」は「女性が静かにたたずんで安心安全な食事を楽しめる」ことをコンセプトにしたファストフードチェーンです。現在首都圏を中心に58店舗を展開し、87億円の売上高を実現していますが、その原動力のひとつとなったのは徹底した「働く女性」目線のブランディング活動でした。同社のブランディング活動は多方面から評価を得ており、2017年に「共働き子育てしやすい企業ランキングトップ36位」に選出されるとともに2018年には「リファーラルリクルーティングAWARD」、「第三回女性のあした大賞 特別賞・働き方改革」、「Forbes JAPAN WOMAN AWARD 個人賞・チェンジメーカー賞」を受賞しています。
 今回の講演会では、スープストックトーキョーの松尾社長がどのようなこだわりをもってブランドづくりを行ってきたのかについて詳しくお話しを伺うことができました。
 松尾社長によると、スープストックトーキョーにおけるブランドづくりの基本方針は、「価値観を共感できる人同士がつながる」しくみづくりであるとのことでした。そのために取り組まれていたのが、①「ターゲットの徹底した明確化・具体化」、②安心・安全を実現する「レシピの完全公開」、③取引先や産地の人たちとの信頼関係をつくる、接客のマニュアルは作らない、などの「不文律」をつくり、それを絶対に守ること、④「世の中の体温を上げる」取り組みを追求する、の4つです。
  • 写真:「世の中の体温を上げる」取り組みの1つ、1年間の無病息災を願った1月7日限定の「七草粥」。

 講演会全体を通じて、ブランドづくりを成功させるためにはお客はもちろん、取引先や社会全体も含めてスープストックトーキョーが掲げる価値観に対する「共感」を得ることが重要であることを学ぶことができました。これはなにもフードビジネスだけに限らず、あらゆる企業に共通することだと思います。また、それを促すために常日頃から全社的に「世の中の体温を上げる」というキーワードそのような点で非常に有益な時間を過ごすことができました。
※この活動は学部教育研究活動助成(阪南大学学会)の補助を受けています。