第6波と第7波の谷間を利用し、海遊館を訪れた(撮影:渡辺和之、2022年6月18日)

阪南大学国際観光学部 渡辺ゼミ

大阪ベイエリアと海遊館

国際観光学部 教員 渡辺和之

 2022年4月、今年は7人の新入生(男子2名、女子5名)を迎えた。彼らを補佐する3年生のSA(Student Assistant)の4名と教員1名を加え、計12名で大学入門ゼミはスタートした。今年の1年生はみな関西出身で、奈良1人、大阪6人である。
 国際観光学部では、1年生の前期には、大阪フィールドワークとして、大阪市内を中心に日帰りでフィールドワークをすることになっている。これは、観光学の基礎を学ぶと同時に、同じゼミの学生同士で仲良くなり、大学生活に慣れることも目的としている。渡辺ゼミでは、たとえ1年生であろうと、計画はすべて自分たちで下調べをし、どこにゆきたいかを話し合い、決定することにしている。大学の学びとは、自分たちで関心あることを調べ、自分の研究テーマを深めてゆくものだからである。
 幸い、今年はコロナ禍も一段落している。前期は150人以上の授業では遠隔授業をしていたが、ゼミに関する限り、4月からずっと対面でやってきた。フィールドワークについても、これまで通り、行けるようになった。
それで例によって、班に分かれて、それぞれゆきたい場所を調べてもらうことにした。この結果、海遊館に決まった。なぜ海遊館かというと、ベイエリアというキーワードが彼らの口から出てきたからである。東京オリンピックも昨年終わり、夢洲で万博をおこなうことが現実的になってきた。万博会場の工事も進んでいるようである。万博前にベイエリアを見ておけば、着工後に振り返ると変化がわかる。また、カジノやIRなどの報道は多く、レポートも書きやすいと学生は思ったようである。よい着眼点なのだが、実際に調べてみると、あまり訪れておもしろそうな所はない。舞洲のゴミ処理場なども候補にあがったが、事前予約制で曜日があわない。夢洲に至っては、コンビニが1軒あるだけで、あとは工事現場が広がるだけである。観光で訪れるには、時期尚早であることがわかった。
そこで浮上したのが海遊館である。海遊館にゆけば、海の生き物がいる。ジンベイザメはもちろん、アシカやペンギンやイルカなど、世界の海にいる生き物を学ぶことができる。魚や哺乳類の生態を事前に調べてゆけば、観察記録を書くことができるだろう。また、水槽の前にいる人たちを観察すれば、どんな人たちがどんな生き物を好むのか、観光客の観察記録も作ることができるだろう。
かくして、われわれは6月18日(土)海遊館を訪れた。今回は、海遊館にいる生き物をあらかじめ調べた。事前に自分の調べる生き物を決め、図鑑で簡単な生き物の習性を知った上で、現地へ赴いた。現地で観察することで、気がついたことを発見するためである。学生たちはそれぞれ担当する生き物の水槽の前に立ち、観察記録を付けた。それをもとに、彼らが何を見て、何を考えたのかレポートを書いた。
以下、一読頂けると幸いである。

海遊館の魚の種類、生き物

国際観光学部1年 吉本唯夏

1.はじめに
 大阪の観光地を外国人に紹介する場合、多くの人は難波や心斎橋、ユニバーサルスタジオジャパンと誰もが知っている場所などを紹介する。だが、大阪には世界最大級の海遊館が存在する。海遊館には、海遊館のシンボルと言われるジンベイザメがいるが、海遊館の生き物はジンベイザメだけではない。本レポートでは、海遊館の海域ごとにどんな魚が生息するのかを、海遊館の案内板にあった解説を参考に、報告する。

2.魚の種類と生息地帯、生き物
 現地で見た海遊館の案内版によると、全ての地域、世界で魚が生息していて、620種30000点の魚が生息している。海遊館には、アリューシャン列島、モンタレー湾、パナマ湾、エクアドル熱帯雨林、南極大陸、タスマン海、グリードバリアリーフ、瀬戸内海、太平洋、チリの岩礁、クック海峡、日本海溝などの生き物を展示した水槽がある。世界中の地域からの魚、生き物は生息地が知らないところが多く、私はこれを機会に場所を調べ、訪れてみたいという気持ちも生まれ、世界との交流にも繋がると思った。

3.生命を支える潮湾アリューシャン列島
 まず、私が関心を持ったのが、アリューシャン列島のコーナーである。案内版によると、アリューシャン列島は、アラスカ半島から約2000kmに渡り、2500もの島々が連なっている。年間平均気温は5℃と厳しい環境だが、強い風と潮流が栄養豊富な海水を循環させるため、食物連鎖を支えるプランクトンが豊富に育ち、数多くの魚、貝、カニなどの生き物たちやこれらを餌とする魚や生き物の生息地となっているという。魚だけではなく、鳥類のエトピリカが展示されていた。エトピリカは空を飛ぶことも水中を泳ぐことも可能だ。昔は日本内の北海道でも確認できていたが、近年は確認することはほとんどないそうだ。これは気温の上昇ではないかと私は考える。

4.海の峡谷から湧き上がるモンタレー湾
 次に関心を持ったのが、モンタレー湾である。案内版によると、モンタレー湾は、沖にある水深3000mに達する海底プレートの境界に至るまで海中峡谷が続いている。峡谷から湧き上がる栄養分を多く含んだ海水が海藻やプランクトンを育て、湾に住む生き物たちの営みを支えているという。ここで見られるのがゴマフアザラシとカリフォルニアアシカだ。ゴマフアザラシは水中で泳ぐスピードがとても速かった。写真を撮ろうとすると、とても速いので中々難しい。

5.火山が流れを変えるエクアドル熱帯雨林
 次に関心を持ったのがエクアドルの熱帯雨林のコーナーである。案内版によると、アマゾン川は約2億年前には太平洋へと流れていたが、度重なる地殻変動のよりアンデス山脈が形成され、180°方向を変えて大西洋へ流れるようになったという。生態系のバランスを保ちながら多種多様な動植物が生息しているのである。熱帯雨林のコーナーということもあり、混雑で暑く感じただけかもしれないが、私はそのコーナーで暑く感じた。暑さに強い、魚、生き物を知るきっかけになった。

6.地球最大の水の境太平洋
 最後に関心を持ったのが、太平洋のコーナーである。案内版によると、太平洋は地球の面積の約3分の1を占める最も広大な海であり、アジア、オーストラリア、南極、南北アメリカの5つの大陸に囲まれている。太平洋の海水は赤道から両極地付近まで循環し、海中だけでなく、陸上の生き物たちにも気温や降水量などで大きな影響を与えているという。
ちなみに海遊館で人気のジンベイザメは太平洋に生息する。さまざまな意見があるが、やはり、海遊館の最大の醍醐味はジンベイザメだと思う。大きさに圧倒され、水槽の中にジンベイザメがいてもまじかにいるような迫力感があった。

7.まとめ
 世界中のさまざまな地域に、さまざまな魚や生き物たちが生息する。ほぼ世界中にそれらの魚や生き物を見に行くことは不可能だ。だが、海遊館に訪れると全てではないが、さまざまな地域の魚や生き物を楽しむことが可能である。北極や南極の冷たい海からアマゾンのような熱帯雨林の海を経て、ジンベイザメのいる太平洋の海まで冷房の効いた展示場で楽しむことができる。それが大阪周辺に住む私たちだけでなく、外国人を含め、大阪を訪れる観光客に紹介できる理由なのだろうと、私は考えた。

コツメカワウソの生態

国際観光学部1年 奥谷友香

1. はじめに
 FWのテーマで水の学習として大阪の海の水を利用する海遊館について調べることにした。海遊館にいる生物のなかで何について調べようかと考えたときHPにも載っていたコツメカワウソに興味を持ち、実際に見て調べることにした。

2. 事前調査で調べることと現地で観察すること
 まず、事前調査では、コツメカワウソの分類・分布・特徴やコツメカワウソの習性について調べた。現地では、コツメカワウソの学名・英名や解説を調べた。また、同じ水槽ではコツメカワウソは何匹で住んでいて、どのような生き物と共存しているのかを調べた。そのほかにも、実際にどのような年齢層の人がカワウソを見ているのかを、水槽の前で約30分ほど観察した。

3. 事前学習で分かったこと
 コツメカワウソの体長45cm~61cmである。尻尾だけでも25㎝~35㎝もある。体重はおおよそ1㎏~5㎏と言われている。主に南アジア、東アジア、東南アジアに分布していて基本的には群れで行動する。カワウソの種類の中でもコツメカワウソの最も小さい臼歯(きゅうし)が広いため、甲殻類を食べる習慣がある1)。

4. 現地で観察して分かったこと
 飼育されている水槽の前にコツメカワウソについての看板が設置してあった。そこには、学名Aonyx cinerea, 英名Asian small clawedと掲載されていた。そのほかにもコツメカワウソはかつて日本にも生息していたが2012年に環境省によって絶滅種になったと書いてあった。海遊館では東南アジアに生息していたコツメカワウソを飼育しているという。

写真1 寝ている様子 撮影者:奥谷友香 撮影日:2022年6月18日

 飼育環境は滝や滝の麓、川の様子が再現されており流木やコケ、木々が生えていた。同じ水槽の中にはアユがいてコツメカワウソと共存していた。事前学習ではコツメカワウソは群れで行動するということが分かったが実際に海遊館で見たコツメカワウソは2匹で飼育されていた。私が見た時には寝ており2匹は流木の上で身体を寄せあって寝ていた。
写真1 寝ている様子 撮影者:奥谷友香 撮影日:2022年6月18日

 実際にコツメカワウソを見ていた人たちは、幼稚園・保育園児~小学生ぐらいの親子連れやカップル、友人同士で見ている人たちが多く、少数ではあったが、老夫婦や公式ガイドに案内してもらい、見学している人たちもいた。特に幼稚園・保育園児~小学生の子が興味をもって見ている様子もあった。よく見える位置では、スマホやカメラで写真を撮っている人たちも大勢いた。
表1 コツメカワウソの水槽を見ていた人数(世代別/人数別)
幼稚園・保育園~小学生 9人
10代後半~40代 24人
50代~ 6人
合計人数 39人
出典:筆者の調査による(2022年6月18日土曜日14時00分から14時30分)
備考:水槽の前に人が大勢集まっているときに調べた人数
5. まとめ
 コツメカワウソは小さい子供や女性に人気の生き物かと思っていた。だが、実際にどのような人が見ているのかを調べてみたら、小さい子供や女性はもちろん、男性やお年寄りの方も見ていて、幅広い世代から人気を集めていることが分かった。私が観察していた時間には、コツメカワウソは起きることなく、ずっと寝ていたので、餌を食べている様子や実際に動いている様子を見ることはできなかった。このため、どのような甲殻類を食べたり、泳ぎ方にはどのような特徴があるのかを観察することが出来なかった。この点については次回、施設の人に聞いてみたいと考えた。


デイヴィッド・バーニーほか2004『世界動物大図鑑』ネコ・パブリッシング, P.201.

参考文献
デイヴィッド・バーニーほか2004『世界動物大図鑑』ネコ・パブリッシング

アシカについて

国際観光学部1年 中原聡太

1. はじめに
 ゼミのフィールドワークで水に関することを調べるために、海遊館に行くことになった。そこにいるアシカについて調べた。

2. アシカについての調査項目
 アシカの餌・生息場所・科名・英名・学名・自分で現地にいってアシカの特徴や大きさ水槽に何匹いるかについて調べた。そのほかにアシカの水槽にいる人はどんな年齢層の人が多いかについて15分観察して調べた。

3. 事前学習で分かったこと
 講談社の動く図鑑によると、アシカの餌は、主に『タコ・イカ・魚』などを食べていて、「太平洋」に生息している。アシカは、哺乳類に分類される。アシカの科名は、アシカ科で、ニュージーランドアシカ、カリフォルニアアシカのほかに、オタリア、セイウチ、トド、オットセイなども同じアシカ科の仲間である1)。海遊館のホームページによると、「カルフォルニアアシカの雄は、非常に大きな声で鳴くことから英名でシーライオンと呼ばれており、学名はZalophus californianus」と呼ばれる。また、アシカは、「成長するとオスは、体長約200cm体重約300kg、メスは、体調約170cm体重約100kgまで成長し、四肢が発達し、水中遊泳だけでなく陸上歩行にも、役立つ」と言われている。アシカは、「一夫多妻制で一頭のオスが、約30頭のメスや子供を率いて生活しており、自然界では、5月から6月が交尾の時期で妊娠期間は、約1年1回の出産で一頭の子を生み、1年間授乳」するといわれている2)。

4. 現地で分かったこと
 海遊館のアシカを見て分かったことは、アシカの特徴はこげ茶色で髭以外の体毛はなく、短い耳・ヒレ・尻尾がついており餌を食べるとき以外は、ずっと泳いでいた。
 アシカの水槽を見ていた人たちは、カップルと家族ずれが多く、その比率はカップル約7割、家族ずれ約3割であった。写真を撮ったはりしゃいでいた人は、男性より女性のほうが多かった印象がある。

5. まとめ
 海遊館のアシカは男女関係なくどの年齢層にも、人気であった。海遊館には、アシカ以外にも様々な動物がいて最後まで飽きることなく、楽しめるようになっていた。その他にも海遊館の施設にも工夫がされており、どこを見渡しても魚が見えるようになっており、疲れたり、休憩を取りたい人のために各水槽の前に、椅子が用意されており、様々な工夫がされており、クラゲのコーナーでは、クラゲを目立たせるために部屋が暗くされており、いろんな形の水槽やクラゲがいた。
  • 写真1 アシカの水槽を観察するゼミ生。撮影:渡辺和之


1) 山際寿一(監修)2011『講談社の動く図鑑:MOVE動物』講談社, P.86.
2) 海遊館「カルフォルニアアシカ」https://www.kaiyukan.com/index.html 採録日(2022年7月2日)

参考文献
山際寿一(監修)2011『講談社の動く図鑑:MOVE動物』講談社
海遊館「カルフォルニアアシカ」https://www.kaiyukan.com/index.html 採録日(2022年7月2日)

ペンギン

国際観光学部1年 小倉由紀乃

1.はじめに
 私は、水の学習の一環として海遊館について調べた。海遊館では海の水を使用している。実際に現地に行きその水で生活している生物の中で、ペンギンについて調査した。このレポートでは、海遊館で飼育しているペンギンの種類、水槽の中での過ごし方、そしてペンギンを見に来ている人の年齢層などのついて明らかにしたい。

2.事前学習で分かったこと
 ペンギンは鳥類のペンギン科で、17種類いる。飛べない鳥類であるため、泳ぐことと極寒の中で生き延びることに適応している。世界動物大図鑑によると、ペンギンは「生涯の大半を水中で過ごし、魚やヤリイカ、オキアミを追ってアザラシの鰭脚に似た翼で水をかいて進む」という1)。
ペンギンの泳法には、3種類ある。慌てる必要がないときには、頭と尾を水上に出し、翼で漕ぐようにしてゆったりと泳ぐ。また、獲物を追うときには翼を羽ばたいて効率よく水中を飛び回る。さらに、水面近くを泳ぎ、周期的に息継ぎのために空中に躍り出る疾走と呼ばれる泳ぎ方もある。ペンギンはこれら3種類の泳法を駆使しており、時速14㎞で泳げる種もいる。ペンギンが潜水する時間はおおむね1分ほどである。だが、20分潜っていたという記録もある。
「ペンギン類の生息域は南半球の海に限られる。寒冷気候下で最も普通にみられるが、いくつかの種は寒流が北上して熱帯に流れ込む地域でも見られる。南極大陸で冬を過ごすのはコウテイペンギンとアデリーペンギンの2種類だけである」そうだ2)。

3.現地で調査したこと
 海遊館の生息地域ごとの案内板によると、ペンギンの生息域である南極大陸は平均2,000mを超える厚さの氷に覆われており、一年の半分しか太陽光が届かず、最低気温が-97.8℃(2018)の記録を持つ地球上でもっとも寒い地域である。周囲の南極海にはナンキョクオキアミが豊富に生息し、クジラ・ペンギンなどの餌として、この地域の生息系を支える重要な役割を果たしているとのことである。
ペンギンの水槽前の案内板によると、オウサマペンギン・ジェンツーペンギン・アデリーペンギンの3種類のペンギンがいるとのことだ。ペンギンの水槽の中での過ごし方を観察してみると、水の中を泳いだり、岩の上で眠っていたり、何羽も寄り集り何もせずに立っていたりしていた。
 ペンギンの水槽周辺の案内板によると、海遊館ではペンギンの健康を管理するために照明の消灯時間を夏は5時から21時、冬は8時から17時というように季節によって変更していた。
 水槽を見ていた人は子供から60~70代ぐらいの人がいたが、その中でも子供連れの家族で来ている人たちが多かった。見ている人のほとんどが笑顔になっており、ペンギンに癒されている様子だった。水槽の一番前には子供が沢山いて、特に子供から人気があるということが分かった。

4.まとめ
 海遊館には17種類のうち3種類のペンギンが飼育されている。
 ペンギンの水槽前は常に子供から大人まで幅広い年齢層の人が沢山いる状態で、見ている人は10分以上その場に立ち止まるほど人気があった。
 海遊館では健康管理のために食事の時間も決まっており、今回はペンギンが食事をしているところを見ることができなかったので、次回訪れる時は食事の時間に行って餌を食べる姿を見たいと思った。
【注】
1) デイウッド・バーニー2004『世界動物大図鑑』平凡社, p.266ページ
2) 同上

【参考文献】
・デイウッド・バーニー2004『世界動物大図鑑』平凡社

エイについて

国際観光学部1年 松本菜緒

1.はじめに,目的と方法
 私たちは、海の生き物について学習するため海遊館にフィールドワークに行った。海の生き物で私が思いついたのはエイだった。今回のフィールドワークでは、海遊館にはどの種類のエイがいるのか、どんな魚と同じ水槽にいるのかを調べた。エイはどのように泳いでいるのかを観察し、写真を撮った。
2.事前学習で分かったこと            撮影:松本菜緒。
 まず、エイがどんな生き物なのか、図鑑で調べてみた。エイはサメ類と同じ軟骨魚類であり、卵生種と胎生種がいる。世界には約500種、日本には50種いる。体は平たく、エラアナが腹面にある。胸びれが大きく、頭部と胸びれの境がはっきりしない。尾びれは小さいか、糸状にのびる¹⁾。エイは種類によって、トビエイ科、アカエイ科、シビレエイ科、ノコギリエイ科、ガンギエイ科に分類されている。エイの種類によって、生息地域は異なるが、海遊館にいるイトマキエイは琉球列島や世界中の熱帯・亜熱帯域、トビエイは本州~南シナ海、マダラトビエイは本州中部以南や世界中の温帯・熱帯域、アカエイは南日本~朝鮮半島、台湾、中国に棲息する²⁾。

3.エイの種類
 海遊館にいたエイはトビエイ科のイトマキエイ、マダラトビエイ、ウシバナトビエイ、アカエイ科のホシエイ、ヤジリエイ、オグロオトメエイの6種類である。海遊館のサイトに記載されていた学名と英名は次の通りである。イトマキエイ(英名:Spinetail mobula / 学名:Mobula mobular)3)、マダラトビエイ(英名:Aetobatus ocellatus / 学名:Aetobatus narinari)4)、ウシバナトビエイ(英名:Flapnose ray / 学名:Rhinoptera javanica)5)、ホシエイ(英名:Short-tail stingray / 学名:Bathytoshia brevicaudata)6)、ヤジリエイ(英名:Sharpnose stingray / 学名:Dasyatis acutirostra)7)、オグロオトメエイ(英名:Pink whipray / 学名:Himantura fai)8)。

3.現地で調査したこと
 実際にエイの水槽を見てみると、エイはジンベイザメやサメ、アジ、ハタ、クエ、フキ、タイなどと一緒の水槽で泳いでおり、水槽の下の方や真ん中の方で泳いでいた(写真1)。泳ぎ方は左右のヒレを交互に上下させて泳ぎまわる。ジンベイザメがいる水槽ということもあって、家族連れやカップルが多く、滞在している時間が長かった。

4.まとめ
 エイはサメと同じ軟骨魚類である。種類は500種類以上あり、海遊館には6種類いた。エイの中でもさまざまな種類があり、その種類によって生息地域や水槽での泳ぐ位置が違った。泳ぎ方は左右のヒレを交互に上下させていた。同じ水槽にはジンベイザメなどがいた。
【注】
1)福井篤(監修)『講談社の動く図鑑:MOVE 魚』講談社,2012年,p.26。
2)福井篤(監修)『講談社の動く図鑑:MOVE 魚』講談社,2012年, p.26~28。
3)海遊館「イトマキエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/064.html(閲覧日:2022年7月20日)
4)海遊館「マダラトビエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/050.html(閲覧日:2022年7月20日)
5)海遊館「ウシバナトビエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/051.html(閲覧日:2022年7月20日)
6)海遊館「ホシエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/052.html(閲覧日:2022年7月20日)
7)海遊館「ヤジリエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/053.html(閲覧日:2022年7月20日)、
8)海遊館「オグロオトメエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/054.html(閲覧日:2022年7月20日)。

【参考文献】
・福井篤(監修)『講談社の動く図鑑:MOVE 魚』講談社,2012年。
・海遊館「イトマキエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/064.html (閲覧日:2022年7月20日)。
・海遊館「マダラトビエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/050.html(閲覧日:2022年7月20日)。
・海遊館「ウシバナトビエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/051.html(閲覧日:2022年7月20日)。
・海遊館「ホシエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/052.html(閲覧日:2022年7月20日)。
・海遊館「ヤジリエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/053.html (閲覧日:2022年7月20日)。
・海遊館「オグロオトメエイ」https://www.kaiyukan.com/area/exhibition/054.html (閲覧日:2022年7月20日)。

カマイルカに癒やされる

国際観光学部1 年 千崎 優太

はじめに
 フィールドワークのテーマで水の学習として大阪の海の水を利用している海遊館について調べることにした。海遊館にいる生物のなかで何について調べようかと考えたとき、海遊館のホームページにも載っていたイルカについて実際に見て調べることにした。そして、それに伴い、事前調査でイルカの生息地、分類、食べ物、特徴などを調べてみた。また、現地では、カマイルカの学名や繁殖期を知ることができた。そして、イルカの展示を見る人はどんな年代の人々なのかを観察し、データを取った。

カマイルカについて
 カマイルカは学名をLagenorhynchus obliquidensという。先細りの頭、色合い、長い背鰭で区別することができる。カマイルカは太平洋で、時々波を使って船に乗り上げる。背鰭が濃く、腹側が灰白色で、くちばしから背鰭の下側あたりまでの横腹に模様がある。薄い縞が尾鰭の付け根から背鰭まで伸びており、そこから枝分かれしていたり、目の近くの肩まで続いていることがある。上下の顎にある23~36組の小さい歯を使って、様々な魚やイカを食べる。数十匹から数千匹の、次々と変化する群れを作り、時々他のイルカやクジラとも群れをつくる。10~12か月の妊娠期間の後、体長90㎝の子供を産む。太平洋北西部の漁業の中には、このイルカが獲物の大半を占めるところもある¹。そして時速55㎞で泳ぎ、アクロバティックな動きをする²。

カマイルカの展示について
 次にイルカの展示を見ている50人を対象にして、カップル、友達同士、親子ずれ、団体客、ひとり、これらの数を→誰と来ているのかを数えた、その結果、カップルが12組、親子ずれ9人、友達同士7人、団体客6人、ひとり4人となった。ここから、イルカはカップルや親子ずれにも人気な生き物であり、一人で行っても楽しめる生き物であるともいえる。また、年齢で見ると、子供やその両親だけでなく、20-30代の若者やおじちゃんやおばあちゃんなどの高齢者もいた。イルカは子供から高齢者まで幅広い年齢層の人に人気があることがわかった。イルカの展示を見ている人を観察していても、「きれい」や「かわいい」などといった感想がちらほら聞こえてきた。
 私の観察では、イルカを見ていた人たちの年齢は、子供から老人まで幅広い年齢層がいた。子供やその両親だけでなく、20-30代の若者やおじちゃんやおばあちゃんなどの高齢者もいた。イルカは子供から高齢者まで幅広い年齢層の人に人気があることがわかった。
写真1 カマイルカの泳ぐ姿。撮影:千崎優太、2022年6月18日


まとめ
 事前学習では、イルカは群れで生活することや一緒に泳いでいる他の個体や船に好奇心を持つことがわかった。また、水槽の前でイルカを見ていた人を観察した所、親子連れ、カップル、友人同士から1人の人まで、年齢では老若男女を問わずにイルカを見に来ていた。
 イルカには人を引き付ける魅力や愛らしさがあり、その力を糧として人々に幸せを届けているのだと、私はと考える。かくいう、私もイルカの愛らしさに心が潤う気がしている。そして、イルカが不自由のない飼育下で展示をしている海遊館側の素晴らしい努力にも感銘を受けた。イルカには人を引き付ける魅力や愛らしさがあり、その力を糧として人々に幸せを届けているのだと考える。


1)デイウッド・バーニー2004「カマイルカ」『世界動物大図鑑』, p.170.
2)山際寿一(監修)2011「カマイルカ」『講談社の動く図鑑:MOVE動物』, p.116.

参考文献
デイウッド・バーニー2004『世界動物大図鑑』平凡社.
山際寿一(監修)2011『講談社の動く図鑑:MOVE動物』講談社.

海遊館の歴史とSDGs

国際観光学部1年 細井梨后

事前学習
 海遊館は1988年に大阪ベイエリアの再開発を目的に水族館と商業施設という海外での成功事例にならい、海遊館と天保山マーケットプレースが建設されたることになった。また1989年には一般公募により水族館名を「海遊館」に命名された1)。
 海遊館は、総水量1万1000トンのほとんどを占めているのが、中心に置かれた十字型の太平洋水槽で、正に水塊。そんな水槽が入る建物だから、尋常でなく大きい。とりわけ地上からの高さが他の水族館の比ではなくて、なんと8階建てである2)。

現地で調査したこと
 私は海遊館に行った際にSDGsの展示に注目した。展示の解説によると、北極海の海水は年々減少しており、北極海では35年間で海氷面積が約2/3に減少した。また、1年間で平均89,000㎢減少している。また、水は循環しているが、プラスチックは循環しておらず、プラスチックは、プラスチックゴミから小さくなり、マイクロプラスチックとなる。世界の海を漂い続ける。そのプラスチックなどを、ジンベイザメが食べてしまうことがある。ジンベイザメは回遊し、エサのプランクトンを海水ごと吸い込むので、その際に小さなプラスチックを食べてしまうとそれが死因になる。このようなことにならないように使い捨てプラスチックを減らすことが必要である。マイボトルを給水スポットで繰り返し使う。また、プラスチックごみになってしまうものを再資源化する。そうすることで使い捨てプラスチックごみ削減、海洋プラスチックごみ削減することができる。海洋プラスチックごみを減少させるためにエシカル消費(環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費すること)などからできることからはじてみるとよいと書いてあった。

まとめ
 海遊館は歴史ある施設であった。また、海遊館にはSDGsの展示があり、プラスチックごみからジンベイザメなどに悪影響を及ぼすことが分かった。海洋プラスチックごみを減らすために、マイバッグやマイボトルの使用や、川や海でのプラスチックごみを回収するなど身近なことからはじめることが重要であることがわかった。


1)海遊館https://www.kaiyukan.com/index.htm(閲覧日:2022年7月20日)
2)中村元『中村元の全国水族館ガイド112』長崎出版, 2010年, p.136。

参考文献
中村元『中村元の全国水族館ガイド112』長崎出版, 2010年。
海遊館https://www.kaiyukan.com/index.htm(閲覧日:2022年7月20日)

アザラシ

国際観光学部3年 中西美咲・川崎耕平

1. はじめに
 私たちは、大阪ベイエリアの学習の一環として、海の水を使用している施設の一つである海遊館について調べた。その水で生活している生物を調べている時、テレビでアザラシの赤ちゃんを海遊館で人工的に育てているというニュースを見た。そこで私たちはアザラシに注目し、調査することに決めた。このレポートでは、アザラシの種類や海遊館での暮らしの環境、どのような年齢層の人が、アザラシの展示スペースに訪れているのかについて、明らかにする。そのため、私たちは、文献での事前学習に加えて、実際に海遊館へ行き、暮らしの環境、客層などを知るため、展示スペースの前で30分間観察し、記録した。

2. 事前学習でわかったこと
 まず、事前学習でわかったことを述べておきたい。世界動物大図鑑によると、アザラシは、10属19種いることが分かった。アザラシは哺乳類であり、必ず呼吸のために海面に上がってくる。また、アザラシはキタアザラシ亜科(10種)とミナミアザラシ亜科(9種)に分かれており、キタアザラシ亜科は、北極圏周辺に生息している。ミナミアザラシ亜科は南極地方から温帯にかけての海域に生息しているのである1)。アザラシは平均寿命15~20年で、主にオキアミ・エビ・小魚を食べる。出産する時は流氷に上がりその場で出産するようだ。アザラシは前足で身体を支えられないので、はって進むことしか出来ない。アザラシ、アシカ、セイウチは似ているように見えるが、歩き方や足の形が違う2)。

3. 現地で分かったこと
 次に、当日調査で分かったことを述べてゆく。
(1)アザラシの個体について
 海遊館にいるアザラシの種類はワモンアザラシとゴマフアザラシの2種類である。泳ぎ方はお腹を上に向けて、背泳ぎしている個体が多かった。水槽は深さ8m、水温18℃、水槽容量1050tであった。そのなかでアザラシは優雅に泳いでいた。アシカと一緒に泳いでいる個体は泳ぐスピードも速く、常に動いていた。一方で、氷の上にいたアザラシは、私たちが見ていた間、一歩も動かずに体を休ませていた。そして、ここで育てられているアザラシは人懐っこく、飼育員さんに甘えている姿も見られた。海遊館に設置してある掲示板によると、アザラシたちを健康に飼育するために、海遊館では月ごとに照明時間を変えているようだ。
(2)展示スペース周辺の人について
 私たちは、当日アザラシの展示スペースの前で、30分間観察した。まず、アザラシを見学している年齢層は幼稚園くらいの子供から、お年寄りまでと幅広い年代が見ていた。アザラシの展示スペースの平均滞在時間は5分ほどで、来客者の性別は男性も女性もほとんど同じ割合であった。来客者の組み合わせは、家族連れ18組、カップル15組であった。年齢性別ごとの反応の違いでは、子供や女性の方がテンションは高かった。一方男性は、一歩下がって見ているように感じた。

4.まとめ
 10属19種いるアザラシの中で、海遊館に展示されているのは、ワモンアザラシとゴマフアザラシの2種類であった。海遊館で生活している生物の中でも、アザラシは人気で常に人が集まっていた。観察している中で、家族連れやカップルなど老若男女関係なく展示スペースを訪れていたが、反応を見ている限り、特に女性からの人気が高いように感じた。また、今回の学習で、海遊館では、アザラシの健康を維持するための月ごとに照明時間を変える工夫をされていると知り、飼育員さんが大切に育てていることが伝わってきた。
写真1 氷の上で休憩中のアザラシ 撮影者:川崎耕平。撮影日:2022年6月18日

1)デイヴィッド・バーニー2004『世界動物大図鑑』ネコパプリッシング, p.82-85.
2)山極寿一(監督)『講談社の動く図鑑MOVE:動物』,p.186.

参考文献
デイヴィッド・バーニー2004『世界動物大図鑑』ネコパプリッシング。
山際寿一(監修)2011『講談社の動く図鑑:MOVE動物』講談社。

イワシの水槽を眺める人たち

 国際観光学部教員 渡辺和之

はじめに
 イワシは日本近海に多く生息する魚である。煮干や干物になるなど、地味な魚であるが、実は天ぷらにしても生で食べてもよく、安くておいしい庶民の味方の魚である。また、イワシは水族館のなかでも見映えのする魚である。イワシは群れで泳ぐ性質を持つ。イワシの群れが渦を描いて泳ぐ姿は圧巻であり、数十年前に海遊館を訪れた時に一番記憶に残った魚であった。
 そこで、今回のフィールドワークでは、どんな人たちがイワシを好んでみているかを明らかにするため、イワシの水槽を見学している人を数えた。年代、性別、グループの関係(家族かカップルか友人か1人かなど)を記した。また、水槽の前で写真を撮ったり、見入っている場合には、その行動を記載した。
 このレポートでは、イワシの水槽を眺める人々を観察し、どんな人たちがイワシの群れに魅せられ、どのようにイワシに向き合うのかを明らかにする。また、それらの人々の観察結果をもとに、海遊館における人と生き物の向き合い方について、考察してみたい。

結果
 イワシはニシン科の魚で、ニシンの仲間である。日本近海には、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシなどのイワシがいる。ニシンの仲間は世界で約360種、日本には27種いる。例えば、コノシロの若魚はコハダと呼ばれ寿司ネタとなる。サッパは酢漬けにして「ままかり」となる。カタクチイワシの稚魚はシラスである。キビナゴも食用になる1)。
 海遊館にいたイワシはマイワシとカタクチイワシの2種類である。水槽の案内版に記載された学名と英名は次の通りである。マイワシ(学名:Sarninos melanostictus,英語名:Japanese Sardine)、カタクチイワシ(学名:Engranlis japonicus,英語名:Japanese Anchovy)。マイワシはサーディンで、カタクチイワシはアンチョビの仲間に入る。
 次に、イワシの水槽を見ていた人を記録した。調査は、6月18日土曜日14:55から15:15の20分間におこなった。当日は、土曜日ということもあり、コロナ前と変わらない位の人出だった。イワシの水槽はジンベイザメの水槽の前にあり、海遊館の見学コースのなかでは中盤以降にあたる。入口近くでは水槽の前に人だかりができていたが、このあたりまで来ると、人混みはたいぶ疎らになった。それでも、20分間で計57組の人がイワシを見ていた。
 表1には、イワシの水槽を見ていた人がどんなグループで来ていたのかをまとめた。立ち止まってみている人も、通り過ぎながら見ている人も含めて数えたので、基本的にこの数は海遊館を訪れる人と考えることができるのだろう。結果として、もっとも多いのが親子連れで、次がカップルだった。年代としては20代、30代の順に多いことがわかる。例外は1人で来ている人であり、40代が20代や30代よりも多かった。海遊館は若いカップルが来る所であり、結婚してからは子供を連れて親子連れで来る所なのだろう。1人や友人と数えた人のなかには、もしかしたら家族連れで来た人が紛れているのかもしれない。

 次に、表2には、イワシの水槽を見ていた人のなかから、イワシを見て何らかの反応をした人を抜き出し、どんな行為をしていたのかをまとめた。もっとも多かったのが水槽の魚の写真を撮る人たちで、該当する人のいなかった友人同士を除くと、親子連れ、カップル、1人のいずれでも見ることができた。なかには水槽を背に自撮りをしたり、ビデオを撮影する人もいた。特に自撮りをしていたのは、いずれも親子連れで、イワシの水槽を背に家族で並んで写真撮影をしていた。1人で来ていた5人のうち4人は写真やビデオを撮影していた。写真撮影に次いで多かったのは、水槽に見入っていた人たちである。なかには2-3分立ち止まって見入る人たちもいた。グループとしては、親子連れやカップルに見ることができた。

 この点で、表3には、水槽に見入っていたグループのなかから、誰が特にイワシに見入っていたのか、性別と年代をまとめた。観察している限り、さまざまなパターンを見ることができた。親子連れのなかでは、お父さんが見入るタイプやお母さんが見入るタイプもあれば、息子や娘が見入るタイプもあった。また、カップルのなかでは、男性が見入るタイプも女性が見入るタイプもあった。集計してみると、全体としては、性別としては男性が多く、年代としては20代がより多くイワシに見入る傾向があることが明らかになった。

まとめと考察
 以上、本稿では、イワシの水槽の前にいる人々を観察することで、どのような人々がイワシに魅せられ、イワシと向き合っているのかを明らかにした。最後に結果をまとめ、それをもとに海遊館における人と生き物の向き合い方について考察してみたい。
 第1に、イワシの水槽の前には、カップル、もしくは親子連れが多かった。また、親子連れの中には、おじいさんやおばあさんも含まれることがあり、祖父・両親・孫と三世代で訪れているケースもあった。これは、つまり、恋人たちが結婚後も、子供や両親を引き連れて、海遊館に足を運んでいることを意味するのだろう。海遊館という施設はそのような人々を主な対象とした施設なのである。ただし、今回の観察結果はあくまで休日の記録である。もし平日に調査をしてしたら、友人同士や1人で来る人、あるいは学校行事の一環で訪れる人たちの割合も増えてくるのかもしれない。
 第2にイワシが群舞する姿を見て、人々はただ見詰めるか、写真やビデオを撮影するか2通りのパターンをしていたことがわかった。親子連れはどちらかというと、写真を撮る方が多いのに対し、カップルは立ち止まったり、見入っている方が多かった。これは年代差と言えるのか、個人差を反映しているのかは今のデータでは数が少ないので何ともいえないが、イワシに見入るのは年代としては20代、男性の方が女性よりも見入る人が若干多かった。親子連れの場合、親は子供の世話や子供の写真を撮るのに忙しく、ただ見入るということができないのかもしれない。また、1人の人がみな写真、もしくはビデオを撮影して見入る人がいなかったのは、1人でいると感動をわかち合える人がいないので、カメラに記録することで自分の感動を確認しているのかもしれない。
 この点で、海遊館を訪れて気がついたのは解説版が少ないことである。水族館や博物館にゆくとある解説が海遊館の場合、あまりないのである。魚の名前や学名やどんな場所に生息しているかは書いてあるが、それ以上のことはあまり書かれていない。その理由はよくわからないが、結果的にその分集中して生き物に向き合えるようになっているのである。子供も大人もまず水槽を前に魚や海の動物を見つめる、あるいは余計な知識は入れずに、まっさらな気持ち生き物と対話する。そこから生まれる感動の経験を、海遊館はもしかしたら大事にしているのかもしれないと思った。
 ただ、このような先進的な試みも、学生にレポートを書かせる教員の立場からすると、若干困ったことがある。学生たちは感動を経験できるが、それを言葉にすることは容易ではない。現地にある解説は、自分の目を引いた生き物が何という名前なのかを特定できる程度である。海遊館としては、さらに関心がある人は海遊館のHPを見て欲しいということなのかもしれない。この点で琵琶湖博物館の学習コーナーや国立民族学博物館のビデオテーク、あるいは月刊みんぱくや季刊民族学のような、興味を持った来館者が参照でき、かつ一般の人にも理解できるわかりやすい言葉で書かれた学習ツールが欲しいと思った。
 また、写真を撮るということも、私のカメラでは、決して簡単なことではなかった。暗い照明のなかでは、絞りが2.8mmなのにも関わらず、シャッタースピードが足りず、手ぶれをすることが多かった。ただ、学生がスマホで撮影した写真はきれいに撮れていたし、私のカメラでも動画はよく撮れていた。要はカメラの設定が足を引っ張ったのだ。羞恥心を捨てて、カメラ任せの全自動モードで撮影すればよかったのである。また、魚の群れを撮るのには、広角(28-24mm)が有効だった。スマホの画面は標準寄りの広角(30mm程度)なので、ズームせず、そのまま撮影するとちょうどよいのだろう。
 ちなみに、前回海遊館を訪れた時、イワシとジンベイザメは同じ水槽を泳いでいたのだと、私は記 憶していた。ただ、今回訪れてみて、イワシはジンベイザメとは別の水槽を泳いでいることがわかった。また、ジンベイザメと一緒の太平洋の水槽でも、イワシよりももっと大きな魚が群れをなして泳いでいた。水槽の説明板によると、どうやらそれはギンガメアジ(アジ科 / 英名:Bigeye trevally / 学名:Caranx sexfasciatus)やグルクマ(サバ科 / 英名:Indian mackerel / 学名:Rastrelliger kanagurta)の群れであるらしい。水槽が大きいせいか、こちらの群れも見応えがあった。


1)福井篤(監修)2012『講談社の動く図鑑:MOVE魚』講談社, P38-39.

参考文献
福井篤(監修)2012『講談社の動く図鑑:MOVE魚』講談社



おわりに

2年半続いたコロナ禍も、昨年と比べると大きく状況が変化した。去年は遠隔でゼミをはじめ、フィールドワークの実施すら心配だったので、それと比べると、大きな進展である。その分、今年は、大阪の街でも人出が増えた。フィールドワーク当日も、休日であったためか、海遊館はコロナ以前と変わらない位に混雑していた。これで訪日外国人が戻ってくると、どうなるのだろう。2022年5月は、外国人の姿は少なく、いてもコロナ以前から日本に長期滞在する外国人しかいない状態であった。
夏休みが終わり、後期もはじまった。7月から続いた第7波も一段落し、大学も日常が戻りつつある。9月になって2年半ぶりに150人以上の授業が対面に戻った。留学や研究出張も解禁となった。フィールドワークも、日帰りはおろか、宿泊を伴う合宿や海外へのゼミ旅行すら、感染対策を伴えば、可能となった。規制解禁という意味では、大学はコロナ以前の状態に戻りつつある。
だが、これがいつまでもつのかよくわからない。コロナになったので授業に出られないという学生からの連絡は、7月よりもむしろ増えている。せっかくの機会であるので、出られる時には外へ出て、秋晴れの1日を満喫したい。とはいえ、京都のような有名観光地はコロナ以前のような混雑が予想されることであろう。観光地にはうれしい悲鳴なのだろうが、個人的には、コロナ禍であろうとなかろうと、人混みは勘弁して欲しいと思う。人出は増えるが、感染状況は完全に収束していない。そんな微妙な状況がまだしばらくは続くのだろう。今年の秋は学生とよく相談して、フィールドワーク先を決めたいと思う(渡辺和之)。



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渡辺和之(編)『2022度前期大学入門ゼミフィールドワーク報告書:海遊館で海の生き物を学ぶ』阪南大学国際観光学部渡辺研究室 2022年12月14日発行
〒580-0033 大阪府松原市天美南1-108-1 阪南大学国際観光学部
電話:072-332-1224 メール:watanabe@hannan-u.ac.jp URL  https://www.hannan-u.ac.jp/
Kazuyuki Watanabe (ed.) 2022 Learning about fish and sea mammals at Kaiyukan: Students' Fieldwork Reports 2022. Osaka: Faculty of International Tourism, Hannan University.
Address: 1-108-1, Amami-Minami, Matsubara, Osaka, 580-0033, Japan.
E-mail: watanabe@hannan-u.ac.jp
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